組織学

組織学 · 5.5

神経組織:支持構造

Nervous tissue — Supporting structures

🧠 末梢神経のは骨格筋の結合組織の階層(04-1-skeletal-muscle)とまったく同じ入れ子パターンで覚える。 ()が個々の軸索を、がのを、()が神経全体を包む——「個」「束」「全体」という3段階の入れ子構造は結合組織全般に共通する設計原則。

末梢神経の結合組織:3層構造

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='epineurium'>神経上膜</span>:神経全体を覆う<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dense irregular CT'>密性不規則性結合組織</span>"]
  A --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='perineurium'>神経周膜</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fascicle'>神経束</span>を包む、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blood-nerve barrier'>血液神経関門</span>を形成"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endoneurium'>神経内膜</span>:個々の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Schwann cell'>シュワン細胞</span>・軸索を包む薄い結合組織層"]
層 包む対象 特徴
個々の軸索+ 薄い結合組織層、末梢神経内の最も内側の層
軸索の束= 扁平な上皮様の細胞(した)がに何層も重なり、(02-3-cell-junctions)で連結して拡散障壁を作る
神経全体(複数の) (03-4-ct-proper-types)からなる最も外側の厚い層

⭐ がにより拡散障壁を作るという点は、血液脳関門(アストロサイト・05-3-neurogliaが関与)と並んで頻出。中枢の血液脳関門と末梢のは、どちらも「神経組織の内部環境を血液から隔離して保護する」という共通目的をもつが、担い手の細胞が異なる点を対比して覚える。

⚠️ はだけの仕事ではない。 末梢神経の内部環境は2つの障壁で保たれている——①神経内を走る微小血管の内皮がをもち、血液と神経内部のあいだのイオン・溶質・水・高分子・白血球の出入りを制御する、②の最が、自由に透過すると内側とのあいだの成分の移動を制御する。血液と直接接しているのは①なので、厳密にはこちらこそがと呼ばれるべきものである1。末梢ではがもう一枚の壁として加わる、と2枚重ねで捉えるとよい。のは血液脳関門に次いで2番目に制限の強い血管系である。

神経節

神経節はニューロンの細胞体が集まった構造で、・のいずれかに分類される。

分類 構成するニューロンの形態(05-1-neurons) 代表例
()
・

神経節内の各ニューロン細胞体は、(05-3-neuroglia)という被膜細胞に密に取り囲まれ、神経節全体は末梢神経と連続する結合組織に覆われる。

💡 神経節でニューロン細胞体を覆うは、CNSにおけるニューロン周囲のグリア支持と同じ役割(代謝支援・微小環境の維持)をPNSで担う細胞——中枢と末梢で「ニューロンの細胞体を支えるグリア」の対応関係(CNS:アストロサイトなど/PNS:)として整理できる。なお骨格筋の再生を担うは名前が同じだけの別物(筋の幹細胞であってグリアではない)で、混同しないこと。

💡 は「ただの被膜」ではなく、ニューロンと双方向にやりとりする活動的なグリアである。 の衛星は中枢のグリアと多くの性質を共有し、ATPやをはじめ多数の神経活性物質の受容体をもって周囲の変化に応答する。その活性化は隣接するニューロンの興奮性に影響し、は衛星にも及ぶため、で神経節に起こる病的変化の一部はこの細胞が担っていると考えられている2。「細胞体を包んでいるだけ」と覚えると、痛みの慢性化に神経節のグリアが関わるという話につながらない。

まとめ

  • 末梢神経は(個々の軸索)・(、を形成)・(神経全体)の3層構造をもつ。
  • はによりを作り、神経内部の環境を血液から隔離する。
  • 神経節は(、)と()に分かれる。
  • 神経節内のニューロン細胞体はに取り囲まれ、代謝支援・微小環境の維持を受ける。骨格筋のとは別物。
  • はの最と、神経内を走る微小血管内皮のという2つの障壁からなり、血液と直接接する後者こそが厳密な意味でのである。
  • は受容体をもってニューロンと双方向にやりとりする活動的なグリアで、にも関与する。

出典

  1. 1.Biology of the human blood-nerve barrier in health and disease(Experimental Neurology・2020)末梢神経の内部環境は2つの障壁で保たれる。密着結合をもつ神経内の微小血管が血液と内部とのあいだのイオン・溶質・水・高分子・白血球の出入りを制御し、神経周膜の最内層が自由に透過する神経上膜と内側とのあいだの間質液成分の移動を制御する。厳密には血液と直接接している神経内微小血管内皮こそが血液神経関門とみなすべきである。哺乳類の血液神経関門は血液脳関門に次いで2番目に制限の強い血管系である。神経周膜は特殊化した上皮様筋線維芽細胞が同心円状に何層も重なったものである閲覧 2026-08-24
  2. 2.Satellite glial cells in sensory ganglia: from form to function(Brain Research Reviews・2005)感覚神経節の衛星グリア細胞は中枢のグリアと多くの性質を共有する。ATPやブラジキニンなど多数の神経活性物質の受容体をもち、他の細胞からの信号を受けて環境変化に応答し、その活性化が隣接ニューロンに影響しうる。感覚神経節の軸索損傷は衛星グリア細胞にも及び、神経障害性疼痛における神経節の病的変化に関与すると考えられる閲覧 2026-08-24