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Lab values · Published

聴性定常反応

Auditory steady-state response

別名
ASSR
臓器系
耳鼻咽喉科小児
科目
Otorhinolaryngology
トピック
耳鼻咽喉科 04:純音聴力検査・ティンパノメトリーと主観的・客観的聴力検査耳鼻咽喉科 06:客観的聴力検査、ティンパノメトリー、誘発反応聴力検査
関連疾患
聴覚ニューロパチースペクトラム障害

🧠 全体像:(ASSR)は、振幅変調・周波数変調した持続音に対する応答を、(ABR)のように波形を目で読むのではなく統計的に自動検出する検査である。周波数別(500・1000・2000・4000 Hz)に、両耳を同時に推定できる点がABRとの最大の違いで、児の残存聴力推定や補聴器に向く。ただし推定閾値であって行動そのものではなく、鎮静・睡眠が必要で、聴力が正常に近いほど誤差が大きくなることを踏まえて使う。

何を測っているか/検査原理

振幅変調(AM)または周波数変調(FM)をかけた持続音(搬送波)を反復提示し、の中に刺激変調周波数と同じ周期で生じる定常的な電位変化があるかを、位相・振幅の統計的検定(解析など)で自動判定する。ABRが刺激後10 ms程度のな波形(I〜V波)を目視で読むのに対し、ASSRは検者の判読を介さず、装置が「反応あり/なし」を統計的に返す1。

項目 ABR ASSR
刺激 ・の過渡音 振幅・周波数変調した持続音
判読 検者が波形(I〜V波)を目視で判定 装置が統計的検定で自動判定
同時評価 通常1耳・1条件ずつ 複数周波数・両耳を同時評価しやすい
主な用途 ・の評価、後の精査 推定、の残存

実施法と判定指標

頭皮電極でABRと同様にを記録するが、刺激は変調音を用い、複数周波数・両耳を並行して呈示できるプロトコルが多い。を確保するため、体動・雑音の影響を減らす必要がある。

指標 読み方
ASSR閾値 統計的に有意な反応が検出できなくなる最小刺激レベル。周波数別・耳別に得られる
推定 ASSR閾値に年齢・装置別の補正値を適用して行動を推定したもの。ASSR閾値そのものではない
検出の可否 睡眠状態、電気雑音、電極条件によって統計的検出力が変わる

結果の読み方

ASSRが検出できる刺激レベルと真のとの差は、聴力の程度によって変わる。約9.8分間記録した検討では、健常若年者・聴力正常高齢者ではASSR反応検出レベルが真のより平均12〜13 dB SL高かったのに対し、感音難聴群では平均約3.6 dB SLとその差が小さかった2。

⚠️ 難聴例では反応検出レベルの平均が真の閾値に近い一方、はむしろ大きい(感音難聴群の13.5 dBは健常若年群の8.7 dBより大きい)。平均の偏りが小さいことと、個々の症例で正確に当たることは別である。補正式を使っても、正常に近い耳では過大評価(実際より悪い聴力に見える)が起こりやすい。

⚠️ 測定上・判読上の注意

  • 推定閾値であって行動そのものではない。 ASSR閾値は年齢・装置別の補正を経て初めて推定になる。補正なしにの代わりとして扱わない。
  • 正常に近い聴力や軽度難聴の判別には限界があると指摘されている1。が大きいため、推定閾値を単独で確定値として扱わない。
  • 自然睡眠または鎮静が必要である。 を確保するため、児が入眠しない場合は検査そのものが成立しないことがある1。鎮静を行う場合は呼吸・循環リスクを評価できるで実施する。
  • ABRは依然としてである。 ASSRは複数周波数・両耳の同時評価という利点を持つが、や後迷路病変の評価、の場面ではABRの位置づけが優先される1。
  • 反応であって、全体の正常を保証しない。 ABR・と同様、皮質レベルの聴覚処理や語音理解は別に評価する。

次に進むべき検査/使い分け

  • で要再検となった場合:スクリーニング自体は自動ABRまたはで行われることが多く、ASSRは要再検後の精査、の推定に主に用いられる。
  • 補聴器・候補評価:周波数別の残存聴力を知りたい場面ではASSRが向く。高度〜でに協力できない乳幼児では、ASSRとABR()を組み合わせてを推定する。
  • ・後迷路病変を疑う場合:や左右差を評価できるを用いる。ASSRは統計的な閾値検出に特化しており、波形パターンの評価には向かない。
  • 機能を分けて評価したい:と組み合わせ、ASSR・ABRとの一致・不一致からか神経性かを絞り込む。
  • 協力可能な年齢に達したら:による行動でクロスチェックする。

まとめ

  • ASSRは変調音への応答を統計的に自動検出し、周波数別・両耳同時に推定閾値を得られる検査である。
  • ABRの目視判読と異なり検者の主観を介さないが、推定閾値であって行動そのものではなく、年齢・装置別の補正が要る。
  • 難聴例では反応検出レベルの平均が真の閾値に近いがは大きく、正常〜軽度難聴の判別には限界がある。
  • の確保のため自然睡眠または鎮静が必要で、児が入眠しないと検査が成立しないことがある。
  • の主体はABR・であり、ASSRは要再検後の推定や補聴器に位置づけられる。ABRは・の場面で依然としてである。

出典

  1. 1.Auditory Steady-State Responses for Detecting Mild Hearing Loss in Babies, Infants, and Children: Literature Review(Life (Basel)・2025)新生児・乳児・小児を対象としたASSRに関する文献レビューとして、ASSRはABRのような波形の目視判定と異なり統計的検定に基づき500・1000・2000・4000 Hzの4周波数を両耳同時に自動判定できること、信号対雑音比を確保するため自然睡眠または鎮静下での検査が必要で児が入眠しない場合は実施困難なこと、正常に近い聴力や軽度難聴の判別には限界が指摘される一方でABRは依然として聴覚電気生理検査のゴールドスタンダードとされること、補聴器調整のための周波数別閾値取得に用いられることをまとめた。閲覧 2026-09-01
  2. 2.Estimating audiometric thresholds using auditory steady-state responses(Journal of the American Academy of Audiology・2005)健常若年者・聴力正常高齢者・感音難聴高齢者を対象に約9.8分間記録したASSRで、真の感覚閾値(SL)を上回って統計的に反応を検出できた刺激レベルの平均は健常若年者12.6±8.7 dB SL、聴力正常高齢者12.4±11.9 dB SLであったのに対し、感音難聴高齢者群では3.6±13.5 dB SLであったことを確認した。3群の比較であり、難聴の重症度に沿った勾配や推定精度の向上を示したものではない(標準偏差はむしろ感音難聴群で最大)。閲覧 2026-09-01