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Drug Atlas · C5 Antivirals / 抗ウイルス薬

カシリビマブ

casirivimab

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(日本)
ロナプリーブ(カシリビマブ/イムデビマブ)
商品名(EU)
Ronapreve
科目
Pharmacology
トピック
C5: Agents to treat Herpes simplex (HSV), varicella-zoster (VZV), cytomegalovirus (CMV). Anti-influenza agents. Drugs against Corona- and other viruses
承認適応
COVID-19
標的微生物
SARS-CoV-2
副作用
インフュージョンリアクション

🧠 全体像:は相棒のと2剤1組で使うモノクローナル抗体カクテルで、SARS-CoV-2のSpike蛋白の(RBD)上の互いに競合しない2つの異なるエピトープに同時に結合するよう設計されている。この(「1本のウイルスが2か所同時に変異しないと逃げられない」)は理論的には賢いが、Omicron株がSpikeに極めて多数の変異を集めて出現したことで両方のエピトープが同時に変わってしまい、この賭けは外れた。 群に共通する教訓——の出現で有効性を失い、多くが使用推奨から外れた——を最も象徴する薬である。

薬効群の中での位置づけ

と違い、は「Spike蛋白のどこを狙うか」で有効性の持続期間が決まる。

薬剤(併用) 開発元 狙うエピトープ 転機となった 現在の位置づけ
+ Regeneron RBD上の2エピトープ Omicronでを喪失 使用推奨から除外
+ Eli Lilly RBD上の2エピトープ Beta/Gamma株で先行して活性低下、Omicronで消失 使用推奨から除外
GSK/Vir RBD外の保存されたエピトープ(SARS-CoV-1と共通) Omicron初期(BA.1)は保持、BA.2以降で活性低下 使用推奨から除外
Eli Lilly RBD上のエピトープ Omicron BA.1/BA.2には有効だったがBQ.1.1/XBB系統で消失 使用推奨から除外(最後まで残った1剤も失効)

⭐ の宿命的な弱点がここにある。 (プロテアーゼ阻害・ポリメラーゼ阻害)はウイルスのという変異しにくい標的を狙うのに対し、はSpike蛋白という免疫によるで最も変異が集積しやすい部位を狙う。だからこそ抗体は開発当初こそ強力だが、が出現するたびに次々と無効化されるという構造的な弱さを持つ。が比較的長く効いたのは、狙うエピトープがSARS-CoV-1とも共通する機能上変異しにくいだったためだが、それでも最終的には逃げ切られた。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='casirivimab'>カシリビマブ</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='imdevimab'>イムデビマブ</span>が<br>SARS-CoV-2 Spike蛋白のRBD上<br>互いに異なる<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-competitive'>非競合</span>エピトープに結合"] --> B["Spikeがヒト細胞の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiotensin-converting enzyme 2'>ACE2</span>受容体に<br>結合できなくなる"]
    B --> C["ウイルスの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cell entry'>細胞侵入</span>が阻害される"]
    D["Spike蛋白に変異が蓄積<br>(特にOmicron系統で顕著)"] -.->|"両方の結合エピトープの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conformational'>立体構造</span>が変化"| A
    D --> E["抗体が結合できなくなり<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neutralizing activity'>中和活性</span>を喪失"]

薬物動態

項目 値・特徴
皮下注射または(のようなはない)
代謝 蛋白質のため肝代謝を受けない。のような相互作用はほぼない
半減期 数週間と長い(IgG抗体として再利用経路でリサイクルされるため)

適応

軽症〜中等症のCOVID-19で重症化リスクを持つ患者への曝露後予防・早期治療として承認されたが、2022年1月24日時点では、Omicron株に対する活性が著しく低下したことを理由に、+(REGEN-COV)を米国のいかなる地域でも認可しないとした1。その後、Regeneronの要請(供給終了・全ロット失効)を受けて2024年12月13日、はEUA自体を取り消した2。現在+は法的に使用できない。 過去の流行株(デルタ株以前)の時期に限って有効性が確認されていた。

用法・用量

単回の皮下注射または。実際の適応可否・用量は流行株の感受性データと各国のガイドラインで確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 最大の注意点は「効くかどうかが流行株次第」であること。 投与を検討する時点で、その時点の主流株に対するデータを確認しない限り、無効な治療を行うリスクがある
  • (等)のような臓器毒性・相互作用の問題は少ない

副作用

過敏症・に注意する。重篤な有害事象の頻度は低い。

まとめ

  • +はSpike RBD上の2エピトープを同時に狙うカクテル。
  • 「2エピトープを同時に狙えば逃げられにくい」というはOmicronの大量変異の前に破綻し、2022年1月24日にが使用を事実上全米で制限、2024年12月13日にはEUA自体が取り消された。
  • (/、/、、)はいずれもの出現で有効性を失い、使用推奨から外れたという共通の経過をたどった。
  • はを狙うと異なり、免疫によるの強いSpike蛋白を標的とするため構造的に耐性化しやすい。
  • 現在の臨床では、これらの群よりも(・・)が主体になっている。

出典

  1. 1.Imdevimab(StatPearls Publishing(NCBI Bookshelf)・2023)2021年6月3日にFDAがEUAを改訂してカシリビマブとイムデビマブの用量をそれぞれ600 mgへ引き下げ、皮下投与の選択肢を認めたこと、2021年11月17日には皮下投与での曝露後予防が認められたこと、認可用量がイムデビマブ600 mg+カシリビマブ600 mgの単回静脈内投与(点滴が遅れる場合の代替として皮下投与も可、静脈内投与が優先)であること、2022年1月24日時点のFDAファクトシートがOmicron株に対する活性低下のため米国のいかなる地域でも認可されないと記していることを確認した閲覧 2026-08-25
  2. 2.Revocation of Emergency Use of a Drug Product During the COVID-19 Pandemic; Availability(U.S. Food and Drug Administration(Federal Register 90 FR 35685)・2025)Regeneronが2024年11月25日にFDAへ取り消しを要請し(EUA下で製造・表示・流通された全ロットが失効し、同社が米国での提供を継続しない意向を示したため)、FDAが2024年12月13日付でREGEN-COV(カシリビマブ+イムデビマブ)のEUA(EUA 091)を取り消したことを確認した。閲覧 2026-08-03