解剖学

解剖学 · 3.1

腹部:骨とランドマーク

Abdomen — Skeleton & landmarks

応用トピック
手術の適応・禁忌と代表的切開法

🧠 腹部は「骨が少ない箱」なので、少数の骨性ランドマークで区画を決める、と読む。 腹壁は主に筋でできており、上は、下は骨盤で枠取りされる。触れる骨(・・・)を基準に、9区分・4分割で臓器の位置を推定する。

腹部の骨性境界

腹部は骨が少なく、上下を骨で、前外側を筋で囲まれる。

境界 構成
上方 、、横隔膜
後方 (5個)、肋骨(第11–12肋骨)
下方 骨盤上口、、、恥骨
前外側 腹壁の筋(骨性支持なし)

は椎体が大きく頑丈で、腹部の重量を支える。肋骨(第11–12肋骨、)は後上部で腎などを部分的に保護する。

主要な体表ランドマーク

腹部の記述・触診には、以下の触知点を用いる。

ランドマーク 高さ・意義
の上限、T9付近
腹部上界、肝・脾触診の基準
臍 椎体にはがある。分岐を推定する概略目安
L4の高さ
外側端、前端
内側端
前正中の下端
ASISとを結ぶ

💡 臍の高さは大血管分岐の概略目安。 はL4付近で左右のに分岐し、下大静脈は典型的にはL5付近で形成される。ただし臍と大血管分岐・の位置関係にはがあるため、固定した画像断面の指標にはしない。1

腹部の区分

腹部体表は、臨床記述のため2通りに区分する。

9区分 — 2本の垂直線(左右)と2本の水平線(・)で9つに分ける。

上段 中段 下段
(・胆嚢・結腸右曲) (胃・肝左葉・膵) 左(・脾・結腸左曲)
右(・右腎) (小腸・・大動脈) 左(・左腎)
右(盲腸・虫垂) 下腹部(膀胱・小腸・子宮) 左(S状結腸)

4分割 — と臍の水平線で右上(RUQ)・左上・右下・左下に分ける。

⭐ は虫垂炎の古典的な。 臍とASISを結ぶ線の外側1/3の点を指すが、の位置には大きながあり、常にこの点と一致するわけではない。2 RLQ痛では虫垂炎を重要な鑑別に置きつつ、消化管・尿路・なども考える。

区分と臓器の対応

疼痛部位から臓器を推定する早見として整理する。

区分は本来上・中・下の3段に分かれる。段で当たりを付けてから左右を見る。

flowchart TD
  A["腹痛の部位"]
  A --> U["上段<br>RUQ:肝・胆嚢<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='epigastric'>心窩部</span>:胃・膵・十二指腸<br>LUQ:胃・脾"]
  A --> M["中段<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='umbilical'>臍部</span>:小腸・虫垂初期・大動脈"]
  A --> L["下段<br>RLQ:虫垂・盲腸<br>LLQ:S状結腸・憩室<br>下腹部:膀胱・子宮・付属器"]

まとめ

  • 腹部は骨が少なく、上を・下を骨盤で枠取りし、前外側は筋壁。
  • 5個が重量を支え、肋骨が後上部を保護する。
  • 触知点:・・臍・・ASIS・・。
  • 臍とL4付近の大動脈分岐は概略対応するが、位置関係にはがある。
  • 9区分・4分割で臓器を投影し、疼痛部位から臓器を推定する。
  • は虫垂炎の古典的だが、の固定した位置ではない。

出典

  1. 1.Surface anatomy and lumbar lordosis angle(Anatomical Science International・2021)腹部大動脈分岐はL4および臍面に位置することが多いが、下大静脈合流部を含め高位には個体差がある閲覧 2026-08-24
  2. 2.Is the appendix where you think it is--and if not does it matter?(Clinical Radiology・1993)虫垂根部の位置には広い分布があり、McBurney点から5 cm以内にあるのは35%であった閲覧 2026-08-24