Internal Medicine

Internal Medicine · H-11

遺伝性血友病A・B

Hereditary hemophilias: Hemophilia A and B

前提:病態
凝固系の機能低下に関連する病態血液凝固に作用する薬I:抗血小板薬・線溶薬・止血薬
前提:正常
血液凝固。線溶。生理的抗凝固機構。
疾患
血友病A・B
症状
関節内出血

🧠 全体像:血友病A(hemophilia A)は第VIII因子、血友病B(hemophilia B)はの先天性欠乏で、いずれも原則X連鎖遺伝する。深部筋肉・が特徴で、PTは正常、APTTが延長する。重症血友病では出血時治療だけでなく、または非による定期予防療法が標準である。

血友病AとB

項目 血友病A 血友病B
欠乏因子 第VIII因子
遺伝子 F8 F9
頻度 より多い 少ない
臨床像 同様 同様
反応を確認した軽症Aで使用可能 無効
非凝固因子予防 を使用可能 現時点で同じ適応ではない

女性保因者でも因子活性低下や出血症状を示すことがあり、「保因者だから出血しない」とは限らない。家族歴がない例もある。

重症度

重症度 凝固因子活性 臨床像
重症 < 1 IU/dL(<1%) 自然出血、幼少期から反復関節・筋肉出血
中等症 1〜5 IU/dL 軽微な外傷後出血、時に自然出血
軽症 > 5〜40 IU/dL 手術・・大きな外傷で出血

因子活性と出血表現型は完全には一致しないため、既往と関節状態も評価する。

臨床像

  • 、膝、肘に多く、反復するとを来す
  • では股関節痛、障害
  • 皮下・口腔出血、遷延する術後・後出血
  • 頭蓋内、頸部・咽頭、消化管出血は生命危機
  • 血尿ではによる尿路閉塞にも注意する

診断

flowchart TD
    A["深部出血または家族歴"] --> B["PT正常・APTT延長"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mixing test'>混合試験</span>"]
    C --> D["補正する"]
    C --> E["補正しない・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='incubation'>孵置</span>後に延長"]
    D --> F["FVIII・FIX活性測定"]
    F --> G["FVIII低下:血友病Aと<span class='jp-term jp-term-diagram' title='von Willebrand disease'>VWD</span>を鑑別"]
    F --> H["FIX低下:血友病B"]
    E --> I["インヒビター、LA、抗凝固薬を評価"]
    G --> J["遺伝学的検査と家族相談"]
    H --> J

検査

  • CBC・:通常正常
  • PT:通常正常
  • APTT:延長するが、軽症では正常域のことがある
  • FVIII・FIX活性:病型と重症度を確定
  • ・活性:FVIII低下時にを鑑別
  • (インヒビター)を定量
  • 遺伝学的検査:変異同定、保因者・出生前相談に有用

欠乏は常染色体遺伝する別疾患で、歴史的に「血友病C」と呼ばれることがあるが、血友病A・Bとは病態・出血表現型が異なる。

治療の原則

定期予防療法

重症血友病では、自然出血と関節障害を防ぐため、個々の・生活・出血表現型に合わせて早期から予防療法を行う。

  • 標準または半減期延長型FVIII/FIX製剤
  • 血友病Aでは皮下注を、インヒビターの有無にかかわらず選択可能
  • 製剤選択は年齢、、活動、費用、患者希望で個別化

出血・手術時

疑わしい頭蓋内・頸部・では、画像結果を待たず適切なを開始する。必要因子量は体重、現在活性、目標活性、製剤回収率から算出し、製剤別プロトコルと活性測定で調整する。アスピリンや多くのNSAIDs、不要な筋注を避ける。

補助療法

治療 適応・注意
反応試験で有効な軽症A。低Na血症を防ぐため水分制限。Bには無効
口腔・鼻・月経など粘膜出血の補助。上部尿路出血では閉塞に注意
後の関節機能回復と慢性管理
ワクチン など出血を減らす手技を工夫する

インヒビター

補充因子へのにより治療反応が低下する。出血増加、期待した因子回収・半減期が得られない場合に疑い、で測定する。

  • 血友病Aではを検討する
  • は遺伝子組換え活性型や活性型複合体製剤などので治療する
  • 使用中の活性型複合体製剤は血栓・のリスクがあり、専門プロトコルに従う
  • 検査法はの影響を受けるため、適切な試薬を用いる

遺伝カウンセリングと包括診療

患者・家族へ遺伝形式、保因者検査、生殖選択肢をに説明する。血友病治療センターで、血液、整形、歯科、、看護、心理・社会支援を統合する。教育と出血時行動計画を整える。

まとめ

  • 血友病AはFVIII、血友病BはFIX欠乏で、原則X連鎖遺伝する。
  • 深部・関節出血、正常PT、延長APTTが典型だが、軽症ではAPTTが正常なこともある。
  • 因子活性で確定し、FVIII低下ではも評価する。
  • 重症例は因子製剤または血友病Aのによる定期予防が標準である。
  • DDAVPは反応を確認した軽症Aに用い、Bには無効である。