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ペンシルベニア大学嗅覚識別検査

University of Pennsylvania Smell Identification Test

別名
UPSIT
臓器系
耳鼻咽喉科
科目
Otorhinolaryngology
トピック
耳鼻咽喉科 29:鼻腔通気低下の原因、鼻中隔偏位、嗅覚障害

🧠 全体像:UPSITは、40種類のにおいを「かがせて当てさせる」ことで嗅覚をに数値化する検査である。での自己申告に頼るとは見逃されやすい——本人のと客観検査の結果は一致しないことが多い——ため、「本当に嗅げているか」を独立した物差しで確かめる位置づけにある。

目的と適用場面

内容
目的 におい識別能力を0〜40点でに定量し、正常域からほぼまでを段階的に分類する
対象 ・など疾患による、後、後、(パーキンソン病など)に伴う
使う場面 初診時の重症度評価、治療(手術・生物学的製剤・嗅覚トレーニングなど)の効果判定、の評価
評価しないもの 質的な(・)や、においの種類ごとの選択的なパターン

構成要素と配点

4冊のブックレット(各10ページ)に、においを封入したマイクロカプセルが1ページに1つ貼付されている。は筆でこすって香りを立たせ、4つの選択肢(強制選択式)から最も近いものを1つ選ぶ。

項目 内容
項目数 40項目(4冊 × 10項目)
出題形式 4択の強制選択式(分からなくても必ずいずれかを選ぶ)
採点 正答1問につき1点、合計0〜40点
所要時間 10〜15分程度、自己記入式で検者の熟練を要さない

解釈とカットオフ

正答数の合計から、正常域〜までを段階的に分類する目安が設けられている(年齢・性別で正常域の下限がわずかに異なる)1。

得点帯(目安) 分類
34〜40(男性)/35〜40(女性) 正常嗅覚
30〜33(男性)/31〜34(女性) 軽度
26〜29(男性)/26〜30(女性) 中等度
19〜25 高度
0〜18

⚠️ この点数帯はあくまで目安であり、疾患・研究によって用いるは異なる。例えばが関わるを伴うの生物学的製剤の(EVEREST試験など)では、絶対点ではなくベースラインからの変化量をとして用いる。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 質的な(・)は評価できない。 UPSITはあくまで「におい識別能力の量」を測る検査であり、においの質が歪んで感じられる状態やを捉える設計にはなっていない。

⚠️ 自己申告だけでの有無を判断してはならない。 なでが確認された高齢者の約74%が自分ではそれに気づいていなかったとする報告があり、若年者では逆に自分の嗅覚を過小評価する傾向も指摘される2。だけに頼るとを見逃す、あるいは実際には保たれている嗅覚を過大に問題視する、双方向の誤りが起こりうる。

⚠️ パーキンソン病などののスクリーニングとしては特異度が低い。 は運動症状に先行して現れうる有望な早期とされる一方、疾患・加齢・後など非特異的な原因でも低下するため、UPSIT単独の低得点をもってを診断することはできない3。

⚠️ 性のや検査への非協力があると、正答できても回答自体が困難になり、嗅覚そのものではなく認知・言語機能を反映してしまうことがある。

まとめ

  • UPSITは40種類のにおいを4択の強制選択式で識別させ、0〜40点で嗅覚をに数値化する検査である。
  • 得点は正常嗅覚からまで段階的に分類する目安があるが、統一された唯一のではなく、疾患・研究ごとに用いる基準(絶対点か変化量か)が異なる。
  • 疾患によるの評価に加え、パーキンソン病・などの早期()候補としても使われるが、特異度は低くスクリーニング単独では不十分である。
  • 自己申告の嗅覚評価は客観検査と系統的に乖離することが多く、UPSITのような客観検査を介さないとを見逃す、または過大評価する双方のリスクがある。

出典

  1. 1.Development of the University of Pennsylvania Smell Identification Test: a standardized microencapsulated test of olfactory function(Physiology & Behavior・1984)UPSITが40項目・4冊のブックレット(各10ページ)から成る「スクラッチ&スニッフ」式の強制選択(4択)嗅覚同定検査として開発されたこと。得点は正常域から嗅覚脱失まで段階的に分類する仕組みとして設計されていること閲覧 2026-09-05
  2. 2.Factors Associated with Inaccurate Self-Reporting of Olfactory Dysfunction in Older US Adults(Chemical Senses・2017)客観的な嗅覚検査で嗅覚障害が確認された高齢者のうち74.2%が自分ではそれに気づいておらず、自己申告の嗅覚評価は客観検査と系統的に乖離すること(気づいていない群ほど5年後の認知機能低下が大きい)閲覧 2026-09-05
  3. 3.Olfactory Dysfunction as an Early Biomarker in Parkinson's Disease(Neuroscience Bulletin・2017)UPSITなどの嗅覚同定検査が費用対効果に優れ簡便であることからパーキンソン病の早期(前駆期)バイオマーカーとして位置づけられていること。嗅覚低下は運動症状に先行しうる一方、特異度は低くスクリーニング単独では不十分であること閲覧 2026-09-05