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Imaging findings · Published

eFAST

Extended FAST

別名
FAST拡張FAST迅速簡易超音波検査法
臓器系
全身呼吸器
科目
Traumatology and Orthopedics
トピック
外傷学 14:鈍的腹部外傷の観察・診断・治療外傷学 13:外傷性血胸・気胸の診断と治療
関連疾患
気胸胸部外傷(肋骨骨折・血胸・外傷性気胸・フレイルチェスト)鈍的腹部外傷

🧠 全体像:FAST(外傷における迅速簡易)が見ているのは「どの臓器が壊れたか」ではなく、体腔に液体が溜まっているかという一点である。 はここに胸腔の評価(気胸・)を足したもので、⭐ 陽性は次の処置を直ちに変えるが、陰性は損傷を除外しない——この非対称性がこの検査の性格そのものである。

所見の定義

FASTの4断面に、が胸腔の評価を加える。

断面 当てる位置 陽性所見
心嚢 下、または傍胸骨 心嚢内の腔、の拡張期虚脱
右上腹部 肝腎境界(Morison窩)・右 肝腎境界の遊離液
脾腎境界・左 脾周囲の遊離液
骨盤 恥骨上(膀胱周囲・) 膀胱背側の遊離液
の追加① 両側(仰臥位で最も高い位置) 消失+Aライン+ → 気胸
の追加② 横隔膜直上(右上腹部・の断面を頭側へ) の液体 →

気胸の判定はの消失だけでは足りない。Aラインと(と正常肺の境界)まで揃えて初めて気胸の所見になる——患者を対象とした研究では、この組み合わせの感度81%・特異度100%と報告されている1。

診断精度

75研究24,350例のによる統合値2。

対象 感度 特異度
気胸 69% 99%
91% 94%
腹腔内遊離液 74% 98%
腹腔内遊離液(低血圧例) 74% 95%
腹腔内遊離液(成人・正常血圧) 76% 98%
腹腔内遊離液(小児) 71% 95%

⭐ 特異度は一貫して94〜99%と高く、感度は69〜91%にとどまる。 自身が「確定には有用だが、除外のとしては支持されない」としている2。

💡 胸部X線に対する優位は、仰臥位で見えない気胸にある。 外傷225例では65個の気胸のうち41個(63%)が仰臥位胸部X線では判らず、を基準にごとに比べるとの感度は48.8%、胸部X線は20.9%で、特異度はともに99%前後だった3。どちらも見落とすが、のほうが見落としが少ない。

評価の進め方

flowchart TD
  A["外傷患者の一次評価"] --> B{"呼吸・循環が破綻しているか"}
  B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tension pneumothorax'>緊張性気胸</span>を疑う"| C["画像を待たず胸腔減圧"]
  B -->|"それ以外"| D["蘇生と並行して<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extended focused assessment with sonography for trauma'>eFAST</span>を実施"]
  D --> E{"体腔に液体または気胸所見あり"}
  E -->|"あり・循環不安定"| F["緊急止血へ:開腹・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tube thoracostomy'>胸腔ドレーン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pericardiocentesis'>心嚢穿刺</span>"]
  E -->|"あり・循環安定"| G["造影CTで損傷臓器と活動性出血を評価"]
  E -->|"なし・循環不安定"| H["胸部・骨盤・後腹膜・外出血を再検索<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='extended focused assessment with sonography for trauma'>eFAST</span>を反復"]
  E -->|"なし・循環安定"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='causation'>受傷機転</span>と診察に応じて<span class='jp-term jp-term-diagram' title='computed tomography'>CT</span>または経時観察"]

と結果の組み合わせごとの具体的な行動はの診断アルゴリズムにまとめてある。

紛らわしいもの

⚠️ 見えない場所がある。 後腹膜、腸管・腸間膜、膵、横隔膜、膀胱の損傷は液体を伴わないことがあり、陰性は腹腔内損傷を除外しない。単回の陰性で経過観察を打ち切らず、状態が変われば当て直す。

  • 生理的な少量の骨盤内液体(とくに月経可能年齢の女性)や腹水は、の出血と区別できない。とと合わせて読む。
  • 脂肪はに似た帯として見える。か、でどう動くかで見分ける。
  • ・胸壁のは胸膜を見えなくする。「が見えない」はであり、気胸の所見ではない。
  • 消失は気胸に特異的でない。 片肺挿管、、胸膜癒着でも消える。
  • 少量の液体は検出できず、肥満・腸管ガス・の習熟度で成績が落ちる。

まとめ

  • はFASTの4断面(心嚢・右上腹部・・骨盤)に胸腔の気胸・評価を加えたものである。
  • 見ているのは体腔内の液体と胸膜の所見であり、損傷臓器そのものではない。
  • 特異度は高く感度は中等度で、確定には強いが除外には使えない。
  • 気胸の判定は消失だけでなくAラインとまで揃える。
  • 陰性でも後腹膜・腸管・膵の損傷は残る。が説明できなければ反復し、他の出血源を探す。

出典

  1. 1.Relevance of lung ultrasound in the diagnosis of acute respiratory failure: the BLUE protocol(Chest・2008)前胸部の肺スライディング消失+Aライン+肺点という組み合わせは、気胸を感度81%・特異度100%で示した閲覧 2026-09-08
  2. 2.Diagnostic accuracy of eFAST in the trauma patient: a systematic review and meta-analysis(CJEM・2019)75研究24,350例のメタ解析で、統合感度・特異度は気胸69%・99%、心嚢液91%・94%、腹腔内遊離液74%・98%だった。腹腔内遊離液のサブグループ解析では低血圧例74%・95%、成人正常血圧例76%・98%、小児71%・95%であり、eFASTは確定(rule in)には有用だが除外(rule out)の道具としては支持されないと結論している閲覧 2026-09-08
  3. 3.Hand-held thoracic sonography for detecting post-traumatic pneumothoraces: the Extended Focused Assessment with Sonography for Trauma (EFAST)(The Journal of Trauma: Injury, Infection, and Critical Care・2004)外傷患者225例の前向き研究で、52例(22%)に65個の気胸が見つかり、そのうち41個(63%)は仰臥位胸部X線では判らなかった。複合基準に対するEFASTの感度は58.9%、特異度99.1%であり、CTを基準に266肺野を直接比較すると、EFASTは胸部X線より高感度(48.8%対20.9%)で特異度は同等(99.6%対98.7%)だった閲覧 2026-09-08