小児科学

小児科学 · 3-29

小児慢性腎臓病

Chronic Renal Failure

前提:正常
カルシウム代謝。骨と成長の生理学。腎循環。糸球体濾過。

🧠 全体像:は、腎障害の指標または低下が3か月を超えて続く状態である。小児ではCAKUTと遺伝性疾患が多く、成長・発達を守る管理が成人以上に重要である。

定義・分類

60 mL/min/1.73 m²未満、または・尿沈渣異常・電解質異常・組織/画像異常・腎移植歴などの腎障害指標が3か月以上持続すればとする。

G分類 (mL/min/1.73 m²)
G1 90以上
G2 60~89
G3a 45~59
G3b 30~44
G4 15~29
G5 15未満

蛋白尿/も重症度と進行リスクを規定する。小児は身長と血清Crを用いるなどで推定し、成人向け「140−年齢」式や人種係数は用いない。1970年代に開発された旧は測定法の変化により実測を過大評価するようになったため、2009年にCKiDコホートで身長・血清Cr・・・性別を用いる新式へ改訂され、身長(cm)/血清Cr×0.413というベッドサイド簡易式も導入された1。が少ない場合は併用を検討する。

原因と症状

小児では・異形成、、VURなどCAKUTが多く、糸球体疾患、、遺伝性嚢胞性疾患、、代謝疾患が続く。先進国ではCAKUTと遺伝性腎症を合わせた先天性疾患が小児全体の約3分の2を占め、糖尿病・高血圧が主因である成人とは原因構成が全く異なる2。初期は無症状でも、進行すると、、悪心、倦怠感、、多尿または乏尿、浮腫、高血圧を来す。

進行抑制

flowchart TD
    A["小児<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic kidney disease'>CKD</span>"] --> B["原因疾患を治療"]
    A --> C["血圧・蛋白尿を管理"]
    A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nephrotoxic drug'>腎毒性薬</span>と脱水を回避"]
    A --> E["栄養・成長・合併症を監視"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='kidney replacement therapy, KRT'>腎代替療法</span>を適時準備"]
  • 血圧を年齢・身長別に評価し、蛋白尿を伴えば阻害薬/を考慮する。開始後はCrとKを確認する。
  • 脱水を避ける一方、浮腫・心不全ではNa・水分を個別調整する。
  • などを避ける。はプロスタグランジン抑制によりを収縮させ、を低下させる。
  • エネルギーと蛋白は成長を損なわないよう小児腎栄養チームが調整し、成人の0.8 g/kg/日を一律適用しない。

合併症

合併症 機序・評価 管理
栄養不足、アシドーシス、GH抵抗性、腎性骨症 栄養、アシドーシス是正;持続性のがありな因子に対応してもなお身長・身長増加速度が低い適応例で(0.045〜0.05 mg/kg/日を連日皮下注射)3
貧血 低下、鉄不足、炎症 鉄を評価・補充し、必要なら刺激薬
関連骨・ミネラル代謝異常 P貯留、上昇、活性型Vit D低下、二次性 Ca/P///Vit Dを追跡し食事・・Vit Dを個別化。値は75 nmol/L超を目標にモニタリング・補充するが、巨大投与量は避ける4
高血圧・心血管障害 、活性化 塩分調整、、体液管理
代謝性アシドーシス 低下 補充

G5または保存的治療で制御できない・体液/電解質異常では、、、腎移植を準備する。小児では可能ならを検討する。米国の小児腎移植7,527例のコホートでは、透析を経てからの移植はと比べ廃絶(1.32)・死亡(1.69)のリスクがいずれも高く、透析期間が1年を超えるとその差はさらに拡大した5。

まとめ

  • は「3か月以上」と・腎障害指標で定義する。
  • 小児には小児用式を使い、身長と成長を継続評価する。
  • 原疾患、血圧・蛋白尿、栄養、合併症を同時に管理する。

出典

  1. 1.New equations to estimate GFR in children with CKD(Journal of the American Society of Nephrology・2009)CKiDコホート349例(1〜16歳)のイオヘキソール実測GFRを基準に、身長・血清クレアチニン・シスタチンC・血中尿素窒素・性別を用いた新しい小児推算式を開発し、旧来のSchwartz式(1970年代開発)が当時の血清クレアチニン測定法の変化により実測GFRを過大評価するようになっていたことを是正した。身長(cm)/血清Cr×0.413というベッドサイド簡易式も実用的な近似値を与えることを確認した。閲覧 2026-08-27
  2. 2.Epidemiology of chronic kidney disease in children(Pediatric Nephrology・2012)先進国では、CAKUTと遺伝性腎症を含む先天性疾患が小児CKDの約3分の2を占め、成人CKDの主要因である糖尿病・高血圧とは原因構成が全く異なることを確認した。CAKUTを主とする先天性疾患はCKDの進行が緩徐なため、より進行した病期ほどCAKUTの割合が相対的に下がることも確認した。閲覧 2026-08-27
  3. 3.Clinical practice recommendations for growth hormone treatment in children with chronic kidney disease(Nature Reviews Nephrology(European Society for Paediatric Nephrology)・2019)CKDステージ3〜5または透析中の小児で、他の是正可能な成長障害因子に対応してもなお身長が年齢・性別の3パーセンタイル未満かつ身長増加速度が25パーセンタイル未満の持続性成長障害があり成長の余地がある場合に成長ホルモン療法の適応とし、0.045〜0.05 mg/kg/日の連日皮下注射を最終身長または腎移植まで継続することを推奨した。閲覧 2026-08-27
  4. 4.The role of nutritional vitamin D in chronic kidney disease-mineral and bone disorder in children and adults with chronic kidney disease, on dialysis, and after kidney transplantation-a European consensus statement(Nephrology Dialysis Transplantation(European Renal Association / European Society for Paediatric Nephrology)・2025)ERAの腎性骨異栄養症ワーキンググループとESPNの共同声明として、小児を含むCKD患者で25-ヒドロキシビタミンD値を75 nmol/L(30 ng/mL)超に維持するようモニタリング・補充することを推奨する一方、10万IU以上の巨大投与量や150〜200 nmol/L超への到達は毒性リスクとして避けるべきことを確認した。閲覧 2026-08-27
  5. 5.Preemptive kidney transplantation is associated with survival benefits among pediatric patients with end-stage renal disease(Kidney International・2016)米国腎データシステムの小児腎移植レシピエント7,527例のコホートで、先行的(透析前)腎移植と比べ、透析を経てからの移植は移植腎廃絶(ハザード比1.32)・死亡(ハザード比1.69)のリスクがいずれも高く、特に透析期間が1年を超えると移植腎廃絶が52%、18か月を超えると死亡が89%それぞれ高くなることを確認した。閲覧 2026-08-27