Anesthesiology

Anesthesiology · A-02

酸塩基平衡とその異常

The general description of Acid-base balance, metabolic and respiratory acidosis and alkalosis, their therapy

前提:病態
代謝性酸塩基平衡障害呼吸性酸塩基平衡障害
前提:正常
酸塩基平衡
疾患
D-乳酸アシドーシス
検査値
アニオンギャップ高CO2血症動脈血液ガス

🧠 全体像:酸塩基異常は、pHだけでせず、PaCO₂とHCO₃⁻の一次変化、予測される代償、を順に確認すると、単純性かかを体系的に判断できる。

酸塩基平衡の基本

pHは主に、呼吸性成分である分圧(partial pressure of carbon dioxide:PaCO₂)と、代謝性成分であるイオン(bicarbonate:HCO₃⁻)の比で決まる。

pH=6.1+log([HCO3]0.03×PaCO2)pH = 6.1 + \log\left(\frac{[HCO_3^-]}{0.03\times PaCO_2}\right)
  • 肺:分単位でPaCO₂を調節する。
  • 腎:時間〜日単位でH⁺排泄、HCO₃⁻再吸収・新生を調節する。
  • :HCO₃⁻、蛋白、リン酸、ヘモグロビンが急な変化を緩和する。

動脈血液ガスの読み方

flowchart TD
    A["pHを確認"] --> B["PaCO₂とHCO₃⁻の向きを確認"]
    B --> C["一次性障害を決定"]
    C --> D["予測代償を計算"]
    D --> E{"予測範囲内か"}
    E -->|"はい"| F["単純性障害を考える"]
    E -->|"いいえ"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mixed'>混合性</span>障害を考える"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anion gap'>アニオンギャップ</span>と原因を評価"]
    G --> H
  1. pH < 7.35なら酸血症、pH > 7.45ならを考える。
  2. pHを説明する方向に変化したPaCO₂またはHCO₃⁻を一次性障害とする。
  3. 代償が予測範囲を外れれば、第二の一次性障害が共存する。
  4. 正常pHでも、完全な正常とは限らない。代償または相反する障害を疑う。

四つの一次性障害

一次性障害 一次変化 代表的原因
代謝性アシドーシス HCO₃⁻低下 乳酸、ケト酸、腎不全、消化管HCO₃⁻喪失、毒物
HCO₃⁻上昇 嘔吐・、利尿薬、低K血症、
PaCO₂上昇 中枢抑制、気道閉塞、神経筋疾患、重症COPD、人工呼吸不足
PaCO₂低下 低酸素、疼痛、不安、敗血症、妊娠、肝疾患、設定

代償の予測

代償はpHを正常方向へ戻すが、単純性障害を完全に正常化したり反対側へ越えたりしない。

一次性障害 予測される代償
代謝性アシドーシス :予測PaCO₂ = 1.5 × HCO₃⁻ + 8 ± 2 mmHg
HCO₃⁻が10 mmol/L上昇するごとにPaCO₂が約5〜7 mmHg上昇
急性 PaCO₂が10 mmHg上昇するごとにHCO₃⁻が約1 mmol/L上昇
慢性 PaCO₂が10 mmHg上昇するごとにHCO₃⁻が約3.5〜4 mmol/L上昇
急性 PaCO₂が10 mmHg低下するごとにHCO₃⁻が約2 mmol/L低下
慢性 PaCO₂が10 mmHg低下するごとにHCO₃⁻が約4〜5 mmol/L低下

PaCO₂は圧なのでmmHgまたはkPaで表し、mmol/Lでは表さない。

代謝性アシドーシス

アニオンギャップ

AG=[Na+]([Cl]+[HCO3])AG = [Na^+] - ([Cl^-] + [HCO_3^-])

施設を用い、では補正する。アルブミンが1 g/dL低下するごとに、は約2.5 mmol/L低下する。

主な原因
高AG性 グリコール類、、L-乳酸・、アスピリン、腎不全、:GOLD MARK
正常AG性・高Cl性 下痢、、尿路変更、早期腎不全、大量

乳酸上昇では、低灌流だけでなく、痙攣、β₂刺激、肝機能、なども考える。治療は酸そのものより原因の是正が中心である。

は、重篤な酸血症、特定の中毒、重症高K血症、を伴う一部などで個別に検討する。画一的な持続量を用いるとNa負荷、CO₂産生、低Ca²⁺、を招く。強い中の挿管では、導入時の無呼吸や不十分な分時換気でpHが急落し得るため、挿管前PaCO₂に近い換気を早期に再現する。

代謝性アルカローシス

尿Cl⁻は病態分類に有用である。

尿Cl⁻ 代表病態 治療の考え方
低値 嘔吐、、既往の利尿薬 Cl⁻とK⁺を補い、必要なら
高値 継続中の利尿薬、 原因治療、K⁺補充、薬剤調整、選択例で

投与や透析は、通常治療に反応しない重症例でが検討する例外的手段である。

呼吸性異常

呼吸性アシドーシス

が本態である。気道、、胸郭、神経筋、肺実質、人工呼吸設定を順に確認する。急性で意識障害、、循環不安定、進行する酸血症があればを急ぐ。慢性高CO₂血症では、PaCO₂値だけでなく急性変化とpHを重視する。

呼吸性アルカローシス

低酸素、肺塞栓症、敗血症、中枢、妊娠、薬物、疼痛を探す。治療は原因是正と人工呼吸設定の調整であり、に増やしてCO₂をさせる方法は行わない。

混合性障害を疑う手掛かり

  • 代償が予測範囲を外れる。
  • pHは正常に近いがPaCO₂とHCO₃⁻が大きく異常である。
  • 高AG性代謝性アシドーシスで、AG増加量とHCO₃⁻低下量が大きく一致しない。
  • COPD患者の嘔吐、敗血症患者の乳酸上昇となど、複数の機序が同時に存在する。

まとめ

  • pH、PaCO₂、HCO₃⁻、予測代償、AGの順に読む。
  • 正常pHは正常な酸塩基状態を保証しない。
  • 代謝性アシドーシスでは高AG性と正常AG性を分け、原因を治療する。
  • は尿Cl⁻で、呼吸性異常は換気不全またはの原因で整理する。
  • や挿管は生理をさせるため、適応と換気計画を明確にする。