Cardiology

Cardiology · B-20

緊急心臓血管外科手術

Acute cardiac surgery

前提:病態
動脈瘤・大動脈解離心原性ショックの原因
前提:正常
心臓・心膜

🧠 全体像:緊急心臓外科手術が必要になるは、外傷、である。加えて心タンポナーデ、の高いAAA、急性高度AR/MRのように、圧迫・破裂・急性が直ちに循環を破綻させる病態を見逃さない。

主な心臓外科緊急疾患

大分類 緊急手術の目的
損傷部位を修復し、出血・タンポナーデ・循環不全を制御する
を置換し、と心タンポナーデを防ぐ
急性MIに対するCABG PCIや内科治療で制御できない虚血に外科的を行う

大動脈解離

  • では解離したで置換する。
  • 非合併型Type B解離は、厳格な血圧・心拍数管理を中心とする内科的治療と画像を第一選択とする。
  • 破裂、、進行する拡大、制御不能な疼痛・高血圧などを伴う合併型Type B解離では介入が必要であり、解剖学的に適合すればTEVARを第一選択として検討する。TEVARに不適な解剖や特定の結合組織疾患などではを検討する。
  • 置換の目的はと心タンポナーデの予防である。

⚠️ Type A/病変はが中心である。一方、Type Bでは「すべて」ではなく、合併型かどうかで内科的治療とTEVARを使い分ける。1

急性心筋梗塞に対する緊急CABG

適応

  • ACSでPCIが実施不能または不成功で、持続する虚血と広い範囲のリスクを伴う心筋が残り、外科的が可能な場合。
  • などを要するが、などの理由でPCIが適さず、CABGが実行可能な場合。
  • など、AMIのに対する緊急手術と同時に冠が必要な場合。

や3枝病変は方法を選ぶ重要な解剖学的要素だが、それだけで急性MIに対する緊急CABGの適応が決まるわけではない。虚血の持続、リスクを伴う心筋、PCIの実行可能性、で統合する。

flowchart TD
    A["急性MI・持続する虚血"] --> B["内科的治療/PCIを評価"]
    B --> C["PCI不能/不成功+広いリスクを伴う心筋"]
    C --> D["緊急CABGを検討"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coronary blood flow'>冠血流</span>を外科的に再建"]
    A --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mechanical complications'>機械的合併症</span>"]
    F --> D

心タンポナーデ

が蓄積し、心臓を圧迫する病態である。症候性タンポナーデはであり、ドレナージが必要となる。

手技 内容
なタンポナーデでは、原則としてによりを速やかに排出する
穿刺が困難な部位、、外傷・、反復性貯留、断が必要な場合などに選択する

は主になどに対する手術であり、通常の急性タンポナーデ解除手技としてと並列には扱わない。や穿外傷による「」では、穿刺だけでなく原因病変に対する緊急外科手術が必要となる。

腹部大動脈瘤

AAAの修復時期は、破裂・症候性病変と、無症候性病変の適応を分けて判断する。

  • 破裂または破裂が疑われるAAA:瘤径にかかわらず緊急の対象となる。
  • 症候性で未破裂のAAA:瘤に起因する腹痛・、圧痛、末梢塞栓などがあれば、通常の手術径に達していなくてもを検討する。
  • 無症候性AAA:標準的な修復の目安は最大径が男性で5.5 cm以上、女性で5.0 cm以上である。患者背景と解剖に応じてまたはEVARを選ぶ。
  • 、急速な拡大、は径だけで判断せず、早期修復を専門チームで検討する。

急性大動脈弁逆流

主な急性原因は解離である。LVが急なへ適応できず肺水腫・ショックへ進み得るため、だけに固定せず、感染組織の切除や大動脈修復を含む原因病変の緊急外科的是正を行う。2

急性僧帽弁逆流

心内膜炎、、急性MIに伴うでは、LA/LVが適応する時間がなく、を来す。

手術適応と術式

  • 急性高度MRによるでは、緊急のまたはを検討する。
  • EF <30%は急性高度MRの手術適応を決める基準ではない。急性期にはLVが拡大しておらず、EFが保たれていても重篤な循環不全を来し得る。
  • 術式は破壊範囲とで決める。とくに完全ではが中心となり、不完全など解剖学的に耐久性ある修復が可能な選択例では修復を検討する。3
  • 経カテーテル端々(transcatheter edge-to-edge repair; TEER、MitraClip)は標準的な外科手術と同列の一般的治療ではなく、が極めて高い、または手術不能な選択例についてで検討する。

⭐ 急性高度MRでは慢性MRのようなによる代償がないため、肺水腫とショックを伴えば迅速な機械的是正が必要となる。

まとめ

  • 三大原因は、急性MIに対するCABGである。
  • タンポナーデはを基本とし、原因と液体の性状に応じてまたは原因病変の緊急手術を行う。
  • 破裂AAAは瘤径にかかわらず緊急、症候性AAAはの対象となり、無症候性AAAの径基準とは分けて考える。
  • 急性AR/MRは急激なから肺水腫・ショックを起こすため、/置換術を検討する。

出典

  1. 1.Mechanical Complications of Acute Myocardial Infarction: A Scientific Statement From the American Heart Association(American Heart Association・2021)急性心筋梗塞後の乳頭筋断裂を含む機械的合併症の緊急評価・循環安定化と外科治療閲覧 2026-08-09
  2. 2.2022 ACC/AHA Guideline for the Diagnosis and Management of Aortic Disease(American College of Cardiology / American Heart Association・2022)Type A解離の緊急開放修復と合併型Type B解離の血管内治療閲覧 2026-08-09
  3. 3.2021 ESC/EACTS Guidelines for the management of valvular heart disease(European Society of Cardiology / European Association for Cardio-Thoracic Surgery・2022)急性重症大動脈弁・僧帽弁逆流で原因病変と弁破壊範囲に応じ緊急外科治療を選択すること閲覧 2026-08-09