組織学

組織学 · 5.1

神経組織:ニューロン

Nervous tissue — Neurons

🧠 ニューロンは「受け取る()→処理する(細胞体)→送る(軸索)」という一方向の装置、と機能軸で覚える。 形態分類(・・・)は突起の“本数と生え方”の違いにすぎず、どのタイプも「受け取って送る」という基本ロジックは共通している——分類名を丸暗記する前に、このの原則を軸に据える。

ニューロンの3部分

ニューロンは中枢神経系・を通じた機能単位で、3つの部分からなる。

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dendrite'>樹状突起</span>:他ニューロンからの刺激を受容"]
  A --> B["細胞体:核・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='organelles'>細胞小器官</span>、統合"]
  B --> C["軸索:他細胞(神経・筋・腺)へ興奮を伝導"]
部分 特徴
細胞体 核は大きく優位(淡明, 01-4-nucleus)、核小体明瞭。がした好塩基性のが特徴的。の本体は細胞体にあり、軸索には存在しない
細胞体から伸びる多数の突起、シナプス(05-2-synapses)で他ニューロンからの刺激を受容
軸索 通常1本の長い突起、シナプスで終わり興奮を他の細胞(神経・筋・腺細胞)へ伝導。細胞体のピラミッド状の隆起=から始まる。軸索の細胞膜=、内容物=

⚠️ 「は細胞体にのみ存在する」という言い切りは修正が要る。 軸索にが無いのはそのとおりだが、にはゴルジアウトポストという小型のゴルジ分節が存在する。では、ゴルジ後輸送が長い(生体では)へ偏り、ゴルジアウトポストがに集積してそこで膜成分を仕分けし、軸索からは排除されている——このゴルジ後輸送を止めるとの伸長が停止し、成熟ニューロンではが退縮する1。「の本体は細胞体、軸索にはゼロ、には出張所がある」と3段階で覚え直す。

💡 が細胞体だけの話ではないのも同じ理由。 の観察では、内のポリリボソームが棘(スパイン)の頸部と幹の接合部の直下に選択的に集まっており、で追うと棘の29%にポリリボソームが付随していた2。細胞体で作ったタンパク質をすべて運ぶのではなく、シナプスのすぐ足元でも局所的に翻訳できる仕組みが形態として見えている、ということ。

💡 はrERのそのもので、01-2-membranous-organellesで扱った「rER発達=好塩基性=タンパク質合成が盛ん」という原則がニューロンにもそのまま当てはまる——ニューロンは常に神経伝達物質・・用のタンパク質を大量に合成し続ける必要があるため、細胞体は強い好塩基性を示す。

突起の数による分類

flowchart TD
  A["ニューロンの形態分類(突起の数・生え方)"]
  A --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unipolar'>単極性</span>:細胞体近くで1本の枝"]
  A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bipolar'>双極性</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dendrite'>樹状突起</span>1本+軸索1本"]
  A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multipolar'>多極性</span>:軸索1本+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dendrite'>樹状突起</span>2本以上、最も一般的"]
  A --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pseudounipolar'>偽単極性</span>:1本の突起が細胞体近くで二分岐"]
分類 主な分布
網膜、(内耳)
大脳皮質・、脊髄、——中枢神経系で最も一般的
()、

⭐ =()、=という対応は、末梢神経節(05-5-supporting-structures)を見分ける際の決め手として頻出。感覚を伝えるはという形態そのものが、末梢からの刺激をそのまま中枢へ中継する機能(で信号をほぼ減衰させずに伝える)を反映している。

まとめ

  • ニューロンは(受容)・細胞体(統合)・軸索(伝導)の3部分からなる。
  • 細胞体のはrERので、ニューロンの旺盛なタンパク質合成を反映し好塩基性を示す。
  • 突起の数・生え方により・・・に分類される。
  • は(感覚)、はに代表的に分布する。
  • の本体は細胞体にあり軸索には無いが、にはゴルジアウトポストという小型のゴルジ分節がに存在する。
  • にはポリリボソームが棘の基部に集まっており、シナプス近傍での局所的なタンパク質合成が可能である。

出典

  1. 1.Polarized secretory trafficking directs cargo for asymmetric dendrite growth and morphogenesis(Neuron・2005)海馬錐体細胞では、ゴルジ体を出た後の膜輸送が長い樹状突起(生体では尖端樹状突起)へ偏っている。ゴルジアウトポストと呼ばれる小型のゴルジ分節が長い樹状突起へ選択的に分配され、分岐点に集積してゴルジ後輸送を行う一方、軸索からは排除される。ゴルジ後輸送を阻害すると樹状突起の伸長が止まり、成熟ニューロンでは樹状突起が退縮する閲覧 2026-08-24
  2. 2.Preferential localization of polyribosomes under the base of dendritic spines in granule cells of the dentate gyrus(The Journal of Neuroscience・1982)ラット歯状回の電子顕微鏡観察で、樹状突起内のポリリボソームは棘(スパイン)の頸部と樹状突起幹の接合部の直下に選択的に局在する。連続切片解析では全体を通して見た棘の29%にポリリボソームが付随し、樹状突起内ポリリボソームの81%が棘の基部または棘基部と連続する隆起の下に位置していた。棘基部と隆起は樹状突起輪郭のごく一部しか占めないため、この偏在は偶然では説明できない閲覧 2026-08-24