Surgery

Surgery · G-02

創感染の症状と治療

Wound infections: symptoms and treatment

前提:病態
黄色ブドウ球菌コアグラーゼ陰性ブドウ球菌化膿レンサ球菌(A群)
疾患
壊死性軟部組織感染症

🧠 全体像:創感染では、発赤や排膿を見つけるだけでなく「表層か深部か、膿瘍・壊死・異物・縫合不全など感染源が残っていないか」を判断する。治療の中心はで、抗菌薬は重症度・解剖学的部位・培養・に合わせる。

手術創の汚染度

区分 定義 代表例
清潔 炎症がなく、呼吸器・消化管・生殖器・尿路を開放しない を伴わない予定手術など
管腔臓器を管理下に開放し、著しい汚染がない 消化管・胆道・泌尿器手術
汚染 の大きな破綻、外傷、消化管内容の大量漏出、急性非 穿孔直後の汚染など
不潔・感染 既存感染、壊死組織、外傷、臓器穿孔 膿瘍、便汁性腹膜炎

この分類はの細菌負荷とSSIリスクを予測する枠組みであり、術後に感染が成立したかを示す診断名ではない。

手術部位感染

は深さで次の3群に分ける。

分類 範囲
表層切開創SSI 皮膚・皮下組織
深部切開創SSI 筋膜・筋など深部軟部組織
臓器・体腔SSI 手術で操作した臓器・体腔

監視期間は手術区分と感染深度により30日または90日であり、「すべて30日」とは限らない。

起因菌と危険因子

皮膚由来では黄色ブドウ球菌が多い。消化管・胆道・婦人科領域では腸内細菌目、腸球菌、嫌気性菌などが加わる。実際の菌種は、院内耐性状況で異なる。

全身・周術期因子
虚血、壊死、血腫、、異物、汚染、過度な張力 糖尿病、肥満、、喫煙、貧血、免疫抑制、長時間手術、低体温、周術期高血糖

症状と診断

  • 時間とともに増悪する疼痛・圧痛
  • 発赤、熱感、腫脹、
  • 排膿、悪臭、
  • 波動を触れる膿瘍
  • 発熱、悪寒、頻脈、低血圧など全身反応

創部だけでなく、筋膜、臓器・体腔膿瘍、漏を評価する。排膿や深部感染では、可能なら抗菌薬調整に有用な深部組織・膿を採取する。表面を拾いやすい。

flowchart TD
    A["創部痛・発赤・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='drainage (fluid)'>排液</span>"] --> B["全身不安定/壊死性所見"]
    B -->|あり| C["蘇生・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='broad-spectrum antibiotics'>広域抗菌薬</span>・緊急外科評価"]
    B -->|なし| D["表層か深部・膿瘍かを評価"]
    D --> E["縫合糸除去・開放・排膿・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='debridement'>デブリードマン</span>"]
    E --> F["培養と解剖学的部位で抗菌薬を調整"]
    F --> G["改善しなければ異物・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deep abscess'>深部膿瘍</span>・漏を再検索"]

治療

感染源制御

表層切開創SSIでは、必要な縫合糸やステープルを外して創を開放し、排膿する。膿瘍はが基本で、壊死組織はする。深部・臓器体腔感染では画像下ドレナージまたは手術が必要になる。

洗浄にはや清潔な水を用いる。を創内へ一律に用いると、組織障害や治癒遅延を招き得るため標準的な反復洗浄液とはしない。

抗菌薬

状況 方針
小さな表層膿瘍で排膿良好、全身反応なし のみで足りる場合がある
周囲蜂窩織炎、全身反応、深部感染、免疫不全 全身抗菌薬を併用
敗血症 培養前に広域治療を開始し、緊急手術と並行
臓器・体腔感染 由来菌を覆い、後に化・期間短縮

抗菌薬は「受傷4時間以内なら有効」という単一の時間基準で決めない。感染の有無、汚染の種類、宿主、培養、の成否で判断する。

汚染外傷創の閉鎖

十分な洗浄・後、清潔で組織生存性が良ければを検討できる。咬傷、・虚血、深い、強い汚染、免疫抑制、感染徴候では開放管理または遅延を考える。「受傷後6時間」という旧来の一律だけで決めず、部位と創の状態を重視する。

慢性創では、虚血、圧、浮腫、糖尿病、栄養など原因を治療し、感染がある場合にのみ全身抗菌薬を使う。銀製剤や生物学的被覆材は創の種類・目的に応じて選び、慢性創すべてへ一律に用いない。

まとめ

  • SSIは表層、深部、臓器・体腔に分け、監視期間は30日または90日である。
  • 治療の中心は開放、排膿、、ドレナージなどのである。
  • 培養は深部検体を優先し、抗菌薬は重症度とに合わせて化する。
  • の一律洗浄や、6時間ルールだけによる閉鎖判断は避ける。