組織病理学

組織病理学 · H2-064A

末期腎(ピクロシリウス染色)

End-stage kidney (picrosirius)

描出疾患
慢性腎臓病

🧠 全体像:はを強調し、におけると糸球体瘢痕の分布を捉える補助染色である。線維化の存在を示すが、原因疾患を単独で確定する染色ではない。

は、糖尿病、高血圧、、慢性尿細管間質疾患など異なる原因が高度なへ収束した終末像である。腎は典型的には萎縮・となるが、原疾患により大きさは異なる。

染色で評価するもの

評価部位 ・での要点 病理学的な意味
尿細管間質 で赤く強調される との広がり
糸球体 の増加 不可逆的な糸球体瘢痕
血管周囲・血管壁 性肥厚 慢性血管傷害
残存皮質 線維化部との対比 保存された実質の割合
flowchart TD
    A["HEで糸球体・尿細管・炎症を評価"] --> B["ピクロシリウス赤で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='collagen fiber'>膠原線維</span>を強調"]
    B --> C["線維化の分布と広がりを確認"]
    C --> D["HEの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tubular atrophy'>尿細管萎縮</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glomerulosclerosis'>糸球体硬化</span>と対応"]
    D --> E["臨床・原疾患と統合して慢性度を評価"]

解釈の限界

下ではがを示す。色調や線維の太さは配列・成熟度・切片条件にも影響されるため、色だけからコラーゲンI型・III型を厳密に同定しない1。また、ピクロシリウス陽性面積が増えても、それだけで、、などの原因を区別することはできない。

できること できないこと
性瘢痕の可視化 原疾患の単独確定
の分布 現在の腎機能の直接測定
HE所見の補完 色調だけによるコラーゲン型の断定

💡 線維化の量は原因を決めないが、予後は決める。 自己腎生検676例のコホートでは、/が軽微例に比べ中等度で2.14、高度で3.42、が中等度2.17・高度3.31と、蛋白尿・で調整しても 40%低下またはへの進行と独立に関連した2。線維化の広がりを記述する意義はここにある。

形態の正準ノートは (HE染色)、同染色の基本は (ピクロシリウス染色) を参照する。

まとめ

  • ピクロシリウス赤染色はの性瘢痕を強調する。
  • HEで確認した・と位置を対応させる。
  • 染色単独で線維化の原因やコラーゲン型を断定しない。

出典

  1. 1.Picrosirius red staining: a useful tool to appraise collagen networks in normal and pathological tissues(Journal of Histochemistry and Cytochemistry・2014)偏光下でピクロシリウスレッド染色の膠原線維束が緑・赤・黄に見えるのは線維の太さと詰まり方を反映しているにすぎず、この色素が吸収する偏光量はコラーゲン束の向きに強く依存するため、偏光色からコラーゲンの型を区別することはできないと組織学的実例で示した。黒い背景とのコントラストが定量的形態計測に向くという利点は別にある。閲覧 2026-08-24
  2. 2.The Prognostic Value of Histopathologic Lesions in Native Kidney Biopsy Specimens: Results from the Boston Kidney Biopsy Cohort Study(Journal of the American Society of Nephrology・2018)自己腎生検676例(平均eGFR 57.5 mL/分/1.73 m²、追跡中央値34.3か月、199例が腎機能進行)で、間質線維化/尿細管萎縮が軽微例に比べ中等度でハザード比2.14(95%CI 1.24–3.69)、高度で3.42(1.99–5.87)、全節性糸球体硬化が中等度2.17(1.36–3.45)・高度3.31(2.04–5.38)と、臨床病理診断・蛋白尿・eGFRで調整しても腎機能進行(eGFR 40%以上低下または腎代替療法)と独立に関連した。11点の慢性度スコアは1点上昇ごとにハザード比1.19(1.12–1.27)。閲覧 2026-08-24