組織病理学

組織病理学 · H2-084A

卵胞嚢胞

Follicular ovarian cyst

描出疾患
卵巣機能性嚢胞・良性腫瘍

🧠 全体像:は、排卵しなかった卵胞または退縮しない卵胞が拡張して生じるである。多くは良性・一過性で自然消退する。

形成と形態

flowchart TD
    A["成熟卵胞"] --> B["排卵不成立または退縮遅延"]
    B --> C["卵胞液が貯留"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicular cyst'>卵胞嚢胞</span>"]
    D --> E["多くは自然消退"]
    D --> F["出血・破裂・捻転"]
所見
由来 卵胞 排卵後の黄体
被覆細胞 ・;圧迫で・消失 細胞
内容 通常は透明な液体 出血性内容が多い
臨床 多くは無症候性 月経遅延、疼痛、出血を来しうる

単発・多発のいずれもあり、液体貯留による圧迫で被覆細胞が目立たなくなる。「とが同時に被覆する」と一律に説明せず、とを区別する。・被膜との位置関係も確認する。

診断と管理

超音波で薄壁、、、なしという像を評価する。閉経前の単純なは経過観察できることが多い。持続・増大、複雑な内部、強い症状、閉経後では腫瘍性病変を含めて再評価する。

💡 「経過観察でよい」の線引きは施設の勘ではなく分類で決まる。 ACRの v2022では、3cm以下の・黄体は閉経前女性に限り 1(悪性リスク0%)、などの典型的良性病変は 2(悪性リスク1%未満)とされ、の追跡閾値は閉経前で5cm以下なら追跡不要、閉経後は3cm超で12か月後の追跡を要する、というように閉経状態で変わる1。のSimple Rules・ADNEXモデルも同じ層別化を担うで、と排他的な関係にはない。分類の全体像はスコアノート「」を参照する。

⚠️ 「多くは自然消退する」を短期間で消えるという意味に取らない。 超音波で良性と判断され保存的に管理された新規1,919例の前向きコホート(IOTA5)では、2年以内にしたのは20.2%(95%CI 18.4–22.1)にとどまった2。同じコホートで手術により浸潤癌が見つかったのは0.4%(95%CI 0.1–0.6)で、良性像ならは安全というは支持される2。この分母はに限らず良性像の全体なのでそのものの消退率ではないが、「良性=すぐ消える」と説明すると、消えないまま経過する多数例で患者の不安と不要な手術を招く。

急な強い痛み、循環不安定、では破裂出血やを検索する。管理の詳細は機能性卵巣嚢胞を参照する。

まとめ

  • 排卵不成立または退縮遅延によるである。
  • 顆粒膜・は圧迫で目立たなくなりうる。
  • 多くは自然消退するが、・持続・は再評価する。

出典

  1. 1.O-RADS™ US v2022 — Assessment Categories / Classic Benign Lesions(American College of Radiology(O-RADS委員会)・2022)O-RADS 1は生理的な卵胞・黄体(いずれも3cm以下)で閉経前女性にのみ用い悪性リスク0%、単純嚢胞などの典型的良性病変はO-RADS 2で悪性リスク1%未満であること。単純嚢胞の追跡閾値が閉経状態で異なり、閉経前は5cm以下なら追跡不要、閉経後は3cm超で12か月後の追跡を要すること閲覧 2026-08-24
  2. 2.Risk of complications in patients with conservatively managed ovarian tumours (IOTA5): a 2-year interim analysis of a multicentre, prospective, cohort study(The Lancet Oncology・2019)超音波で良性と判断され保存的に管理された新規付属器腫瘤1,919例の前向きコホート(IOTA5、14か国36施設)で、2年以内の自然消失は20.2%(95%CI 18.4–22.1)にとどまり、手術で浸潤癌が見つかったのは0.4%(95%CI 0.1–0.6)であったこと。超音波形態が良性であれば悪性と急性合併症のリスクは低く、保存的管理が支持されること閲覧 2026-08-24