組織病理学

組織病理学 · H2-014

古典的ホジキンリンパ腫・結節硬化型(HE染色)

Hodgkin-lymphoma NS (HE)

描出疾患
ホジキンリンパ腫

🧠 全体像:古典的・(nodular sclerosis classic Hodgkin lymphoma)は、太いで分割された結節内に、(Reed-Sternberg cell)と裂隙細胞が多彩な炎症背景を伴って出現するB細胞由来腫瘍である。若年者の縦隔・下頸部・リンパ節に多い。

組織構築

所見 読み方
結節性構築 太いがリンパ節を結節状に分割
大型、二核〜多核、好酸性核小体と明庭
ホジキン細胞 単核型の腫瘍細胞
裂隙細胞 と淡明な細胞質をもつの代表的亜型
炎症背景 リンパ球、好酸球、、形質細胞など

は固定により細胞質が収縮し、周囲に空隙ができたようにみえる。空隙そのものが真のやではない。

リード・シュテルンベルグ細胞

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='germinal center B cell'>胚中心B細胞</span>由来の腫瘍細胞"] --> B["B細胞プログラムの多くを失う"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Reed-Sternberg cell'>リード・シュテルンベルグ細胞</span>・ホジキン細胞"]
    C --> D["サイトカインを分泌"]
    D --> E["リンパ球・好酸球・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='histiocyte'>組織球</span>を動員"]
    E --> F["少数の腫瘍細胞と豊富な反応性背景"]
    C --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nodular sclerosis'>結節硬化型</span>では裂隙細胞が出現"]

典型的な鏡像核では、二つの核または核葉に大きな好酸性核小体と周囲の明庭があり、「」と表現される。ただし、リード・は感染症や他のリンパ腫でも出現しうるため、単一細胞だけで診断しない。

免疫表現型

マーカー の典型
強陽性
CD15 多くで陽性
PAX5 弱陽性
CD20 陰性〜弱陽性・部分陽性
OCT2・BOB1 弱いか欠失することが多い
EBER 病型・地域・患者背景により可変

69例の検討では、との・ホジキン細胞のほぼ全例がCD15(Leu-M1)と(Ber-H2)の両方に陽性であり、はCD15・陰性でEMA陽性という別の表現型を示した1。PAX5(BSAP)陽性でOCT2またはBOB1のいずれかが欠けるという組み合わせもを支持し、CD20・CD22・CD79aの3種がそろって陽性になるのはとDLBCLに限られる2。

の関連はの他の一部病型より低く、70%と固定しない。陽性だけでも、陰性だけでもを確定・除外できない。中国北部の157例ではEBER陽性が39%で、陽性は・男性・若年に偏り、若年成人には陰性という別のピークがあった。同じ検査法で調べたオランダの515例コホートとは年齢分布・組織型・状態が大きく異なる3。関連率は年齢・性・民族・地域で動くため、単一の数字として暗記しない。

💡 分類体系ごとの位置づけを確認する。 の分類は-HAEM5(2022)とICC(2022)が並立するが、という病型そのものはICC 2022でも実質的に変更されていない。動いたのは周辺で、(NLPHL)は病理学的・生物学的・臨床的な差異を理由にB細胞リンパ腫(NLPBL)へ改称され、旧「B細胞リンパ腫・分類不能、DLBCLとの中間的特徴をもつもの(BCLU)」はへ改称されたうえで、高い腫瘍細胞密度と強く保たれたB細胞プログラムの両方を要件とするよう基準が絞られた4。旧名も試験では問われうるので、改称前後を対にして覚える。の若年成人という臨床像はと縦隔グレーゾーンリンパ腫で重なる。

臨床像と病期

若年成人に多く、、下頸部・リンパ節腫脹で発見される。が典型だが、発熱、、体重減少などB症状を伴うこともある。

評価 役割
切除または十分な 構築とを確定
/ 病期と治療反応を評価
血算・生化学 臓器機能と治療前リスクを評価
病期・bulky病変・B症状 治療強度を決める

頸部リンパ節の肉眼所見と病期は H2-016:の頸部リンパ節 で確認する。

治療の安全性

は高い治癒率をもつ。早期良好群、早期不良群、に分け、化学療法、抗、、などを組み合わせる。組織型だけで治療を決めず、病期とリスクで個別化する。

長期生存が期待できるため、肺・心毒性、不妊、二次がんなどの晩期障害も考慮する。

まとめ

  • では太い線維帯、結節性構築、裂隙細胞を確認する。
  • は大きな核小体をもつが、単独では特異的でない。
  • 強陽性、CD15陽性、PAX5弱陽性が典型である。
  • 関連率を70%と固定せず、病期・リスクに基づいて治療する。

出典

  1. 1.Monoclonal antibodies in the diagnosis of Hodgkin's disease. The search for a rational panel(The American Journal of Surgical Pathology・1988)ホジキン病69例のリンパ節生検の検討で、結節硬化型と混合細胞型ではリード・シュテルンベルグ細胞とホジキン細胞のほぼ全例がCD15(Leu-M1)とCD30(Ber-H2)の両方に陽性であった一方、結節性リンパ球優位型のlymphocytic and histiocytic細胞はLN-1全例陽性・EMA多くで陽性でCD15・CD30は陰性という異なる表現型を示し、両者が表現型で明確に分かれたこと閲覧 2026-08-24
  2. 2.The B-cell transcription factors BSAP, Oct-2, and BOB.1 and the pan-B-cell markers CD20, CD22, and CD79a are useful in the differential diagnosis of classic Hodgkin lymphoma(American Journal of Clinical Pathology・2003)古典的ホジキンリンパ腫57例・結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫5例・非ホジキンリンパ腫33例(DLBCL 25例、未分化大細胞型リンパ腫8例)の検討で、BSAP(PAX5)陽性かつOct-2またはBOB.1のいずれかが陰性という組み合わせが古典的ホジキンリンパ腫を予測し、BSAP陽性・Oct-2陽性・BOB.1陽性は結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫またはDLBCLを予測したこと。pan-B細胞マーカー3種(CD20・CD22・CD79a)がすべて陽性となったのは結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫とDLBCLだけで、古典的ホジキンリンパ腫では単一マーカーのみの陽性にとどまったこと閲覧 2026-08-24
  3. 3.Epidemiology of classical Hodgkin lymphoma and its association with Epstein Barr virus in Northern China(PLoS ONE・2011)古典的ホジキンリンパ腫の発生率とEBV関連は年齢・性・民族・地域で大きく変わること。中国北部の157例ではEBER in situ hybridizationで39%がEBV陽性であり、陽性は混合細胞型・男性・若年と有意に関連し、小児・思春期にEBV陽性混合細胞型のピーク、若年成人にEBV陰性結節硬化型のピークという二峰性を示して、オランダの515例コホートとは年齢分布・組織型・EBV状態が大きく異なったこと閲覧 2026-08-24
  4. 4.Evolution in the definition and diagnosis of the Hodgkin lymphomas and related entities(Virchows Archiv・2023)2022年のInternational Consensus Classification(ICC)では古典的ホジキンリンパ腫(CHL)は実質的に変更のない病型として残った一方、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫(NLPHL)が病理学的・生物学的・臨床的な差異を理由に結節性リンパ球優位型B細胞リンパ腫(NLPBL)へ改称されたこと。Fanのパターンa・b・cを「typical」(grade 1)、パターンd・e・fを「variant」(grade 2)にまとめ、T細胞・組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫をvariant NLPHLの連続体に位置づけたこと。旧「B細胞リンパ腫・分類不能でDLBCLとCHLの中間的特徴をもつもの(BCLU)」が縦隔グレーゾーンリンパ腫(MGZL)へ改称され、高い腫瘍細胞密度と強く保たれたB細胞プログラムの両方を要件とするよう診断基準が絞られたこと閲覧 2026-08-24