組織病理学

組織病理学 · H2-063B

末期腎(HE染色)

End-stage kidney (HE)

描出疾患
慢性腎臓病

🧠 全体像:は、原因の異なる慢性腎疾患が、、、、慢性炎症、血管硬化へ収束した終末像である。所見の核は「」と「甲状腺様尿細管」の組合せである。

HEで探す構造

所見 見え方 解釈
が失われ、好酸性の硬化物に置換 不可逆的な喪失
細動脈壁の均一な好酸性肥厚 高血圧・糖尿病などの慢性血管傷害
上皮、内腔縮小または拡張、 慢性尿細管傷害
拡張・萎縮尿細管に好酸性円柱が貯留 高度な慢性尿細管間質傷害
尿細管間がで拡大 機能実質の減少。と合わせた程度が腎機能進行のになる1
リンパ球・ 線維化間質に慢性炎症細胞 慢性傷害に伴う非特異的反応
flowchart TD
    A["慢性糸球体・血管・尿細管間質傷害"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Nephron'>ネフロン</span>喪失"]
    B --> C["残存<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Nephron'>ネフロン</span>への負荷増加"]
    C --> D["二次性硬化と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tubular atrophy'>尿細管萎縮</span>"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='interstitial fibrosis'>間質線維化</span>・甲状腺様変化"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='End-Stage Kidney'>末期腎</span>の非特異的終末像"]

読み方の注意

糸球体のは、単なる「蛋白が詰まって圧迫した状態」ではない。の消失、増加、虚血やなどを介した慢性の結果として捉える。標本内に残る比較的保たれた糸球体と比較すると、病変のが分かりやすい。

肉眼では両腎が萎縮し表面がとなることが多いが、糖尿病、、などでは必ずしも小さくならない。したがって腎の大きさだけで末期かどうかを決めない。

臨床との対応

高度な喪失により、排泄、尿濃縮、水・電解質・酸塩基調節が障害される。さらに産生低下によるや、低下・リン排泄障害によるに伴う骨・ミネラル代謝異常を生じうる。

(chronic kidney disease: )G5は 15 mL/min/1.73 m²未満であり2、「腎機能が10%未満」という表現だけで定義・治療開始を決めない。透析開始は症状、治療抵抗性の体液・電解質・酸塩基異常、血圧、などを総合して判断し3、、、腎移植、を患者ごとに検討する。

全体の正準ノートは (HE染色) を参照する。

まとめ

  • 、、、血管硬化を一連の慢性変化として読む。
  • 甲状腺様変化は好酸性円柱を含む萎縮・拡張尿細管である。
  • の形態は非特異的で、原疾患と透析適応は臨床情報を統合して判断する。

出典

  1. 1.The Prognostic Value of Histopathologic Lesions in Native Kidney Biopsy Specimens: Results from the Boston Kidney Biopsy Cohort Study(Journal of the American Society of Nephrology・2018)自己腎生検676例の前向きコホートで、eGFR・蛋白尿・臨床病理診断で補正しても、間質線維化・尿細管萎縮(軽微に対し重度でハザード比3.42、95%信頼区間1.99–5.87)、全節性糸球体硬化(同3.31、2.04–5.38)、動脈硬化(同1.64)、細動脈硬化(同2.33)が腎機能進行と独立に関連し、慢性病変を合計した11点の慢性度スコアは1点増加あたりハザード比1.19(1.12–1.27)であった。閲覧 2026-08-24
  2. 2.KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease(KDIGO・2024)CKDはGFR区分(G1–G5)とアルブミン尿区分で分類し、G5はGFR 15 mL/min/1.73 m²未満と定義される。閲覧 2026-08-24
  3. 3.A randomized, controlled trial of early versus late initiation of dialysis(The New England Journal of Medicine・2010)IDEAL試験で、eGFR 10.0–14.0 mL/min/1.73 m²での早期透析導入群404例と5.0–7.0での遅延導入群424例の死亡率に差はなかった(ハザード比1.04、95%信頼区間0.83–1.30、P=0.75)。遅延群の75.9%は症状出現のため目標値より高いeGFRで導入されており、導入時期は数値ではなく症状で決まる。閲覧 2026-08-24