組織病理学

組織病理学 · H1-013

結核性リンパ節炎

Tuberculous lymphadenitis

描出疾患
結核
疾患
猫ひっかき病

🧠 全体像:は、中心のを、、リンパ球が囲む壊死性肉芽腫性炎である。低倍率で「リンパ節構築を置換する壊死性肉芽腫」、高倍率で「無構造壊死→→リンパ球」の層を追う。

標本の要点

項目 所見
臓器 リンパ節
染色 ・染色(HE)
病変 を伴う
中心 細胞輪郭を失った好酸性・の壊死物質
周囲 、、リンパ球
残存構造 病変外にを認めうる

発症機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Mycobacterium tuberculosis'>結核菌</span>をマクロファージが貪食"] --> B["Th1細胞応答"]
    B --> C["IFN-γによりマクロファージを活性化"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='epithelioid cells'>類上皮細胞</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multinucleated giant cell'>多核巨細胞</span>を形成"]
    D --> E["肉芽腫で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='locus of infection'>感染巣</span>を封じ込める"]
    E --> F["中心部に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='caseous necrosis'>乾酪壊死</span>"]

肉芽腫は排除しにくい病原体を局所へ封じ込める細胞性免疫反応である。ただし、封じ込めは完全なを意味せず、菌が残存して再活性化することがある。

観察の順序

低倍率

  1. リンパ節の正常な濾胞構築を確認する。
  2. 正常構築を置換する円形から融合性の肉芽腫を探す。
  3. 肉芽腫中央の淡い無構造領域をとして捉える。
  4. 壊死性肉芽腫と、壊死を欠く、残存を区別する。

高倍率

所見 読み方
細胞輪郭や核を失った・好酸性の壊死物質
豊富な淡質と細長い核をもつ
複数核が細胞辺縁に弧状・馬蹄状に並ぶ
リンパ球 肉芽腫外側を取り囲み、細胞性免疫反応を示す
密な小型リンパ球とからなり、肉芽腫とは構成細胞が異なる

⭐ は結核を示唆するが、結核に特異的ではない。真菌感染や他の肉芽腫性炎でも出現しうる。

診断の考え方

は結核を強く示唆するが、形態だけで確定しない。壊死の有無を問わず肺の肉芽腫一般を対象に、7か国10施設の・切除500例を見直した検討でも、原因を特定できたのは58%にとどまり、27%、抗酸菌または真菌感染25%であった。真菌の多くは組織像で、抗酸菌の多くは培養で同定されており、を鑑別に挙げた時点で組織と培養の両方へ検体を出す必要がある1。、、培養を臨床・画像所見と組み合わせる。が陰性でも菌量が少ない結核を除外できない。も万能ではなく、リンパ節に対するXpert MTB/RIFのは複合参照基準に対して81.6%(95%信用区間61.9〜93.3)、特異度96.4%であり、陰性でもは否定できない2。

鑑別

病変 鑑別点
類似する壊死性肉芽腫を作り、培養・分子検査で菌種を同定する
真菌性リンパ節炎 壊死性肉芽腫を作り、やで菌体を検索する
通常はに乏しい境界明瞭な肉芽腫を形成する
壊死と好中球性膿瘍を伴う肉芽腫が目立つ
性異物やを認める

まとめ

  • の基本像は、を伴うである。
  • 、、、リンパ球を低倍率から高倍率へ追う。
  • 残存と肉芽腫を混同しない。
  • 形態は結核を示唆するが特異的ではなく、抗酸菌検査・・培養で確認する。

出典

  1. 1.Causes of pulmonary granulomas: a retrospective study of 500 cases from seven countries(Journal of Clinical Pathology・2012)7か国10施設の肉芽腫を含む肺生検・切除500例を肺病理専門医が見直した研究。原因が特定できたのは58%(290/500)にとどまり、内訳はサルコイドーシス136例(27%)、抗酸菌または真菌感染125例(25%)。抗酸菌は米国外の19%に対し米国内は8%、真菌は米国内19%に対し米国外4%と地域で逆転した。真菌の多くは組織像で、抗酸菌の多くは培養で同定された。42%(210/500)は組織学的検索を行っても病因を決定できなかった閲覧 2026-08-24
  2. 2.Xpert MTB/RIF Ultra and Xpert MTB/RIF assays for extrapulmonary tuberculosis and rifampicin resistance in adults(Cochrane Database of Systematic Reviews・2021)69研究のメタ解析。リンパ節穿刺検体に対するXpert MTB/RIFの統合感度は複合参照基準に対して81.6%(95%信用区間61.9〜93.3、4研究377例)、特異度96.4%(91.3〜98.6)で、リンパ節結核が100人いる1000人の集団では882人が陰性となりそのうち19人(2%)は結核である。髄液・胸水など検体ごとに感度は大きく異なり、特異度は総じて高い閲覧 2026-08-24