Embryology

Embryology · 17.6

中枢神経系:臨床

Central Nervous System — Clinical

疾患
神経管閉鎖不全(二分脊椎・無脳症)中脳水道狭窄

🧠 CNSの臨床相関は「神経管閉鎖の失敗()」「髄液循環の失敗(水頭症)」「分割の失敗()」の3系統に整理する。 どれも17.1〜17.4で学んだ正常発生のどのステップが止まったかがそのまま病態になる、発生学のが最も濃縮された分野の1つ。

神経管閉鎖不全

17-1-neural-tube-neurulation)の閉鎖不全により生じる、頭頸部・脊椎で最も頻度の高い群。

部位 疾患 内容
閉鎖不全 ・大脳半球が形成されない。致死的
閉鎖不全(軽症) の癒合不全のみ、神経組織の脱出はない。無症状のことが多く、で気づかれることがある
閉鎖不全(中等症) 髄膜のみが欠損部から脱出、脊髄自体は正常位置
閉鎖不全(重症) 脊髄・神経組織を含めて脱出。運動・感覚障害を伴う(08-4-fetal-therapyの子宮内修復の対象)

母体の葉酸欠乏はの重要なリスク因子であり、妊娠可能な女性への葉酸摂取推奨(多くの国で妊娠前からの摂取が推奨される)はこの機序に基づく。バルプロ酸08-2-principles-of-teratology)などの拮抗的な薬剤も同様のリスクを高める。

母体血清・羊水中のAFP上昇08-3-prenatal-diagnosis)は、)のスクリーニング指標として用いられる。

水頭症

17-3-brain-vesicles)で産生された脳脊髄液の循環・吸収が障害され、脳室が拡大する病態。

  • が代表的な原因で、のみが拡大する()。
  • 出生前のに伴うの変形(II型)も水頭症の原因となりうる。

全前脳症

17-4-brain-differentiation)が左右の大脳半球に分割されず、単一の脳胞として残ってしまう重症の奇形。Shhシグナル経路(01-2-signaling-pathways)の異常が背景にあることが多く、顔面正中部の形成異常(など)を高率に合併する(顔面正中の発生と前脳の発生が密接に連動しているため)。

💡 で顔面正中の奇形を合併しやすいのは、前脳と顔面正中部(, 16-3-face-palate)が同じ時期・同じシグナルに依存して発生するため——「脳の真ん中が割れないと、顔の真ん中も割れない」という発生学的な連動が背景にある。

まとめ

  • 閉鎖不全()と閉鎖不全(の重症度スペクトラム)に大別される。
  • 母体葉酸欠乏はの主要なリスク因子で、AFP上昇がスクリーニング指標となる。
  • 水頭症は障害により脳室が拡大する病態で、が代表的原因。
  • の分割不全で、Shhシグナル異常が背景にあり顔面正中奇形を高率に合併する。