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Imaging findings · Published

シャボン玉様病変

Soap bubble appearance

別名
膠様偽嚢胞ゼラチン様偽嚢胞gelatinous pseudocyst
臓器系
感染症神経
科目
Medical MicrobiologyPathologyNeurology
トピック
微生物学 4/9:クリプトコッカス・ネオフォルマンス、ニューモシスチス・イロベチイ(カリニ)病理学 C/109:中枢神経系感染症(髄膜炎・脳炎)神経内科 G1-22:髄膜炎と脳炎
関連疾患
クリプトコッカス症

🧠 全体像は、脳の)がCryptococcusと菌体を含む粘液様物質で拡張した「」が、大脳基底核や中脳を中心に・多発してMRIに描出されたものである。内容が脳脊髄液に近い信号を示しながらほとんど造影されないという「炎症の乏しさ」自体が、を示唆する所見になる。

所見の定義

に沿ってCryptococcusが増殖し、菌体とからなる粘液様物質でその腔を拡張させたものをと呼ぶ。単発では非特異的なの拡大にしか見えないが、脳室周囲白質・大脳基底核・中脳・に好発して・多発することで、境界明瞭な多数の小円形病変が連なる「シャボン玉」の見た目になる1

⭐ 単発〜少数で内部に不均質な増強を伴うと呼ばれる別の病変で、画像的にはの一種として扱う。する多数の小嚢胞であるとは形態も対応も異なり、区別して評価する。

モダリティと写り方

検査 所見
低〜中等度信号1
高信号。内容物が粘液様で脳脊髄液に近い性状を反映する1
低信号。内容が脳脊髄液に近い性状であるため水信号として抑制される。T2高信号とFLAIR低信号の組み合わせが、周囲に浮腫を伴う病変との差になる1
は乏しい、または無いのが典型。免疫不全が強いほど炎症反応そのものが乏しく血液脳関門の破綻も限定的になるため、増強されにくい1
CT 不明瞭な低吸収域としてしか描出されないことが多く、CTが正常であってもを否定できない2

評価の進め方

flowchart TD
    A["免疫不全患者の亜急性頭痛"] --> B{"神経画像がただちに実施できるか"}
    B -->|"できる"| C["頭部MRI(望ましい)またはCT"]
    B -->|"待つと遅れる"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lumbar puncture'>腰椎穿刺</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='opening pressure'>開放圧</span>を必ず測定)"]
    C --> E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mass lesion'>占拠性病変</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='brain herniation'>脳ヘルニア</span>の所見があるか"}
    E -->|"なし"| D
    E -->|"あり"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lumbar puncture'>腰椎穿刺</span>の可否を神経外科と相談"]
    D --> G["髄液の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cryptococcal antigen'>クリプトコッカス抗原</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='India ink stain'>墨汁染色</span>・培養を提出"]
    D --> H{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='opening pressure'>開放圧</span>が高いか"}
    H -->|"高い"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lumbar puncture'>腰椎穿刺</span>を反復して減圧<br>20 cmH2O未満または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='opening pressure'>初圧</span>の半分以下を目標"]

⚠️ 画像でが見えないことは、の否定にならない。 画像検査の役割は頭蓋内圧亢進を示唆するの有無を確認することにとどまり、診断そのものはが担う。画像所見の有無での適否を決めてはならない。 WHOは、可能であればの前に神経画像(MRIが望ましい)を行うとしつつ、それによってを著しく遅らせないこと、および頭蓋内圧亢進の症状・徴候の有無にかかわらず自体は実施することを求めている。が高ければ穿刺そのものを反復し、20 cmH2O未満またはの半分以下を目標に減圧する3

紛らわしいもの

類似所見・所見 見分けるポイント
拡大(正常変異) 加齢などでみられる正常構造。周囲のFLAIR高信号(浮腫)を伴わず、免疫不全という背景も欠く
基底核に好発する点は共通するが、急性期はを示し、危険因子・臨床経過が異なる
嚢胞内に虫体のを示す点状構造がみられることがあり、渡航歴・摂食歴などの疫学的背景も異なる
単発〜少数ので内部に不均質な増強を伴い、CTでも不均質な低吸収域として描出される。細菌性のと異なり内部を欠くことが多い点は共通するが、する多数の小嚢胞であるとは形態が異なる2
骨腫瘍の「シャボン玉様骨 などでみるの所見で、(単純X線・CT)・臓器(骨)ともにまったく別の所見である
の「 新生児のでみるの所見で、腸管ガスパターンを指し、脳の所見とはである

まとめ

  • は、)がを含む粘液様物質で拡張したが、脳室周囲白質・大脳基底核・中脳・・多発してMRIに描出されたもの。
  • T1低〜中等度信号・T2高信号・FLAIR低信号という脳脊髄液に近い信号を示し、に乏しいのが典型で、免疫不全が強いほど造影されにくい。
  • CTでは不明瞭な低吸収域にしか写らず、CT正常でもを否定できない。
  • 画像所見の有無での適否を決めない。画像の役割はの評価にとどまり、診断はが担う。
  • 単発のである、骨腫瘍の所見、の「」とは、同じ語を使っても別の病態・所見であり混同しない。

出典

  1. 1.Magnetic resonance imaging features of gelatinous pseudocysts in cryptococcal meningoencephalitis(Acta Neurologica Belgica・2019)膠様偽嚢胞は血管周囲腔(Virchow-Robin腔)に沿って生じ、脳室周囲白質・大脳基底核・中脳・歯状核に好発してMRIでT1低〜中等度信号・T2高信号・FLAIR低信号を示す「石鹸泡様外観」を呈すること、免疫不全患者では嚢胞性病変・髄膜の造影効果が通常軽度または欠如することを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.Teaching NeuroImage: Cryptococcal Meningoencephalitis With Cryptococcoma and Gelatinous Pseudocysts(Neurology・2023)クリプトコーマは内部増強を伴う不均質病変でCTでも不均質低吸収域として描出されるのに対し、膠様偽嚢胞はCTでは不明瞭な低吸収域としてしか描出されないこと、クリプトコーマは典型的な細菌性膿瘍と異なり内部拡散制限を欠くことが多いことを確認した。閲覧 2026-08-04
  3. 3.Recommendations on induction, consolidation and maintenance antifungal treatment regimens — Guidelines for Diagnosing, Preventing and Managing Cryptococcal Disease Among Adults, Adolescents and Children Living with HIV(World Health Organization・2022)腰椎穿刺前の神経画像検査(MRIが望ましい)は可能であれば行うが著しい遅延を招いてはならず、症状や頭蓋内圧亢進の徴候の有無にかかわらず腰椎穿刺自体は実施すべきであること、頭蓋内圧が高い場合は反復腰椎穿刺により20 cmH2O未満または初圧の半分以下を目標に減圧することを確認した。閲覧 2026-08-04