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Drug Atlas · B1 Hemostatics / 止血薬 · 必修

フィブリンフォーム

fibrin foam

分類
Hemostatics / 止血薬
科目
Pharmacology
トピック
B1: Drugs influencing blood coagulation I: Antiplatelet agents. Fibrinolytic drugs. Drugs inhibiting bleeding

🧠 全体像を持つ他の・ビタミンK)とは異なり、に一切入らないである。フィブリンというヒト自身の止血に使われる蛋白そのものをに加工し、出血面に直接留置することで、そこへ血小板・凝固因子が働くための「」を提供する。ではなく物理的・生物学的な効果という一点が、この薬を他のと区別する軸になる。ただし「」という剤形そのものは現在の臨床現場で使われている製剤ではない(詳細は次節)。

現在の位置づけ:歴史的な製剤である

は、ヒト血漿由来のフィブリノゲンにトロンビンを加えて凝固させ、に乾燥させた製剤で、第二次世界大戦期の1940年代に外科領域のとして登場した、比較的初期のフィブリン製剤の一つである。当時のフィブリン製剤はプールされたヒト血漿から作られており、肝炎・HIVなどの血液媒介性ウイルスを伝播するリスクを抱えていた1

1998年、処理を経た現行の。商品名 seel、Evicelなど)が米国で承認されて以降、の主流はこちらへ置き換わった1。両者は「フィブリンを外から供給する」という機序は同じだが、があらかじめ凝固させた乾燥スポンジであるのに対し、現行のフィブリノゲン液とトロンビン液をで混合しその場で重合させるという点で剤形が異なる。もう一つの代表的なである(商品名 Gelfoamなど)は、フィブリンそのものを含まず、患者自身の血小板・凝固因子が働くための物理的なを提供するだけという点で機序が異なる。

💡 このノートで学ぶ「フィブリンをとして局所に供給する」という機序自体は、現行のにもそのまま当てはまる。 剤形(乾燥スポンジか、で混合する液体か)と技術の有無が違うだけで、「循環血液中の凝固能に依存せず、局所にフィブリンを直接与えて止血する」という発想は現在まで引き継がれている。学習上は「=フィブリン系の原型」と位置づけると理解しやすい。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 作用範囲 機序
など 全身 生成を抑え線溶を止める
など 全身 欠乏因子を補充する
局所のみ フィブリンマトリックスをとして供給する
全身 の安定化+改善

は「」に分類されるが、的な受容体・酵素標的を持たない点で他の全薬剤と一線を画す。 全身性の凝固能・線溶能には一切影響しないため、血栓症・のリスクを問わず局所的に使える一方、全身性の出血()には無力である。

機序

フィブリンでできたのマトリックスを出血面に直接留置すると、そこへ血小板が付着・凝集し、患者自身の凝固因子(トロンビンなど)が働いて安定した血栓を形成するになる。マトリックス自体が凝固を「起こす」のではなく、凝固が起こりやすい環境を物理的に作る点が、的に作用する他のとの違いである。

適応

手術部位の(毛細血管・のオージング〈じわじわとした出血〉など)。が期待できないため、の大量出血やによる出血には単独で対応できない。同じ適応で、現在の臨床では主にが用いられる(前述のとおりそのものは歴史的な剤形である)。

用法・用量

局所適用(への直接留置)のみ。全身投与は行わない。実際の使用法は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:血管内への投与(血栓塞栓のリスクがあるため局所留置に限る)、成分への過敏症
  • 全身性の凝固異常(など)による出血には無効であり、原因治療を別に行う

副作用

頻度 内容
注意 局所反応
重篤・まれ 過敏反応(アナフィラキシー

まとめ

  • フィブリンでできた。出血面に直接留置し、血小板・凝固因子が働くためのを物理的に提供する。
  • に入らず、全身性の凝固能・線溶能には影響しない。
  • 適応は手術部位の毛細血管・からのにじむような出血に限られ、大量出血やによる出血には無効。
  • 血管内投与は血栓塞栓のリスクがあるため禁忌で、局所留置に限定する。
  • という剤形自体は1940年代に登場した歴史的な製剤であり、現在の臨床現場では使われていない。 技術を経た現行のseel、Evicelなど、1998年に米国で承認)や(Gelfoamなど)が同じ適応の現行製剤にあたる。「局所にフィブリンを供給してを作る」という機序の理解自体は現行製剤にもそのまま通用する。

出典

  1. 1.Fibrin Sealant: The Only Approved Hemostat, Sealant, and Adhesive—A Laboratory and Clinical Perspective(ISRN Surgery(現行の学術レビュー)・2014)初期のヒト血漿プール由来フィブリン製剤は肝炎・HIV等のウイルス感染を伝播するリスクを抱えていたこと、ウイルス不活化処理を経た現行のフィブリンシーラント(液体2成分製剤)が1998年に米国で承認され現在の標準になったことを確認閲覧 2026-08-03