小児科学

小児科学 · 1-26

乳幼児・小児の成長不良

Faltering Growth in Infancy and Childhood

前提:正常
成長ホルモンとソマトメジンエネルギー平衡と食欲調節
疾患
成長不良

🧠 全体像: は単一の百分位で決める診断ではなく、体重・身長・の推移とから捉える。1 最も多いのは摂取不足で、実際の授乳・食事観察と社会背景の評価が広範な検査より有用である。2

💡 「」という用語は「faltering growth」に置き換えられつつある。 「failure」という語がを非難するように響きうることが理由の一つである。の(の下降幅、体重のzスコアの閾値など)は資料によって異なり、それに応じての推定も大きく変わるため、単一の基準を絶対視しない。3

原因の3分類

機序 代表例 手がかり
摂取不足 母乳量不足、調乳ミス、食料不安、口腔運動障害、哺乳行動、食道・幽門病変 食事歴、授乳観察、まず体重が低下
吸収不良・喪失 セリアック病、IBD、嚢胞性線維症、膵不全、、腎・肝疾患 、、浮腫、血便
需要増大 、、、甲状腺機能亢進、悪性腫瘍 頻呼吸、発熱、発汗、良好な食欲でも体重減少

無症状で全身状態が良好な児では器質的疾患はまれで、大部分は摂取不足を主体とする非疾患性のである。2 虐待・、の抑うつ・物質使用、食料不安は原因にも結果にもなりうるため、責めずに安全と支援資源を評価する。

成長パターン

  • 栄養不足では一般に体重、次いで身長、重症・長期ではが影響される。
  • 内分泌疾患では身長速度が低下する一方、体重が比較的保たれることがある。
  • 遺伝的やでは、適切な速度で固有の曲線に沿う。
  • を横切る変化は乳児期の正常な調整でも起こるため、家族身長、在胎週数、測定精度を確認する。年齢・性別別の標準に照らし、単一時点の値ではなく縦断的な推移で判断する。4

評価

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='growth chart'>成長曲線</span>の下降・増加不良"] --> B["測定を確認し体重/身長/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='head circumference'>頭囲</span>を再プロット"]
    B --> C["詳細な食事歴と授乳・食事観察"]
    C --> D{"病歴・診察に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='organic (disease)'>器質性</span>手がかりがあるか"}
    D -->|"なし"| E["栄養介入と短期の体重追跡"]
    D -->|"あり"| F["仮説に沿う血液・尿・便・画像検査"]
    E --> G{"期待する増加が得られるか"}
    G -->|"いいえ"| F
  • 24時間摂取、調乳法、食事時間、嘔吐・便、嚥下、呼吸、薬剤、家庭の食料入手を確認する。
  • 発達、口腔、心肺、腹部、皮膚、筋緊張、浮腫、虐待徴候を診察する。
  • 全例への広範な採血は低収率である。血算、電解質、肝腎機能、尿、セリアック、甲状腺、、汗Clなどを臨床仮説に合わせて選ぶ。

治療

と必要エネルギーを設定し、母乳支援、適切な濃度の調乳、エネルギー密度の高い食事、食行動介入を行う。過度に急速な追いつき成長(catch-up growth)を避け、重度ではの電解質異常を監視する。2 嚥下障害、、吸収不良、内分泌疾患は原因治療し、安全懸念・食料不安には多職種で介入する。

⚠️ 重度脱水・低血糖・電解質異常、急激な体重減少、医学的に不安定、養育環境の安全が確保できない場合は入院を検討する。

まとめ

  • 単一の体重百分位ではなく、測定精度と縦断的をみる。
  • 摂取不足が最多で、食事観察と社会背景評価が診断の中心である。
  • 検査は疾患の手がかりに合わせ、栄養・原因・家庭支援を同時に扱う。

出典

  1. 1.Expected and Desirable Preterm and Small Infant Growth Patterns(Advances in Nutrition・2024)乳児、特に早産・低出生体重児の成長は体重・身長・頭囲を連続測定し軌道(トラジェクトリー)として評価すべきであり、単一時点の百分位だけで成長不良と判定しないことを確認した。閲覧 2026-08-27
  2. 2.Catch-Up Growth in Infants and Young Children With Faltering Growth: Expert Opinion to Guide General Clinicians(Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition・2023)高・中所得国における2歳未満の成長不良の大部分は非疾患性(摂取不足など)であり、無症状で全身状態が良好な児では器質的疾患はまれであること、また急速すぎる追いつき成長(catch-up growth)を避けるべきであることを国際専門家パネルの合意として確認した。閲覧 2026-08-27
  3. 3.Faltering Growth – recognition and management(National Guideline Alliance (UK) for the National Institute for Health and Care Excellence(NICE NG75)・2017)「成長不良(failure to thrive)」という用語は「faltering growth」に置き換えられつつあり、「failure」が非難的に響きうることが理由であること、成長不良の定義は資料により異なり、それに応じて英国内の有病率推定も大きく異なることを確認した。閲覧 2026-08-27
  4. 4.WHO Child Growth Standards based on length/height, weight and age(2006)乳幼児の身長・体重は年齢・性別別のWHO標準成長曲線に照らして評価し、単一の百分位や固定増加量だけで判定しないことを確認した。閲覧 2026-08-27