小児科学

小児科学 · 1-25

小児の意識障害

Unconsciousness and Altered Consciousness in Children

前提:正常
脳幹

🧠 全体像: 意識は覚醒と認知の両方から成り、意識障害は系または両側大脳半球の機能不全で起こる。診断名を考える前に、気道・呼吸・循環とベッドサイド血糖を評価し、低酸素・低血糖・痙攣を直ちに治療する。

病態と鑑別

分類 代表例 手がかり
構造性 外傷、、腫瘍、脳卒中、水頭症 、瞳孔左右差、急な頭痛・嘔吐
感染性 髄膜炎、脳炎、敗血症 発熱、、発疹、痙攣、循環不全
代謝・内分泌 低血糖、、Na/Ca異常、肝・腎不全、 非局在性、脱水、異臭、
中毒 薬剤、オピオイド、家庭用品、アルコール・薬物 、呼吸抑制、曝露機会
神経性 、、片頭痛 された発作、舌咬傷、段階的回復
全身性 低酸素、ショック、不整脈、、重度貧血 呼吸・循環異常、体温異常

は局在所見を伴いやすく、中毒・は左右対称で非局在性の所見が多いが、例外はある。

💡 英国の前向き人口ベース研究では、非昏睡(GCS12未満が6時間超持続、生後1か月〜16歳)の年間は小児10万人あたり30.8例で乳児期にとくに高く、原因は感染症が最多で、精査・剖検を尽くしても14%は原因不明にとどまり、約12か月時点の全体死亡率は46%(原因により3〜84%の幅)であった1。

意識レベル

Glasgow昏睡尺度(Glasgow Coma Scale:)で4、言語5、運動6を反復記録し、総点だけでなく各成分と変化を示す。前言語期児では声かけへの微笑・泣き方・慰撫可能性など発達に合わせた小児版を用いる。2歳以下を対象にこの小児版を検証した研究では、要処置のを識別する精度は標準版を用いた年長児と遜色なかった2。より簡便な代替として、・呼びかけ反応(Verbal)・痛み反応(Pain)・(Unresponsive)の4段階で評価するスケールもあり、英国の児コホートではAlertとGCS15点、UnresponsiveとGCS3点は明確に対応した一方、VoiceまたはPainに反応する範囲に対応する点数の幅は年齢により大きく異なったため、迅速な向けの指標として位置づける3。

初期対応

flowchart TD
    A["意識障害"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cervical spine protection'>頸椎保護</span>を含むABC・酸素化・モニター"]
    B --> C["血糖を直ちに測定"]
    C --> D{"低血糖・痙攣・オピオイド疑いか"}
    D -->|"はい"| E["ブドウ糖・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anticonvulsant'>抗痙攣薬</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='naloxone'>ナロキソン</span>を適応時投与"]
    D -->|"いいえ"| F["瞳孔・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Glasgow Coma Scale'>GCS</span>・局在徴候・発熱を評価"]
    F --> G{"頭蓋内圧亢進・外傷・局在徴候か"}
    G -->|"はい"| H["頭部画像と神経救急"]
    G -->|"いいえ"| I["感染・代謝・中毒を標的検査"]
  • 体温、血圧、SpO₂、心電図、瞳孔、皮膚、外傷、を確認する。薬剤・家庭用品、最終正常時刻、痙攣、外傷、既往を家族・救急隊から聴取する。説明のつかない意識障害や外傷所見、とくに乳児では虐待によるも鑑別に含める。
  • 血糖、血液ガス、電解質、Ca、肝腎機能、血算を基本に、ケトン、アンモニア、乳酸、培養、を選ぶ。の尿陰性だけで中毒を除外しない。
  • 外傷、局在徴候、急速な悪化、頭蓋内圧亢進では緊急を用い、安定後の詳細評価にはを選ぶ。
  • 髄膜炎・脳炎を疑えば培養後ただちに抗菌薬、必要時アシクロビルを開始する。頭蓋内圧亢進や不安定性があればを遅らせ、治療は遅らせない。

⚠️ 持続5分以上の痙攣はとしてベンゾジアゼピンを第一選択に治療する。低血糖を確認したら検体採取に固執せず補正する。

まとめ

  • ABCと血糖測定が最初で、低酸素・低血糖・痙攣を直ちに治療する。
  • は発達に合わせ、成分ごとのを記録する。
  • 局在徴候は構造性、非局在性所見は代謝・中毒を示唆するが、並行して評価する。

出典

  1. 1.Incidence, aetiology, and outcome of non-traumatic coma: a population based study(Archives of Disease in Childhood・2001)英国北部地域における生後1か月〜16歳の前向き人口ベース研究(非外傷性昏睡=GCS12未満が6時間超持続と定義)で、年間発生率は小児10万人あたり30.8例(乳児期はとくに高く10万人あたり160例)、原因は感染症が最多で精査・剖検を尽くしても14%は原因不明にとどまり、約12か月の追跡時点の全体死亡率は46%(原因別に3〜84%まで幅がある)だったこと閲覧 2026-08-27
  2. 2.Performance of the pediatric glasgow coma scale in children with blunt head trauma(Academic Emergency Medicine・2005)2歳以下の鈍的頭部外傷児327例で、前言語期児向けに開発された小児版Glasgow Coma Scale(開眼・運動は成人版と同じ、言語反応を発達に応じた反応で代替する版)を用いたところ、要処置の外傷性脳損傷を識別するROC曲線下面積は0.97(95%CI 0.94-1.00)で、2歳超の児に標準版GCSを用いた場合の0.87(95%CI 0.83-0.92)と遜色なかったこと閲覧 2026-08-27
  3. 3.To what extent are GCS and AVPU equivalent to each other when assessing the level of consciousness of children with head injury? A cross-sectional study of UK hospital admissions(BMJ Open・2018)英国の頭部外傷児コホート(救急部門で意識レベルが記録された5168例)で、AVPUスケールのAlertはGCS15点、UnresponsiveはGCS3点と明確に対応したが、VoiceまたはPainに反応する区分に対応するGCS点数の幅は年齢により大きく異なり、乳児では特にAVPUの使用が多く、頭部CT実施率や診断率を損なわなかったこと閲覧 2026-08-27