Surgery

Surgery · S-14

急性・慢性膵炎

Acute and chronic pancreatitis

前提:病態
膵炎
疾患
急性膵炎

🧠 全体像は早期の臓器障害を見逃さず、適切な補液・鎮痛・で支える。は不可逆的な線維化による疼痛、外分泌不全、を長期管理する。どちらも原因治療と、感染・閉塞など介入可能な合併症の見極めが重要である。

急性膵炎と慢性膵炎の比較

項目
病態 酵素の膵内活性化による と不可逆的線維化・実質破壊
痛み 急激な持続性 反復・持続する、食後増悪
主な原因 胆石、アルコール、高TG、ERCP、薬剤など アルコール、喫煙、反復、遺伝性、自己免疫性、閉塞性
機能障害 重症例の全身炎症・臓器不全 ・栄養不良、
介入の原則 支持療法、感染性壊死は ・禁煙、酵素補充、閉塞解除・選択的手術

急性膵炎

原因と症候

の早期活性化により膵実質が障害される。主因は胆石とアルコールで、ほかに、ERCP後、外傷、などの薬剤、自己免疫性、遺伝性、腫瘍、特発性がある。

突然のが背部へ放散し、悪心・嘔吐、腹部圧痛・膨満、発熱を伴う。低血圧、頻脈、乏尿、低酸素血症、は重症化を示唆する。は臍周囲の皮下出血で、いずれも出血性・を示唆するが感度は低い。

診断

次の3項目のうち2項目で診断する。

  1. に典型的な腹痛
  2. 血清リパーゼまたはの3倍以上
  3. 造影CT、MRIまたは超音波でに一致する所見

腹部超音波は胆石評価に行う。診断が明らかで軽快している場合、入院直後の造影CTは不要である。診断不確実、48〜72時間で改善しない、合併症が疑われる場合に造影CTまたはMRIを行う。

重症度はの有無を中心にで評価する。BISAPやAPACHE IIは補助となるが、連続するバイタル、尿量、BUN、、SIRS、呼吸・腎・循環機能の再評価が重要である。

初期治療

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute pancreatitis'>急性膵炎</span>を診断"] --> B["循環・呼吸・腎機能を反復評価"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lactated Ringer&#39;s solution'>乳酸リンゲル液</span>を中心に適量補液"]
    B --> D["十分な鎮痛・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antiemesis'>制吐</span>"]
    C --> E["24〜48時間以内に経口摂取を評価"]
    E --> F["不可能なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enteral nutrition, EN'>経腸栄養</span>"]
    B --> G["胆管炎または持続閉塞"]
    G --> H["早期ERCP"]
    B --> I["感染性壊死"]
    I --> J["抗菌薬+延期したステップアップ介入"]
  • 、特にを用い、循環反応を見ながら中等度に補液する。画一的な大量急速補液は容量過剰を増やすため避ける。
  • オピオイドを含む適切な鎮痛を行う。
  • 軽症ではに応じ24〜48時間以内に低脂肪固形食を開始する。経口不能の中等症・重症例ではを優先し、栄養を安易に選ばない。
  • 予防的抗菌薬は投与しない。胆管炎、感染性壊死、他の感染症が疑われる場合に限る。
  • 胆管炎合併では24時間以内を目安にERCPを行う。胆管炎や持続閉塞のないには緊急ERCPをルーチン施行しない。
  • 軽症では退院前にを行う。

合併症と介入

・内容 主な病変 対応
早期局所 多くは支持療法
4週以降 症候・感染・閉塞があれば介入
全身 SIRS、ARDS、、ショック、低Ca血症 ・臓器支持

無菌性壊死には抗菌薬やを行わない。感染性壊死では壊死組織へ移行する抗菌薬を開始し、安定していれば約4週間待って壁形成後に、内視鏡またはから始める(step-up approach)を用いる。は低侵襲手技で不十分な場合に行う。

慢性膵炎

原因と臨床像

は不可逆的な線維化と実質破壊を来す。慢性飲酒、喫煙、反復、CFTRなどの遺伝子異常、、膵管狭窄・腫瘍などの閉塞が原因となる。

  • 鈍い、食事・飲酒後の増悪
  • 、体重減少、欠乏などの外分泌不全
  • 、胆管・十二指腸閉塞、脾静脈血栓、リスク上昇

診断

CTまたはMRI/MRCPで石灰化、萎縮、膵管拡張・不整、結石を評価する。早期・不明瞭例ではEUSを検討する。低値は外分泌不全を支持し、HbA1cまたは血糖で内を追跡する。

治療

  1. ・禁煙と栄養評価を行う。
  2. ・体重減少には膵補充療法を食事・間食と同時に投与し、不十分なら用量・服薬法を確認して抑制を検討する。
  3. 糖尿病では低血糖リスクとに注意し、必要に応じインスリンを用いる。
  4. 疼痛は原因・閉塞を再評価し、、手術を含む多面的管理を行う。長期オピオイドを単純な次段階としない。
  5. 結石・狭窄には内視鏡的を行い、長期的に抵抗性の疼痛を伴う拡張では術、膵頭部炎症性腫瘤やでは切除・手術を検討する。

まとめ

  • は典型痛、酵素3倍以上、画像のうち2項目で診断する。
  • 初期治療は反応を見た適量補液、鎮痛、早期経口・であり、長期絶食と予防的抗菌薬を避ける。
  • 感染性壊死は可能なら壁形成を待ち、ドレナージから始めるで治療する。
  • では・禁煙、補充、糖尿病・栄養管理を行う。
  • と難治性疼痛では、と外科的・切除を病変形態に合わせて選ぶ。