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Lab values · Published

呼気終末二酸化炭素分圧

End-tidal carbon dioxide

別名
EtCO2ETCO2呼気終末CO2分圧end-tidal carbon dioxide
臓器系
呼吸器
科目
Anesthesiology
トピック
麻酔科学 A-14:術後呼吸不全麻酔科学 A-15:院内における一次救命処置と二次救命処置麻酔科学 A-16:心拍再開後管理
関連疾患
循環性ショック(心原性・循環血液量減少性・閉塞性・血液分布異常性)肺血栓塞栓症

🧠 全体像酸素化と換気は別の軸である。 (SpO2)が見ているのは酸素化だけで、酸素投与下ではCO2が貯留してが落ちていてもSpO2は最後まで正常に保たれる。EtCO2は換気そのものを連続・非侵襲的にベッドサイドで追える唯一の指標であり、単回の絶対値よりも波形の形とトレンドが情報を持つ。

何を測っているか

呼気終末のCO2分圧はCO2分圧の近似値であり、赤外線吸収を利用したセンサーで測定する。センサー位置により、気道回路に直接組み込む(応答が速いが重く結露に弱い)と、少量のガスを細管で吸引し離れたセンサーで測る(非挿管患者にも使いやすいが応答にわずかな遅延がある)に分かれる。

波形(カプノグラム)は4相で読む。

対応する呼吸相 波形の特徴
I相 呼気初期 気が主体でCO2はほぼ0
II相 呼気移行部 が混じりに立ち上がる
III相 呼気終末(相) ほぼ平坦な。EtCO2はこの終末の値
0相(IV相) 吸気開始 急降下しベースラインへ戻る

波形が消失・平坦化した場合は、数値だけを見ずに気道・回路・センサーを直ちに点検する。

基準値と単位

単位はmmHg。標準値は35〜45 mmHgで、とほぼ重なる。

EtCO2はそのものではなく近似にすぎない。両者の較差(−EtCO2、a-ET較差)は健常な肺では通常2〜5 mmHgで、(換気はされるが血流が届かない肺胞)が増える病態ほど開大する。この較差の大きさこそが臨床情報を持つ——EtCO2の絶対値だけを見て「はこの値のはず」と読み替えない。

高値の意味

代表例 機序の要点
低換気 オピオイド・鎮静薬過量(呼吸抑制)、神経筋疾患 が落ち、CO2が洗い出されず貯留する
CO2産生増加 発熱、参照)、敗血症、過剰な栄養投与 代謝が亢進しCO2産生量そのものが増える。換気で代償しきれなければEtCO2が上がる
回路の不良、、マスクの密着不良による増大 呼気ガスの一部を再吸入し、吸気にもCO2が混じる

では、説明できないEtCO2上昇が頻脈・に先行し、はしばしば遅れて出現する。数値のそのものが早期になる。

低値の意味

代表例 機序の要点
疼痛・不安、代謝性アシドーシスの が増え、CO2が過剰に洗い出される
心拍出量の急減 心停止、 肺への血流そのものが減り、肺胞に届くCO2が減る。EtCO2は換気だけでなくも反映する
回路・気道の異常 ・逸脱、回路リーク サンプリングガスにCO2がほとんど含まれなくなる

心停止時にEtCO2が急落するのはの停止そのものを表す。換気条件を変えていないのに値が下がったときは、まずと気道回路を疑う。

⚠️ 測定上の注意

  • 非挿管患者(鼻型サンプリング)では呼気が室内気に希釈されるため、実際のより低く出やすい。絶対値をの代用として扱わない。
  • COPDや喘息の増悪ではのため呼気がに達しきらず、a-ET較差が広がる。の傾斜が緩くなる波形自体もの手がかりになる。
  • 水分の凝結や分泌物によるサンプリングラインの閉塞は、実際には正常でも低値・波形消失として現れる。
  • 小児はが小さく、サンプリングによる希釈やの影響を受けやすいため、値が実際のCO2から乖離しやすい。

経時変化とモニタリング

単回の絶対値よりトレンドと波形の形を優先して読む。

flowchart TD
    A["EtCO2波形を確認"] --> B{"波形は出ているか"}
    B -->|"消失・急激な平坦化"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endotracheal tube'>気管チューブ</span>位置・回路接続・<br>サンプリングラインをまず点検"]
    B -->|"出ている"| D{"トレンドは"}
    D -->|"急激な上昇"| E["CPR中ならROSCを疑う<br>それ以外は低換気・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rebreathing'>再呼吸</span>・<br>CO2産生増加を検討"]
    D -->|"急激な低下"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary blood flow'>肺血流</span>の急減<br>(心停止・肺塞栓・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemorrhagic shock'>出血性ショック</span>)を<br>最優先で除外"]
    D -->|"緩徐な変化"| G["換気設定・鎮静深度・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='metabolic state'>代謝状態</span>を確認"]

は次の4場面に集約される。

  1. 後の位置確認:波形の持続的な検出は、気管内への正しい留置を確認する標準的な方法である。の除外において、胸部より優先される1
  2. の質とROSCの指標:胸骨圧迫中はEtCO2 10 mmHg以上、理想的には20 mmHg以上を、力学的に十分な圧迫の目安とする。EtCO2の急な上昇はの最初のとして使えるが、低値だけを理由に蘇生を中止しない1
  3. 処置的鎮静・術後・オピオイド投与中の呼吸抑制の早期検出は酸素投与下では低換気の発見が遅れるため、換気機能はで持続的に評価する2
  4. での換気:呼吸ごとの形により、換気設定の変更が実際の換気に反映されているかを、の再検を待たずに追える。

まとめ

  • EtCO2は換気を連続・非侵襲的にベッドサイドで追える唯一の指標。SpO2が見る酸素化とは別の軸で、酸素投与下ではSpO2が保たれたままCO2が貯留しうる。
  • は35〜45 mmHg。とのa-ET較差(通常2〜5 mmHg)はが増えると開大し、較差そのものが情報を持つ。
  • 高値は低換気・CO2産生増加・、低値はの急減(心停止・肺塞栓・)・回路異常に大別される。
  • 非挿管患者での希釈、COPD・喘息でのa-ET差増大、ライン閉塞、小児の小さいに注意する。
  • 単回値よりトレンドと波形を見る。確認、CPRの質とROSC、鎮静・術後の呼吸抑制早期検出、の4場面でされる。

出典

  1. 1.Part 9: Adult Advanced Life Support | American Heart Association CPR & First Aid(American Heart Association・2025)気管挿管後の連続波形カプノグラフィが気管内留置確認の最も信頼できる方法であること、胸骨圧迫中はEtCO2 10 mmHg以上・理想的には20 mmHg以上を力学的に十分な圧迫の目安とすること、EtCO2の急な上昇が自己心拍再開(ROSC)の検出に使える一方で低値だけを理由に蘇生を中止しないことを確認した閲覧 2026-08-03
  2. 2.Procedural Sedation(StatPearls Publishing(NCBI Bookshelf)・2025)処置的鎮静では胸壁運動・パルスオキシメトリーに加えてカプノグラフィで換気の適切性を評価すべきこと、呼吸抑制の持続監視にはEtCO2が特に有用であることを確認した閲覧 2026-08-03