Cardiology

Cardiology · A-36

ICDとCRT:適応と種類

ICD and CRT: indications and types

前提:正常
心臓における興奮の発生と伝導心電図心臓のポンプ機能と心拍出量の調節心臓・心膜
疾患
心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)

🧠 全体像:ICDは心室性不整脈を検出してペーシング/ショックで停止し、は両心室ペーシングで収縮のを補正する。

植込み型除細動器

ICDは機能に加えてVT/VFを治療する。下にを置き、少なくともRVにペーシング・を置く。SVCリードまたはを下げる場合がある。

適応
可逆的原因だけでは説明できないVT/VFによる心停止、または選択された
十分なGDMT後もLVEF ≤35%などの基準を満たす虚血性/非虚血性心筋症。MI後の期間、クラス、を確認
遺伝性/ HCM、などで疾患固有のSCDリスク因子を評価して選択

ICDは「HF」「LVEF低下」「HCM」という病名だけで一律に植え込まず、可逆的原因、治療後の再評価時期、良好な機能的生存が1年以上見込めるか、デバイス合併症と患者希望を含めて決定する。1

種類 特徴
経静脈型ICD(transvenous ICD) を持ち、ペーシングとが可能
皮下植込み型ICD(subcutaneous ICD) 左側胸部と皮下リード。がなく、通常型と同じペーシング機能はない

経静脈型ICDは上胸部からリードがRV心筋へ接触する。一方、皮下植込み型ICD(S-ICD)は左側胸部のと胸骨傍ので心臓を挟むショックベクトルを作り、血管・内へリードを入れない。S-ICDは血管内リードを避けられるが、持続的な徐脈ペーシング、通常の(anti-tachycardia pacing、ATP)、が必要な患者には不向きである。2

心臓再同期療法

主な適応は、十分なガイドライン推奨薬物治療後も症候性のHFrEFがあり、LVEF ≤35%かつ、とくにでLBBB形態・QRS ≥150 msを示す患者である。QRS幅、波形、心房細動、右室ペーシング予定率などで推奨度が変わるため、「HF+幅広いLBBB」だけで適応を決めない。を伴う-Dと、ペーシングのみの-Pは、予後、患者希望から選択する。3

では通常、に加え、から心静脈へを置く。右室と左室を適切なタイミングで刺激して、LBBBなどで遅れて収縮する左室側壁を再同期させる。これは「へリードを直接置く」という意味ではない。

flowchart TD
  A["HF+幅広いLBBB"] --> B["LV脱分極の遅延・不均一"]
  B --> C["心室の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dyssynchrony'>非同期</span>"]
  C --> D["RV+LVを適切なタイミングでペーシング"]
  D --> E["協調した収縮(coordinated contraction)の改善"]
  E --> F["CO増加・HF症状軽減"]

を組み合わせたデバイスでは、再同期と治療の双方を担う。

まとめ

  • ICDはSCDの一次・に用いる。
  • 皮下植込み型ICDはを避けられる一方、ペーシング機能が限られる。
  • は幅広いLBBBを伴うHFのを両心室ペーシングで改善する。

出典

  1. 1.2022 ESC Guidelines for the management of patients with ventricular arrhythmias and the prevention of sudden cardiac death(European Society of Cardiology・2022)ICDの一次・二次予防適応を可逆性、GDMT、心機能、期待余命から判断すること閲覧 2026-08-09
  2. 2.2021 ESC Guidelines on cardiac pacing and cardiac resynchronization therapy(European Society of Cardiology・2021)症候性HFrEFのQRS形態・幅・LVEFに基づくCRT適応とCRT-P・CRT-D選択閲覧 2026-08-09
  3. 3.Subcutaneous or Transvenous Defibrillator Therapy(The New England Journal of Medicine・2020)ペーシングを必要としないICD適応患者でS-ICDと経静脈ICDを比較した非劣性試験閲覧 2026-08-09