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Drug Atlas · B30 Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤

リロナセプト

rilonacept

分類
Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤IL-1 inhibitors / IL-1阻害薬
商品名(EU)
Arcalyst
科目
Pharmacology
トピック
B30: Immunopharmacology III (Antibodies and fusion proteins)
承認適応
クリオピリン関連周期熱症候群IL-1受容体拮抗蛋白欠損症急性心膜炎
副作用
注射部位反応

🧠 全体像:は、()・(抗IL-1β抗体)と並ぶ第3のだが、「IL-1トラップ」という可溶性という点で構造が異なり、IL-1αとIL-1βの両方を中和する(はIL-1βのみ)。適応もCAPS(FCAS・)だけでなく、DIRA()の維持療法と再発性という、の中でもかなり毛色の異なる2つの適応を持つ点が特徴的である。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 構造 中和する分子
組換え IL-1受容体への結合をに阻害 連日皮下注
抗IL-1β IL-1βのみ 4〜8週ごと皮下注
IL-1RI+IL-1RAcPの-(IL-1トラップ) IL-1αとIL-1βの両方(IL-1raにもで結合) 週1回皮下注

⭐ だけがIL-1αも中和する。 IL-1αは損傷・炎症を起こした細胞から放出されの活性化を増幅する経路にも関与するため、IL-1β単独中和のとは中和対象の範囲が異なる1。

機序

flowchart TD
    A["IL-1RI<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extracellular domain'>細胞外ドメイン</span> + IL-1RAcP<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extracellular domain'>細胞外ドメイン</span><br>+ ヒト<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immunoglobulin G1'>IgG1</span> <span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fc region'>Fc部分</span>の二量体<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fusion protein'>融合蛋白</span>"] --> B["可溶性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decoy receptor'>デコイ受容体</span>(IL-1トラップ)"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high affinity'>高親和性</span>で結合"| C["IL-1α"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high affinity'>高親和性</span>で結合"| D["IL-1β"]
    B -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low affinity'>低親和性</span>で結合"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IL-1 receptor antagonist protein'>IL-1受容体拮抗蛋白</span>(IL-1ra)"]
    C --> F["細胞表面IL-1受容体への結合を阻止"]
    D --> F
    F --> G["下流の炎症性シグナル伝達が遮断される"]

💡 NLRP3・という上流の異常がどこにあっても、最終産物のIL-1αとIL-1βを両方とも捕捉してしまえば表現型を問わず効く——これがCAPS(FCAS〜〜NOMID/CINCAの連続する3表現型)に全般が有効な理由であり、がそこにIL-1αの中和も加えている。

適応

領域 使いどころ
(CAPS)のうちFCAS・(12歳以上)。NOMIDは適応に含まれない1
(DIRA)の(体重10kg以上)1
循環器 再発性の治療および再発リスクの低減(12歳以上)1

⭐ 再発性への適応は、RHAPSODY試験という中止試験に基づく。 標準治療で再発した86例を単剤(背景薬は中止)のに移行させたところ、疼痛消失までの中央値がわずか5日・正常化までの中央値が7日と速やかに炎症が沈静化し、反応した61例を継続群とプラセボ群にすると再発率が群7%(2/30例)に対しプラセボ群74%(23/31例)、初回再発までの0.04(95%CI 0.01〜0.18、P<0.001)と劇的な差がついた2。

用法・用量

CAPS・再発性(成人):320mgを160mgずつ2か所に分けて皮下注射し、以後は週1回160mgを維持する。DIRA(成人):週1回320mgを2か所に分けて皮下注射する。小児用量は年齢・体重で調整される1。他のから切り替える場合は、切り替え元を中止し次回投与予定時にを開始する。実際の用量は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:None(添付文書のCONTRAINDICATIONS節に記載なし)1
  • ⚠️ 重篤な感染症のリスク。 活動性・症のある患者には開始しない。重篤な感染症が発現したら中止する1
  • 悪性腫瘍発生への影響は不明1
  • 阻害薬や他のとの併用は重篤な感染症リスクを高めるため推奨されない1
  • 生ワクチンは接種を避け、投与開始前に推奨されるワクチン接種を最新の状態にする1
  • の変化に注意する1
  • ⚠️ 酵素との相互作用。 慢性炎症下ではIL-1などのサイトカイン上昇により酵素の産生が抑制されているため、IL-1を中和するの投与により炎症が沈静化すると活性が正常化しうる。ワルファリンなど治療域の狭い基質薬を投与中の患者でを開始する際は、薬効・血中濃度のモニタリングを行い個々の薬剤のを検討する1

副作用

頻度 内容
高頻度 注射部位反応、(CAPS・再発性で最も高頻度)1
重篤・まれ 重篤な感染症(他のでも報告あり)、過敏症反応

まとめ

  • はIL-1RI・IL-1RAcPのをFcに連結した(IL-1トラップ)で、IL-1αとIL-1βの両方を中和する(はIL-1βのみ)。
  • 適応はCAPS(FCAS・、NOMIDは含まれない)に加え、DIRAの、再発性という3つの毛色の異なる領域を持つ。
  • 再発性への適応はRHAPSODY試験(中止試験)に基づき、再発率が群7%対プラセボ群74%と劇的な差を示した。
  • 投与は週1回皮下注(の連日投与、の4〜8週ごとと比べ中間的な間隔)。
  • 禁忌はないが、重篤な感染症リスク・生ワクチン回避・変化に注意し、他の・阻害薬との併用は避ける。

出典

  1. 1.ARCALYST (rilonacept) for injection, for subcutaneous use — Prescribing Information(2025年11月改訂)(U.S. Food and Drug Administration・2025)添付文書PDFを取得して確認した。作用機序(ヒトIL-1I型受容体(IL-1RI)とIL-1受容体アクセサリー蛋白(IL-1RAcP)の細胞外ドメインをヒトIgG1のFc部分に連結した二量体融合蛋白=「IL-1トラップ」であり、IL-1αとIL-1βの両方に結合し細胞表面受容体との結合を妨げる。IL-1受容体拮抗蛋白(IL-1ra)にも結合するが親和性は低い。IL-1α・IL-1β・IL-1raへの平衡解離定数はそれぞれ1.4pM・0.5pM・6.1pM)、適応が①CAPS(FCAS・Muckle-Wells症候群、12歳以上)、②DIRA(体重10kg以上の維持療法)、③再発性心膜炎(recurrent pericarditis、12歳以上、再発リスク低減を含む)の3つであること、用法・用量(CAPS・再発性心膜炎の成人は負荷用量320mgを160mgずつ2か所に分けて皮下注射し、以後は週1回160mgを維持;DIRA成人は週1回320mgを2か所に分けて皮下注射)、禁忌が「None」であること、警告(重篤な感染症、悪性腫瘍のリスクは不明、過敏症反応、脂質プロファイル変化、生ワクチン回避)、CAPS・再発性心膜炎で最も高頻度の有害事象が注射部位反応と上気道感染であることを確認した。閲覧 2026-09-05
  2. 2.Phase 3 Trial of Interleukin-1 Trap Rilonacept in Recurrent Pericarditis(New England Journal of Medicine(RHAPSODY試験)・2021)標準治療中に再発した心膜炎の疼痛とCRP上昇を有する86例を12週の導入期でリロナセプト単剤へ切り替え(背景薬は中止)、反応した61例をリロナセプト継続とプラセボへ1:1に無作為割り付けした第3相ランダム化中止試験で、導入期の疼痛消失/ほぼ消失までの中央値が5日・CRP正常化までの中央値が7日、無作為化後の再発がリロナセプト群2/30例(7%)対プラセボ群23/31例(74%)、初回再発までの時間のハザード比0.04(95%CI 0.01〜0.18、P<0.001)であったことを確認した。プラセボ群の再発までの中央値は8.6週(95%CI 4.0〜11.7)。閲覧 2026-09-04