外科学

外科学 · G-15

外科診断と画像・内視鏡・画像ガイド下介入

Surgical diagnosis (physical signs, laboratory, imaging devices) Interventions (endoscopy, US/CT-guided interventions)

症状
筋性防御

🧠 全体像:外科診断は、を決める全身評価、病変を絞る局所診察、仮説を検証する検査、そして診断と治療を兼ねる介入へ進む。画像所見や単独ではなく、臨床像と組織診断を統合する。

身体診察

手順 観察項目 代表的な意味
蒼白、黄疸、チアノーゼ、、瘢痕 出血、胆道閉塞、低酸素、悪性疾患、既往術式
触診 腫瘤の大きさ・可動性・圧痛、、、 腫瘍、炎症、
・、 腸管ガス、腫瘤、腹水
、 腸閉塞・、血管病変

は、Rovsing・・は虫垂炎を支持するが、いずれも単独で確定しない。やは腹腔内・を示唆する遅発性所見である。

⚠️ 単独の身体所見の診断精度は、教科書の印象より弱いことが多い。 を対象にした系統的レビューでは、陽性のは2.8(95%信頼区間0.8〜8.6)でが1をまたぎ、単独での確定・除外には不十分だった1。虫垂炎でも、・発熱・痛みの移動は可能性を高めるが、これらを欠くことは可能性を下げる方向に働くにとどまり、いずれも単独診断の根拠にはならない2。

検査

  • 血算:、貧血、血小板減少。
  • :炎症の推移。は急性外科判断では反応が遅い。
  • 電解質、腎機能、肝胆道系酵素、ビリルビン。
  • リパーゼ:ではより特異的で、の一つ。
  • 乳酸:低灌流、、敗血症を示唆するが正常でも早期虚血を除外できない。
  • /、、フィブリノゲン:出血・処置前評価に病態に応じて用いる。
  • CEA、CA19-9、AFP:診断確定ではなく、適切な腫瘍で治療前や経過観察の補助に用いる。

画像検査の選び方

検査 強み 弱み・注意
超音波 胆石、胆嚢炎、腹水、動脈瘤、妊娠・小児、ベッドサイド 、腸管ガス・肥満で制限
単純X線 遊離ガス、腸閉塞のガス像、骨・異物 感度が低く、陰性で重篤疾患を除外できない
造影CT 外傷、穿孔、虫垂炎、膿瘍、血管・腸管評価 放射線、造影剤。疑う病態に合う相を選ぶ
・ 軟部組織、肝病変、胆膵管 時間、可用性、・閉所への配慮
造影 嚥下障害、狭窄、瘻孔、 穿孔疑いではを先行検討

💡 でのの位置づけ:超音波を先行させ、陰性・不だけへ進む段階的戦略が見逃しを抑えつつを減らす。 オランダの救急外来6施設・1021例の前向き研究で、緊急疾患の検出感度は造影CTが89%、超音波が70%だったが、超音波陰性・不にのみを追加する段階的戦略は見逃しを6%に抑えつつ使用率を49%に減らした3。

flowchart TD
    A["外科的急性病態を疑う"] --> B["ABCDE・循環安定性を評価"]
    B --> C["不安定"]
    C --> D["蘇生+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bedside ultrasonography'>ベッドサイド超音波</span>"]
    D --> E["必要なら直ちに手術・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endovascular treatment'>血管内治療</span>"]
    B --> F["安定"]
    F --> G["病歴・診察・基本検査"]
    G --> H["病態に適した超音波・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance imaging'>MRI</span>・内視鏡"]
    H --> I["組織採取または治療介入"]

💡 不安定な外傷での(FAST)は特異度が高く感度が低い。 では、FASTを含む診断アルゴリズムは非使用と比べ死亡率に有意差を示さず(1.00)、感度の低さから陰性所見だけでは損傷を除外できないとされた4。

内視鏡

手技 診断 治療
出血源、潰瘍、腫瘍、狭窄、組織採取 注入・・クリップ、、拡張、
、腫瘍、 、止血、捻転減圧、
胆管造影・採取を必要とする選択例 除去、、ドレナージ・

は膵炎、出血、穿孔、感染を伴い得るため、現在は主に治療手技である。純粋な胆膵管診断にはやを優先することが多い。

画像ガイド下介入

  • 超音波ガイド:表在・ドレナージ、腫瘤生検、、腹水・胸水穿刺。
  • ガイド:、後腹膜・病変の生検・ドレナージ。
  • :の減圧。
  • :内視鏡的ドレナージ不能・不適切な胆道閉塞。

介入前に安全な穿刺経路、凝固・血小板、感染対策、検体の取り扱い、留置後管理を計画する。

まとめ

  • 診察はとを作る工程である。
  • 各検査の強みと限界を理解し、病態に合う検査を選ぶ。
  • は治療中心で、診断のみなら・を考える。
  • 介入は低侵襲だが、出血・感染・臓器損傷への準備が必要である。

出典

  1. 1.Does This Patient Have Acute Cholecystitis?(JAMA・2003)急性胆嚢炎の病歴・身体診察・検査所見の診断精度を検証した17研究の系統的レビューで、Murphy徴候陽性の陽性尤度比は2.8(95%信頼区間0.8〜8.6)にとどまり信頼区間が1をまたぐため、単独では診断の確定・除外に不十分とした。閲覧 2026-08-26
  2. 2.Does this patient have appendicitis?(JAMA・1996)急性虫垂炎における病歴・身体診察の診断精度に関する文献レビューで、腸腰筋徴候陽性・発熱・右下腹部への痛みの移動は虫垂炎の可能性を高める一方、疼痛前の嘔吐は虫垂炎の可能性を下げ、痛みの移動・右下腹部圧痛・筋性防御・発熱のいずれも欠く場合は虫垂炎の可能性が下がるとした。閲覧 2026-08-26
  3. 3.Imaging strategies for detection of urgent conditions in patients with acute abdominal pain: diagnostic accuracy study(BMJ・2009)オランダの救急外来6施設・急性腹症1021例を対象にした前向き診断精度研究で、緊急疾患の検出感度は造影CTが89%(95%信頼区間87〜92%)、超音波が70%(67〜74%)であり、超音波を先行させ陰性・不確定例のみCTを追加する段階的戦略が見逃しを6%に抑えつつCT使用を49%に減らせたとした。閲覧 2026-08-26
  4. 4.Emergency ultrasound-based algorithms for diagnosing blunt abdominal trauma(Cochrane Database of Systematic Reviews・2015)鈍的腹部外傷におけるFAST(超音波による primary survey)を検証したコクランレビューで、FASTは特異度が高い一方で感度が低く、RCT4件・患者1254例の統合では死亡率に関してFAST使用群と非使用群で有意差がなかった(相対危険度1.00)とした。閲覧 2026-08-26