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Drug Atlas · C5 Antivirals / 抗ウイルス薬 · 必修

クレソロビマブ

clesrovimab

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(日本)
エンフロンシア
商品名(EU)
Enflonsia
科目
Pharmacology
トピック
C5: Agents to treat Herpes simplex (HSV), varicella-zoster (VZV), cytomegalovirus (CMV). Anti-influenza agents. Drugs against Corona- and other viruses
承認適応
細気管支炎(RSウイルス)
標的微生物
Respiratory syncytial virus
副作用
発疹注射部位反応

🧠 全体像:クレソロビマブはと同じ「半減期延長型・単回投与」のRSV予防抗体でありながら、F蛋白上の異なるエピトープ(site IV)を狙うという一点で差別化されている。site IVはプレフュージョン・ポストフュージョンどちらの構造にも存在し、株間での配列保存性が高い。半減期を延ばす仕組み(のYTE変異)自体はと共通で、違いは標的エピトープと、体重によらない固定用量(105mg)という用法の2点にある。適応は初回RSVシーズンに限られ、2回目シーズンへの追加投与はだけが担う。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 標的エピトープ 半減期延長 用量 対象シーズン
F蛋白 site II なし(月1回 体重換算 高リスク児限定、毎シーズン反復
F蛋白 site Ø(プレフュージョン限定) YTE変異 体重で2段階(50/100mg) 初回+高リスク児は2回目も
クレソロビマブ F蛋白 site IV(pre/post両方に存在、株間で高度に保存) YTE変異(と同じ) 体重によらず固定105mg 初回シーズンのみ

との違いは「標的エピトープ」と「用量設計」の2点で、両者は互いに独立した特徴である。 半減期を延ばすFc改変(YTE変異)は両剤に共通する一方、標的はsite Ø対site IVと異なり、用法もが体重で2段階に分けるのに対しクレソロビマブは新生児から大きめの乳児まで一律105mgで済む12

機序

flowchart TD
    A["クレソロビマブ(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fully human'>完全ヒト型</span>IgG1モノクローナル抗体)を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intramuscular injection'>筋肉内注射</span>"] --> B["RSVのF蛋白のsite IVエピトープに結合<br>(プレ・ポストフュージョン両方の構造に存在)"]
    B --> C["F蛋白が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='membrane fusion'>膜融合</span>に必要な<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='conformational change'>構造変化</span>を起こせなくなる"]
    C --> D["ウイルスの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cell entry'>細胞侵入</span>が阻害される"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fc region'>Fc領域</span>にYTE変異を導入<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nirsevimab'>ニルセビマブ</span>と同じ半減期延長の仕組み)"] --> F["血中に長くとどまり<br>単回投与でRSVシーズンをカバー"]

💡 site IVは株間の変異が少なく、GenBank登録配列の99.8%で完全に保存されている。 が標的とするsite Øはプレフュージョン構造にしか存在しないのに対し、site IVはプレ・ポストフュージョンどちらの構造にも現れるため、ウイルスがを起こした後も認識され続けるという違いがある2

適応

領域 使いどころ
(RSウイルス)の予防 初回RSVシーズンを迎える新生児・乳児(体重によらず一律投与)。2回目シーズンへの追加投与の適応はない(この点はと異なる)3

用法・用量

体重によらず固定105mgを単回する。を伴う心臓手術を受ける乳児には、手術後に追加で105mgを投与する1。実際の対象基準・投与時期は現行のガイドライン・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:クレソロビマブまたは添加物に対する重篤な過敏症(アナフィラキシーを含む)の既往1
  • ⚠️ 治療薬ではないため、すでにRSV感染を発症した患者への投与は意味がない(予防目的の抗体であり、この点はと共通)
  • 2回目シーズンの適応がない点をと混同しない——高リスク児で2回目シーズンも予防が必要な場合はを選ぶ3

副作用

頻度 内容
高頻度 注射部位反応(紅斑3.8%・腫脹2.7%)、発疹(2.3%)1
重篤・まれ 過敏症反応(アナフィラキシーを含む、まれ)

まとめ

  • クレソロビマブはと同じ「半減期延長型・単回投与」のRSV予防抗体だが、標的エピトープがF蛋白のsite IV(プレ・ポストフュージョン両方に存在し株間で高度に保存)である点が異なる。
  • IgG1抗体で、半減期を延ばすのYTE変異はと共通。用法は体重によらない固定用量(105mg)で、エピトープの違いとは別の特徴として押さえる。
  • 適応は初回RSVシーズンのみで、2回目シーズンの追加投与はだけが担う。
  • を伴う心臓手術を受けた乳児には、術後に追加投与が推奨される。
  • 主な副作用は注射部位反応・発疹で、いずれも軽微なものが大半を占める。

出典

  1. 1.Use of Clesrovimab for Prevention of Severe Respiratory Syncytial Virus–Associated Lower Respiratory Tract Infections in Infants: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices — United States, 2025(CDC Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP)・2025)クレソロビマブの用量(体重によらず固定105mgの単回筋注)と、対象が初回RSVシーズンのみでニルセビマブと異なり2回目シーズンの適応がないことを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.ENFLONSIA (clesrovimab-cfor) injection — Prescribing Information(Merck Sharp & Dohme LLC / DailyMed (U.S. FDA)・2025)2025年6月の米国初回承認、適応(初回RSVシーズンを迎える新生児・乳児)、体重によらない固定105mgの単回筋注という用法、体外循環を伴う心臓手術を受ける乳児には追加で105mgを投与すること、禁忌(重篤な過敏症の既往)、主な副作用(注射部位紅斑3.8%、注射部位腫脹2.7%、発疹2.3%)を確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.Clesrovimab Binding Site Conservation on the RSV F Protein: An Evaluation of RSV Molecular Sequencing Data from 2019-2023 and GenBank Sequence Analysis(Open Forum Infectious Diseases(IDWeek抄録)・2025)クレソロビマブが標的とするRSV F蛋白のsite IVエピトープ(アミノ酸426-447)が、GenBank登録配列15,527件中15,495件(99.8%)で完全に保存されていたことを確認した閲覧 2026-08-10