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CAGE質問票

CAGE questionnaire

別名
CAGECAGEテスト
臓器系
精神
科目
Public Health
トピック
公衆衛生 09:アルコールSBI(スクリーニングと短時間介入)(roleplay)
適用疾患
アルコール使用障害

🧠 全体像は、を4つの短い質問だけで拾い上げる、生涯歴を問う簡便なスクリーニングツールである。1968年にEwing JAとRouse BAが考案し、Mayfieldらによる1974年の検証研究を経て、Ewing自身による1984年のJAMA総説で広く普及した。4項目は依存の行動的側面(コントロールしようとした経験)・心理的側面(罪悪感)・身体的側面(の自己治療)を1問ずつ拾う設計になっている。

目的と適用場面

内容
目的 生涯にわたる飲酒への依存傾向の有無を、4つの質問だけで短時間に拾い上げる
対象 外来・入院を問わず、飲酒歴を確認するあらゆる成人患者
使う場面 の一次スクリーニング。陽性ならなどで重症度を評価し、を確認する
評価しないもの 直近の飲酒量・頻度、そのもの、の重症度、など身体合併症の有無

は1968年にEwing JAとRouse BAが米国ノースカロライナ大学で考案し、1970年の国際学会で初めて発表した。最初の正式な検証研究はMayfield D・McLeod G・Hall Pによる1974年ので、Ewing自身が「」の名称とともに広く紹介した1984年のJAMA総説(Detecting alcoholism: the questionnaire)が、現在もっとも頻繁に引用される出典になっている。

構成要素と配点

4項目、各1点で合計0〜4点。の質問文の要旨は以下のとおり。

項目 質問の要旨 捉えている側面
Cut down 飲酒量を減らす必要を感じたことがあるか 自分の飲酒を制御しようとした経験の有無(
Annoyed 他人から飲酒を批判されて苛立ったことがあるか 飲酒をめぐる対人摩擦と、批判に対する防衛的反応
Guilty 飲酒について罪悪感を感じたことがあるか 飲酒に対する内的な心理的葛藤・自責感
Eye-opener 神経を落ち着かせる、またはを解消するために朝の飲酒()が必要だと感じたことがあるか を飲酒で緩和する行動であり、をもっとも直接的に示唆する項目

💡 4項目は依存の異なる側面を1問ずつ拾う設計になっている。Cut downとAnnoyedは「制御しようとした・される」という行動・対人面、Guiltyは心理面、Eye-openerだけがの自己治療という生理学的なを直接問う。1問だけで判断せず、4問すべてに答えてもらって初めてこの設計が機能する。

薬物使用も含めた改変版(Brown・Rounds、1995年、Wisconsin Medical Journal)は、同じ4項目を「飲酒または薬物使用」という文言に置き換えたもので、も2点以上のまま用いる。

解釈とカットオフ

点数帯 目安となる対応
0点 拾い上げなし。ただし1回のだけで飲酒問題を否定はできない
1点 標準的な未満だが、(米国・精神庁)のTIP 24(1997年)はでは網を広げるため1点以上を陽性とみなす運用を推奨している
2点以上 標準的なの可能性を疑い、などによる重症度評価やでの確認へ進む

感度・特異度はによって大きく異なり、単一の値に断定できない。

  • Bernadtら(1982年、Lancet、英国の精神科入院患者385人):2点以上で、の同定に対して感度93%・特異度76%、の同定に対して感度91%・特異度77%。の感度・特異度としてもっとも広く引用される数値はこの研究に由来する。
  • Fiellin・Reid・O’Connorによる系統的レビュー(2000年、Archives of Internal Medicine):の複数研究を対象に、感度43〜94%・特異度70〜97%と幅がある。
  • Dhalla・Kopecによるレビュー(2007年、Clinical and Investigative Medicine):内科・外科入院、外来、精神科入院患者を含む臨床集団でのの検出に対し、平均感度71%・特異度90%。

⭐ 「感度93%・特異度76%」はBernadtら(1982年)による単一研究の数値であり、対象は英国の精神科入院患者・の同定という条件下での値である。集団や検出対象(か依存か)が変われば、この数値も大きく変動する。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 自己申告に依存し、を受ける。 実際より少なく申告されやすく、依存が進んだ患者ほど過小評価されやすい。

⚠️ を問う設計のため、「現在」の飲酒問題を捉えられない。 4項目の多くが「今まで一度でも」という形で尋ねる設問であり、過去に依存があったが現在は問題がない患者でも陽性になりうる一方、最近始まったばかりのはまだ拾えないことがある。直近の飲酒パターンを問いたい場合は、直近1年を対象とするを使う。

⚠️ 女性で感度が低下する。 初期の検証研究(Mayfield 1974、Bernadt 1982など)はいずれも男性中心の集団で行われており、Bisson・Nadeau・Demersによる一般人口調査(1999年、Addiction)では、女性を含む集団での感度が低いことが報告されている。

⚠️ 高齢者で感度が大きく低下しうる。 Adams・Barry・Flemingによる60歳以上の患者5000人超を対象とした研究(1996年、JAMA)では、の半数未満しか同定できなかった。

⚠️ には向かない。 は妊娠中のリスク飲酒を検出する目的で設計されておらず、系統的レビュー(Burnsら、2010年、Addiction)では、妊婦専用に設計されたの方が高い感度を示す。妊婦にはではなくを使う。

⚠️ 診断ツールではなく、量的な評価もできない。 高得点はを強く示唆するにすぎず、を置き換えない。飲酒量・頻度そのものも測れないため、量的評価が必要な場面にはを使う。

まとめ

  • はEwing・Rouseが考案し1970年に発表、Mayfieldら(1974年)による検証を経て、Ewing自身の1984年JAMA論文で広く普及した、生涯の飲酒歴を問う4項目のである。
  • Cut down・Annoyed・Guilty・Eye-openerの4項目はそれぞれ「はい」で1点、合計0〜4点。Eye-openerだけがの自己治療というを直接示す項目である。
  • 標準的なは2点以上だが、 TIP 24はで網を広げるため1点以上を陽性とする運用を推奨している。
  • 感度・特異度はに強く依存し、しばしば引用される「感度93%・特異度76%」はBernadtら(1982年)の精神科入院患者・の同定という限定的な条件下の数値である。
  • 女性・高齢者・妊婦では感度が大きく低下することが報告されており、妊婦にはなど専用ツールを使う。
  • 生涯歴しか問えず量的評価ができないという限界があり、直近1年の重症度を段階評価すると補完的に使う。