Histopathology

Histopathology · H2-103B

下垂体腺腫による巨舌症

Macroglossia propter adenoma hypophysis

描出疾患
先端巨大症・プロラクチノーマ(下垂体腺腫)

🧠 全体像産生腺腫は、成人発症であれば(acromegaly)として軟部組織・骨の肥大を引き起こし、舌の肥大(:macroglossia)もその一所見である。腫瘍による下垂体・視交叉への圧迫症状と、下垂体組織そのものの急性・慢性破壊は別の機序として整理する。

標本の見方

提示標本では2本の舌を並べ、前方に正常大の舌、後方に肥大した舌を示す。舌の肥大自体は非特異的所見であり、原因疾患を特定するには臨床情報(成長パターン、他の様所見、下垂体)が必要になる。

所見 解釈
(肥大した舌) 軟部組織過形成の代表的な現れの一つ
手足・下顎の肥大 で舌の肥大と並んでみられる骨格・軟部組織変化

成長ホルモン産生腺腫の機序

成人発症のGH過剰は、腺腫によることが大部分で、性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)の作用ではない。GHは肝臓でのIGF-1産生を介して軟部組織・骨・内臓の過成長を促す。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior pituitary'>下垂体前葉</span>の体細胞性腺腫"] --> B["GH過剰分泌"]
    B --> C["肝臓でIGF-1産生増加"]
    C --> D["軟部組織・骨の過成長"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='macroglossia'>巨舌症</span>・下顎肥大・手足の肥大"]
    A --> F["腺腫が増大し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sella turcica'>トルコ鞍</span>を破壊"]
    F --> G["視交叉を下方から圧迫"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bitemporal hemianopsia'>両耳側半盲</span>"]

⚠️ 腺腫がを破壊して増大すると、視交叉を下方から圧迫し、耳側視野から欠損する(bitemporal hemianopia)を生じる。「末梢視野が悪くなる」という曖昧な理解ではなく、という特徴的なパターンとして押さえる。

下垂体の急性・慢性破壊

病態 機序
分娩時大量出血・低血圧による。妊娠中に生理的に肥大した下垂体は虚血に脆弱 分娩後に亜急性〜慢性に発症
既存の腺腫内への出血・梗塞 突然の高度頭痛・視力障害・で急性発症する内分泌緊急症

は「に細胞増殖が低下すること」そのものが原因なのではなく、大量出血・低血圧による虚血が主因である。は既存の腺腫を背景に突然発症することが多く、迅速な診断とへの対応を要する。

)でも生じるが、これは下垂体病変とはに、結合組織・筋肉の特性や相対的な口腔容積の違いによるものである。

の診断・治療の詳細は全般は視床下部・の機能低下・亢進を参照する。

まとめ

  • 成人発症のを伴うは、GH産生体細胞性腺腫によるを考える。
  • 腺腫の症状はという特徴的なパターンで現れる。
  • は分娩時の出血・低血圧によるは既存腺腫への出血・梗塞である。
  • など下垂体病変以外の原因でも生じる非特異的所見である。