Pathology

Pathology · C/77

乳腺の良性上皮性病変・良性腫瘍

Benign epithelial lesions and benign tumors of the breast

応用トピック
乳房疾患良性乳腺病変(症状・診断・治療)良性乳房疾患と乳房再建

🧠 全体像乳腺の良性病変癌リスクを増やさないもの(増やすもの(を分けて考えるのが軸——非増殖性は単なる正常周期変化の誇張にすぎないが、増殖性のうち異型を伴うものだけが浸潤癌リスクを4〜5倍に上げる。良性腫瘍側では(エストロゲン駆動、ほぼ悪性化しない)と(悪性間質を持ちうる)の対比が鍵になる。

良性上皮性病変

概要

  • 完全に無害なものから癌リスクの増加を伴うものまで幅がある。
  • 一部はな腫瘤を作る()。
  • における正常な周期的乳腺変化の誇張+歪みの結果。
  • 非増殖性増殖性に分けられる。

A)非増殖性疾患(線維嚢胞性変化)

  • 最も多い変化。
  • 特徴:
    • 線維性間質の増加
    • 導管の拡張
    • 嚢胞形成(「ブルー嚢胞」)
  • 嚢胞周囲の間質:圧迫された線維組織(正常な外観の喪失)。
  • 癌リスクの増加なし

B)増殖性疾患

上皮過形成

  • :拡張したへ突出する
    • 導管・小葉のCIS()に類似。
    • 浸潤癌のリスク増加(4〜5倍)。
  • 上皮過形成は通常明確な腫瘤を作らない

  • 硬化 = 硬くなること、腺症 = 多数の腺房を伴う小葉の腫大。
  • 小導管+細導管の増殖 — 線維性間質内の小腺パターンの塊。
  • 間質が腺房・導管の腔を圧迫 → 細胞のとして見える。
  • 臨床的・組織学的に癌と区別が困難
  • リスクがわずかに増加

乳腺の良性腫瘍

A)線維腺腫

  • 最も多い良性乳腺腫瘍
  • エストロゲン駆動性(エストロゲン値の上昇が発生に寄与)。
  • 小さく、、ゴム様、非癌性、無害なしこり
  • 結合組織(間質)+上皮から生じる。
  • 通常は若年女性、ピーク発症は30歳代

臨床像

  • 単発の可動性腫瘤(触診で逃げるように動く「乳房のねずみ(breast mouse)」)。
  • ・妊娠中に増大閉経後に退縮・石灰化しうる。
  • ほぼ悪性化しない

B)葉状腫瘍

  • はるかに少ない導管周囲の間質から生じる。
  • 葉状の上皮パターンを示しうる(ギリシャ語 phyllo = 葉)。
  • 密度の増加++高い
  • 悪性間質によるサイズ増大+隣接乳腺組織への浸潤を伴う。
  • 多くは限局にとどまる → 広範切除で治癒。
  • 最も悪性の型のみが遠隔転移を来す。

C)導管内乳頭腫

  • 導管内で指状の葉として増殖する良性上皮腫瘍
  • 多くは単発主要なにみられる。
  • 臨床:漿液性・血性の乳頭分泌
  • 単発乳頭腫 → ほぼ常に良性にとどまる。
  • 多発乳頭腫(症)悪性化しうる。

比較表

病変 由来 年齢 主な特徴 癌リスク
導管+間質 生殖年齢 嚢胞+線維化 なし
上皮過形成(異型) 導管/小葉上皮 生殖年齢 異型 4〜5倍増加
導管+細導管 生殖年齢 癌を模倣する 軽度増加
結合組織+上皮 若年(30歳代) 可動性ゴム様腫瘤、エストロゲン駆動 ほぼなし
導管周囲間質 50歳代 葉状パターン、大きい 一部悪性
導管上皮 生殖年齢 血性乳頭分泌 単発 = 良性、多発 = 増加

💡 ポイント: = 第1の(嚢胞+線維化+癌リスク増加なし)。 = 癌を模倣。異型導管/癌リスク4〜5倍増加 = 第1の良性乳腺腫瘍、若年女性、ゴム様可動性腫瘤、エストロゲン反応性、ほぼ悪性化しない。 = 導管周囲間質、葉状パターン、多くは良性、稀に遠隔転移。血性乳頭分泌の第1原因(単発 = 良性、多発 → 悪性化増加)。

まとめ

  • )は最も多い変化で、癌リスクの増加はない。
  • のうちは浸潤癌リスクを4〜5倍に上げる。
  • は臨床的・組織学的に癌を模倣しうるが、リスクはわずかな増加にとどまる。
  • は最も多い良性乳腺腫瘍で、エストロゲン駆動性、可動性のゴム様腫瘤(「乳房のねずみ」)を呈し、ほぼ悪性化しない。
  • は導管周囲間質から生じ、多くは限局にとどまるが最も悪性度の高い型は遠隔転移しうる。
  • は血性乳頭分泌の主要原因で、単発なら良性、多発()なら悪性化リスクが増す。