検査値ノート一覧へ

Lab values · Published

深夜唾液コルチゾール

Late-night salivary cortisol

別名
LNSC深夜唾液中コルチゾール
臓器系
内分泌・代謝
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 E-06:糖質コルチコイド欠乏と過剰
関連疾患
クッシング症候群

🧠 全体像は、正常なら睡眠前後に最低となるが失われていないかを見る。非侵襲的で自宅採取できるの第一選択スクリーニングの一つだが、睡眠時刻、、急性ストレス、採取・汚染に左右され、1回の高値だけで診断も原因局在もできない。

何を測っているか

血中のが唾液へ拡散するため、唾液濃度はの変化を受けにくい。妊娠やで総コルチゾールが上昇する場面でも、を反映する利点がある。

flowchart TD
    A["正常な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sleep-wake rhythm'>睡眠覚醒リズム</span>"] --> B["深夜にコルチゾール最低"]
    C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endogenous cortisol excess'>内因性コルチゾール過剰</span>"] --> D["夜間最低値の消失"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='late-night salivary cortisol'>深夜唾液コルチゾール</span>低値"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='late-night salivary cortisol'>深夜唾液コルチゾール</span>高値"]
    G["睡眠ずれ・ストレス・汚染"] --> F

この検査は「一日の総分泌量」ではなく夜間最低値を評価する。したがって、患者の生物学的な夜と採取時刻が一致していることが前提になる。

採取時刻と判定

採取は通常、施設指定の就寝前または23〜24時ごろに自宅で行う。米国内分泌学会は異なる夜に2回測定することを推奨している。採取時刻・手順・判定上限は測定法ごとに異なるため、依頼先の説明とを用いる。

項目 読み方
検体 唾液。多くは式またはで採取する
単位 nmol/L、µg/dLなど。換算せず報告単位で判定する
免疫測定とで異なる
回数 異なる夜に通常2回。周期性が疑わしければ症状期に反復する
高値 夜間最低値の消失を示唆するが、単独で確定しない
低値 適切な採取なら過剰を否定する材料だが、高いや周期性では再評価する

施設によってはコルチゾンも測定し、外用混入の手掛かりにする。別の測定系のを流用しない。

適する場面と適さない場面

状況 解釈
典型的な昼夜リズムで自宅採取可能 第一選択スクリーニングとして使いやすい
腎機能低下 より採用しやすいことがある
周期性クッシングを疑う 症状の強い時期に複数回採取しやすい
、就寝時刻が一定しない 時計時刻の「深夜」が生物学的最低値を表さず、判定が不安定
入院中、急性疾患、強い疼痛・不眠 ストレスで偽陽性が増え、安定後の評価が望ましい
小児・妊娠 成人の一般基準を流用せず、で検証された方法がある場合に専門的に解釈する

⚠️ 夜勤明けに機械的に23時採取しても、通常の深夜基準とは比較できない。が安定しない患者では、など別法を選ぶ。

採取前の注意

依頼施設の手順を優先し、採取時刻、就寝時刻、服薬・外用薬、当日のストレスを記録する。

汚染・変動要因 対策
歯磨き、、口腔内の傷 採取直前の歯磨きを避け、血液混入が疑わしければ別日に再採取する
飲食、飲酒、喫煙 指定された禁止時間を守り、直前摂取を記録する
吸入・外用・経口ステロイド すべてのを申告し、手指や容器への付着を避ける
強い運動、急なストレス、睡眠不足 平常に近い日に採取し、条件が崩れた検体は解釈しない
唾液中代謝やコルチゾール値へ影響し得るため使用を確認する
採取量不足・保管不良 指定量、容器、保存・返送条件を守る

特に製剤が手指や口周囲から採取器具へ付くと、極端なを作る。手洗いを行い、外用部位に触れたまま採取しない。

結果から次へ進む

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Cushing syndrome'>クッシング症候群</span>を臨床的に疑う"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='exogenous steroid'>外因性ステロイド</span>を全経路で確認"]
    B --> C["適切な夜に2回採取"]
    C --> D{"結果と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pretest probability'>検査前確率</span>は一致するか"}
    D -->|"正常で低確率"| E["内因性過剰の可能性は低い"]
    D -->|"高値または不一致"| F["採取条件・睡眠・汚染を再確認"]
    F --> G["別の推奨検査または再測定"]
    G --> H["生化学的過剰を確認後にACTH・局在診断"]

高値なら同じ検査の適切な反復、などで確認する。ACTHや画像はコルチゾール過剰の存在を確認した後の原因分類に使い、唾液高値から直ちに下垂体・副腎画像へ進まない。

正常でも、進行する特徴が多い、周期性が疑われる、があるなどが高い場合は内分泌専門医へ相談する。

まとめ

  • は夜間最低値の消失をみるである。
  • 時計時刻よりが重要で、では別法を考える。
  • 異なる夜に通常2回採取し、測定法固有の基準で判定する。
  • 、喫煙、急性ストレス、ステロイド製剤の混入はの原因になる。
  • 単独高値で診断や局在を決めず、採取条件を確認して別の推奨検査へ進む。