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Disease Atlas · 眼科 · 症候群

眼球癆

Phthisis bulbi

臓器系
眼科
科目
PathologyMicroscopic Anatomy and Embryology (Microscopic Anatomy)
トピック
病理学 A/20:萎縮と肥大組織学 17.1:感覚器:眼
関連疾患
眼球破裂
症状
視力低下
検査値
眼圧
原因となる疾患
遺残胎児血管系

🧠 全体像:(フティシス・バルビ)は、それ自体が独立した「病気」ではなく、重症の・ぶどう膜炎・・・など、多種多様な重症眼疾患がたどり着く終末像である。・血液眼関門の破綻・慢性炎症というを通って、眼球は萎縮しし、視力は失われる。臨床的な問いは「治すか」ではなく、「その萎縮した眼をどう扱うか」——整容とのための処置に加え、の眼を脅かすのリスクをどう考えるか、という摘出の是非に集約される。

病態

の病理発生に関わる主要な因子は、・血液眼関門の破綻・炎症の3つである1。

💡 どの原因から始まっても、同じ終着点に collapse する。 の傷害・炎症による低下がを招き、慢性炎症が血液眼関門を破綻させて眼内の恒常性を失わせる。この状態が続くと、眼球は容積を保てず収縮し、内部構造の配列が崩壊する。結果として、角膜は・肥厚し、も肥厚し、にはが生じ、・膜・脈絡網膜剥離を伴う、四角く縮んだ小さな非機能眼になる1。

原因

原因は単一ではなく、「眼球に持続的な炎症性・機械的侵襲を与えるものは何でもに行き着きうる」という理解が実践的である。

  • 外傷(を含む)
  • 手術(複数回の後)
  • 感染(重症のなど)
  • 重症・遷延する炎症(ぶどう膜炎など)
  • 悪性腫瘍
  • 血管病変

以上に加え、小児眼科領域ではが代表的な原因の一つである。同疾患は手術を行った症例でも約10%がへ進行すると報告されており、手術が失明・を確実に防ぐわけではないことを示す数字として重要である2。

臨床像

  • 患眼の視力は消失し、も失われることが多い。
  • 眼球全体が萎縮し、正常な球形を保てず四角く縮んだ外観になる。
  • は低下する()。
  • ・肥厚、肥厚、、、、脈絡網膜剥離などを伴う1。

⭐ 交感性眼炎と摘出の是非

⚠️ に至った眼を「もう危険はない」と考えてはいけない。 は、などを受けた眼(誘発眼)の抗原にさらされた免疫系が、無傷だったはずのの眼(交感眼)を攻撃してしまう、びまん性両側性である3。頻度自体は低く、外傷後のは0.19%、は10万人年あたり33件と報告されているが4、の視力まで脅かしうるという重大性が、頻度の低さに見合わない臨床的な重みを与えている。

視力予後が不良と判断される患眼(すでにに至った眼を含む)では、受傷後2週間以内の・内容除去がこのリスクの予防として推奨される3。一方で、に炎症の乏しい眼を摘出するな必要性については意見が分かれており、疼痛・整容上の問題が乏しい静かな眼まで一律に摘出すべきとは限らない。摘出の判断は、の予防という理論的意義と、・患者の心理的受容とを天秤にかけて個別に行う。

治療・管理

に至った眼で失われた視機能を取り戻す治療は存在しない。管理の中心は整容的リハビリテーションと疼痛の対症的緩和である1。

  • な疼痛・を伴う眼では、・眼内容除去と挿入を検討する。
  • のリスクが懸念される受傷早期の症例では、上記の早期摘出という選択肢も含めて眼科で方針を決める。
  • 摘出を行わない場合も、疼痛・充血・分泌物の悪化がないか、また稀に眼内悪性腫瘍が隠れていないかを定期的に確認する。

まとめ

  • は単一疾患ではなく、外傷・手術・感染・炎症・悪性腫瘍・・血管病変など多様な重症眼疾患がたどり着く終末像である。
  • ・血液眼関門の破綻・炎症というを通じて眼球が萎縮・し、視機能は失われる。
  • は代表的な原因の一つで、手術を行った症例でも約10%がへ進行する。
  • (の眼を攻撃するびまん性両側性)のリスクを常に念頭に置き、視力予後不良例では早期摘出が予防として推奨されるが、静かな眼への一律の摘出は求められない。
  • 治療の中心は整容的リハビリテーションと疼痛の対症的緩和であり、視機能の回復は望めない。

出典

  1. 1.Phthisis Bulbi—a Clinicopathological Perspective(Seminars in Ophthalmology・2018)眼球癆が眼球の萎縮と内部構造の崩壊、それに伴う機能喪失を特徴とする終末期の眼疾患であること、外傷・手術・感染・炎症・悪性腫瘍・網膜剥離・血管病変が共通の原因になること、病態の主要因子が低眼圧・血液眼関門の破綻・炎症であること、視機能の回復は望めないため整容的リハビリテーションまたは疼痛の対症的な緩和が管理の中心になることを確認した閲覧 2026-09-06
  2. 2.Diagnostic and Management Strategies in Patients with Persistent Fetal Vasculature: Current Insights(Clinical Ophthalmology・2020)遺残胎児血管系に対して手術を行った症例でも約10%が眼球癆へ進行することを確認した閲覧 2026-09-06
  3. 3.Globe Rupture(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)交感性眼炎が「びまん性両側性肉芽腫性汎ぶどう膜炎」で受傷していない健側の眼にも視力障害を来しうる開放性眼球損傷の遅発性合併症であること、視力予後不良と判断される患眼では受傷後2週間以内の眼球摘出・内容除去がその予防として推奨されることを確認した閲覧 2026-09-06
  4. 4.The Incidence of Sympathetic Ophthalmia After Trauma: A Meta-analysis(American Journal of Ophthalmology・2022)外傷後の交感性眼炎の発生割合が0.19%、発生率が10万人年あたり33件であったことを確認した(抄録のみを閲覧しており全文は未取得)閲覧 2026-09-06