Neuroanatomy

Neuroanatomy · 16

大脳皮質の微細構造と皮質野

Fine structure of the cerebral cortex, cortical fields

応用トピック
失語症の型と局在前頭葉障害の症候側頭葉・後頭葉障害の症候頭頂葉障害の症候失認・失行・失読・失書原発性神経変性性認知症

🧠 大脳皮質の6層構造は「入力(IV層=、視床から受け取る)↔出力(V・VI層=、皮質下・視床へ送る)」という一本の軸で読み解く。 運動野はIV層を欠き出力に特化するため、感覚野はIV層が発達し入力に特化するためになる——Brodmann野の地図は、このの違いを機能ごとにしただけのものだと理解すれば、丸暗記せずに済む。

大脳皮質の系統発生

進化の過程で、大脳皮質には3つのタイプが生まれた。

  • :最も古いタイプ。2種類に分かれる。
    • の中でもより古く、3層構造を持つ。はこの皮質からできている。
    • :archicortexより新しく、4〜を持つ。嗅覚に関連する領域がこのタイプの皮質を持つ。
  • :最も新しいタイプ。neocortexはこのタイプに属し、6層構造を持つ。
  • の間の移行型。

新皮質の6層構造

は部位ごとに厚みが異なるが、共通して以下の6層(Lamina I–VI)を持つ。

名称 内容
I /叢状層 細胞は少なく、線維は表面と平行に走行する
II 、シャンデリア細胞
III 小型
IV
V
VI 。軸索は第I層を除く全層に達する
  • 第III層・第V層のの3種類の結合を持つ。
  • 第II・III層のニューロンは両半球の領野同士を結ぶ(結合、callosal connection)。
  • 第V・VI層のは軸索をおよび視床へ送る(皮質下結合、subcortical connection)。
flowchart TD
  A["I <span class='jp-term jp-term-diagram' title='stratum moleculare'>分子層</span>(線維のみ、細胞少)"] --> B["II <span class='jp-term jp-term-diagram' title='external granular layer'>外顆粒層</span>(顆粒・バスケット・シャンデリア細胞)"]
  B --> C["III <span class='jp-term jp-term-diagram' title='external pyramidal layer'>外錐体層</span>(小型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pyramidal neurons'>錐体細胞</span>)<br>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Commissure'>交連</span>結合(対側<span class='jp-term jp-term-diagram' title='homonymous'>同名</span>野)"]
  C --> D["IV <span class='jp-term jp-term-diagram' title='inner nuclear layer'>内顆粒層</span>(視床からの入力を受ける)"]
  D --> E["V <span class='jp-term jp-term-diagram' title='internal pyramidal layer'>内錐体層</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pyramidal neuron'>大型錐体細胞</span>)<br>→皮質下・脊髄への出力"]
  E --> F["VI <span class='jp-term jp-term-diagram' title='multiform layer'>多形層</span>(軸索はI層以外の全層へ)<br>→視床への出力"]

Brodmann野

Brodmann野は、=細胞の組織学的構造と配列に基づいて定義された大脳皮質の区域である。Brodmannは大脳皮質を52領域に分類した。

Brodmann野 機能 部位
Br. 3, 1, 2
Br. 4
Br. 6, 8 (運動の計画・順序・実行) 前頭回
Br. 17 一次視覚中枢
Br. 18, 19 二次・視覚野
Br. 39, 40 言語野(言語理解)
Br. 41, 42 一次聴覚中枢 下縁
Br. 43 一次味覚中枢 下部+
Br. 44, 45 運動性言語野(言語産出)
Br. 51 一次嗅覚中枢 側頭極

(Br. 3, 1, 2=)は、求心性がすべて最終的に到達する場所である。

新皮質のタイプ

は、第IV層()の発達度に応じて、無から有までのスペクトラムに分類される。

タイプ 特徴
に存在。第IV層()を欠く。第V層が最も発達し、Betz巨大を含む。これらはを支配する伝導路の起始細胞となる
無顆粒〜有顆粒の
に存在。視床からの線維は第IV層()へ入るため、が多い。第VI層は視床へ線維を送り返す

💡 無顆粒 vs 有顆粒の対比が意味すること。 は「出力に特化」=第IV層(入力層)を持たず第V層(出力層)のBetz細胞が発達する。は「入力に特化」=視床からの線維を受ける第IV層が発達する。同じ6層構造でも、その部位が入力主体か出力主体かで層の厚みが逆転する。

皮質のモジュール構造:皮質コラム

大脳皮質の機能単位はである。

  • 直径200〜300μm、約5000個の細胞を含む
  • 皮質全体でおよそ200万個のコラムが存在する
  • コラム内のは主に垂直方向に生じる
  • は他のから(皮質皮質間求心性、corticocortical afferent)、または感覚器官から(特異的求心性、specific afferent、例:線維)受ける
  • 性出力は、または他のへ向かう

まとめ

  • 大脳皮質は進化的に(archicortex 3層+paleocortex 4〜5層)→(移行型)→(neocortex、6層)の順に新しくなった。
  • の6層(I〜VI)のうち、第III・V層の・皮質下結合を担い、第II・III層は結合、第V・VI層は皮質下(視床を含む)への出力を担う。
  • Brodmann野はに基づく52区分の地図で、(Br 3,1,2=)・(Br 4=)・視覚野(Br 17, 18, 19)・(Br 41, 42)・言語野(Br 39, 40/Br 44, 45運動性)などが代表例である。
  • 皮質の型は第IV層()の発達度で決まり、は無顆粒(Betz細胞を持つ第V層が発達)、は有顆粒(視床入力を受ける第IV層が発達)という対比をなす。
  • が大脳皮質の機能単位であり、垂直方向の情報処理を基本とする。