生物物理学

生物物理学 · 24.01

生体力学I:応力–ひずみ線図(stress–strain diagram)と各領域

Biomechanics I — stress–strain diagram and its ranges

応用トピック
損傷の用語と分類骨折の臨床症状と診断踵骨骨折と治療

🧠 応力–線図(stress–strain diagram)は、材料へ加えた負荷と変形の関係を示し、・強度・を一枚の曲線から読み分ける地図である。

応力とひずみ

応力σσ は力 FF を初期断面積 AA で割った量、εε は長さ変化 ΔLΔL を L0L_0 で割った無次元量である。試料寸法の影響を除いて材料同士を比べるため、単なる力や伸びではなく、この2量を用いる。

σ=FA,ε=ΔLL0σ=\frac{F}{A},\qquad \varepsilon=\frac{\Delta L}{L_0}

線図の各領域

flowchart TD
  A["小さな負荷"] --> B["線形弾性域<br>除荷すると元へ戻る"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='yield point'>降伏点</span><br>永久変形が始まる"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='plasticity'>塑性</span>域<br>変形が蓄積する"]
  D --> E["最大応力"]
  E --> F["破断"]

図は明瞭な線形域とをもつ材料の模式図である。線形弾性域では応力とがほぼ比例し、その勾配をとして定量する。を越えると除荷後にも(plastic strain)が残るが、軟組織は初期からJ字型の応答を示し、同じ順序の明瞭な各点を示すとは限らない。1 2

曲線から読む材料特性

指標 線図での読み方 意味
弾性域の勾配 変形しにくさ
引張試験では最大応力など 特定の負荷様式で破壊に耐える応力水準
破断までの 破壊までに吸収できるエネルギー

骨や血管のようなは、方向や負荷速度によって曲線が変わる。はモデル、組織ごとの違いは骨との力学特性へつながる。

💡 同じ「硬い」という日常語でも、が高いことと、破断しにくいことは別である。線図の勾配・高さ・面積を対応させると混同しにくい。

まとめ

  • 応力は単位断面積あたりの力、はに対する相対変形である。
  • までは主に弾性変形、それ以後は永久変形が残る。
  • ・強度・は、それぞれ勾配・最大応力・から区別する。

出典

  1. 1.Mechanical Properties of Compact Bone Defined by the Stress-Strain Curve Measured Using Uniaxial Tensile Test: A Concise Review and Practical Guide(Materials・2021)皮質骨の応力–ひずみ曲線から得られる弾性率、降伏、強度などの定義閲覧 2026-08-21
  2. 2.Mathematical Modeling and Simulations for Large-Strain J-Shaped Diagrams of Soft Biological Materials(Polymers・2018)軟組織に特徴的な大ひずみJ字型応力–ひずみ応答閲覧 2026-08-21