Forensic Medicine

Forensic Medicine · 23

窒息の分類と徴候

Classification of asphyxia, signs of asphyxia

前提:正常
圧受容器反射と化学受容器反射酸素・二酸化炭素運搬と低酸素症の種類
症状
点状出血

🧠 全体像:窒息とは、酸素が肺組織へ到達するのを何らかの機序が妨げる状態群の総称であり、単なるとは区別される概念である。実際の死因はそのものよりも、二次的なの機序(による徐脈・不整脈など)であることが多い。窒息は5段階の臨床経過をたどり、うっ血・点状出血を中心とした特徴的な外表・内景所見を残す。

窒息の定義

  • 窒息は、酸素が肺組織に到達するのを妨げる一連の病態の総称である
  • 窒息による死亡の直接原因は、単純なではなく、およびの二次的機序であることが多い(例:への圧迫による性の心停止など)

窒息の分類

機序 具体例
頸部の圧迫 、索条による/手による(ligature strangulation/manual strangulation)
気道の閉塞 による窒息、
胸部・頸部・顔面の圧迫
の窒息 酸欠環境での窒息、

💡 窒息による侵襲は必ずしも致死的とは限らない。侵襲の性質・程度・によって転帰は大きく異なり、を残さず回復する例もあれば、不可逆的な虚血性脳損傷によりに至る例もある。転帰はが不十分であった時間の長さに強く依存する。

窒息の臨床経過(5段階)

flowchart TD
    A["Stage I:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Prodromal stage'>前駆期</span><br>(10〜20秒)"] --> B["Stage II:呼吸困難期<br>(痙攣を伴う)"]
    B --> C["Stage III:無呼吸期"]
    C --> D["Stage IV:終末呼吸期"]
    D --> E["Stage V:不可逆的な心停止"]

窒息の徴候(血液のうっ滞・分布異常による所見)

窒息の徴候は、循環系のうっ滞と血液の分布異常(下記の「悪循環」参照)を反映して生じる。

区分 所見
外表所見 チアノーゼ
(うっ血、livor mortis)
顔面のうっ血・浮腫
顔面・下・口腔粘膜の点状出血
内景所見 漿膜面の点状出血
呼吸筋内の出血
肺の浮腫性腫脹
内臓のうっ血
血液の暗赤色化との異常(凝固しにくい)
脾臓の貧血様変化・形成

窒息における「悪循環」

窒息では、組織の酸素化不全と循環障害が互いを増悪させる悪循環が形成され、これが上記のうっ血・点状出血所見を生む背景となる。

flowchart TD
    A["窒息"] --> B["組織への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myocardial oxygen supply'>酸素供給</span>不全"]
    B --> C["毛細血管の拡張"]
    C --> D["静脈還流の減少"]
    D --> E["血行動態の低下(うっ滞)"]
    E --> F["組織への血流低下"]
    F --> B

まとめ

  • 窒息は酸素が肺組織に届くのを妨げる病態群であり、死因はそのものよりの二次的機序によることが多い。
  • 頸部圧迫・気道閉塞・胸部圧迫・の4つに機序で分類される。
  • から不可逆的心停止まで5段階の経過をたどり、外表(チアノーゼ、、顔面うっ血、点状出血)と内景(、肺浮腫、内臓うっ血、血液の暗赤色化・異常)の両面にを残す。