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Lab values · Published

メチオニン

Methionine

別名
Met血中メチオニン
臓器系
内分泌・代謝
科目
BiochemistryPediatrics
トピック
生化学 7/4:アミノ酸の分解:炭素骨格の運命;アミノ酸代謝におけるビタミンの役割生化学 7/5:ビタミンB12欠乏とメチルマロン酸血症小児科 3-64:先天代謝異常症
関連疾患
ホモシスチン尿症

🧠 全体像であり、S-を経てに変換されたのち、①硫黄転移経路でへ、②へ戻る、という2方向のサイクルの起点にある。この検査の臨床的な意味は方向にある——CBS欠損(古典的)ではが高値になり、の異常(MTHFR欠損・代謝異常など)ではが低値になる。どちらもは高値を示すため、この高値・低値の分岐こそがを測る臨床的な理由そのものである。

何を測っているか

は体内で合成できないで、食事から供給される。はATPと結合してSAM(メチル)となり、DNA・タンパク質・脂質などへの反応に使われたのちに変換される。は以下の2つの経路のいずれかで代謝される(詳細はを参照)。

  • 硫黄転移経路(β合成酵素(CBS、ビタミンB6依存)がへ変換し、最終的にシステインへ分解する。
  • (ビタミンB12依存、葉酸由来のN5-メチルTHFをメチルとする)または依存の経路が、へ戻す。
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methionine'>メチオニン</span>"] --> B["SAM(メチル<span class='jp-term jp-term-diagram' title='donor'>供与体</span>)"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='homocysteine'>ホモシステイン</span>"]
    C --> D["①硫黄転移経路<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cystathionine'>シスタチオニン</span>β合成酵素(CBS、B6依存)"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cystathionine'>シスタチオニン</span> → システイン"]
    C --> F["②<span class='jp-term jp-term-diagram' title='remethylation pathway'>再メチル化経路</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='methionine synthase'>メチオニン合成酵素</span>(B12依存)など"]
    F --> A

この2方向の経路のどちらが障害されるかで、の動きが逆になる。 ①硫黄転移経路(出口)が塞がれると、上流にあるも押し戻されて高値になる。②を再生する経路)そのものが働かなくなると、低値〜正常にとどまる。いずれの経路が障害されてもは共通して蓄積するため、の値こそが両者を分ける手がかりになる1

基準値と単位

単位はµmol/L(またはmg/dL)。は成人より高めに出ることがあり、施設・測定法によってが異なる。日本のでは血中1.2 mg/dL(80µmol/L)以上を古典的として用いている(の目安は0.3〜0.6 mg/dL・20〜40µmol/L)1

高値の意味

分類 原因 機序の要点
遺伝性(硫黄転移経路の障害) (CBS欠損、 硫黄転移経路がほぼ完全に遮断され、とともにも蓄積する1
遺伝性(処理酵素の障害) 欠損症 からSAMへの変換が障害されが蓄積するが、多くは良性の経過をとる2
肝疾患 肝不全、I型 により代謝全体が低下し、チロシン・とともに高値になる3
その他 高タンパク食、の生理的な高値 一過性・非特異的な上昇

CBS欠損(古典的)は高値をきたす代表的な遺伝性疾患で、はこの高値を指標に設計されている1。MAT I/III欠損症も同じく高値をきたすが、の上昇は軽度にとどまる点でCBS欠損と区別できる2

低値の意味

分類 原因 機序の要点
遺伝性(の障害) MTHFR欠損症、代謝異常症(cblCなど) を再生するそのものが働かず、は低値〜正常にとどまる一方では上昇する1
栄養性 低タンパク食、吸収不良 としての供給不足

⚠️ の異常は、高値を指標とするでは検出できない。 は上昇していてもは低値〜正常にとどまるため、見かけ上「正常」に見えてしまう落とし穴になる1

測定上の注意

  • 非空腹時の採血(食事由来)により一過性に高値へ振れうるため、可能であれば空腹時に採血する。
  • の検体採取時期が早すぎると、CBS欠損があってもまだが十分に蓄積しておらず偽陰性になりうる。
  • があると原因によらず代謝全体が低下し、非特異的に高値へ傾く。原因検索の際は肝機能を必ず確認する。

経時変化とモニタリング

(CBS欠損)の治療モニタリングでは、を対で追跡し、低食・ビタミンB6の効果判定に用いる。MAT I/III欠損症では、が500〜600µmol/L以上に達した場合に低食の開始を検討する目安として使われる2

まとめ

  • はSAMを経てに変換され、硫黄転移経路(CBS、B6依存)と(B12依存など)の2方向で代謝される。
  • CBS欠損(古典的)は高値、の異常(MTHFR欠損・代謝異常)は低値をきたし、いずれもは高値になる。
  • この高値・低値の分岐が、高値の原因を鑑別するためにを測る臨床的な理由である。
  • 高値の他の原因には、MAT I/III欠損症(多くは良性)、肝不全、I型がある。
  • 高値を指標とするため、が低値にとどまるの異常は検出できない落とし穴がある。

出典

  1. 1.新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2025 ホモシスチン尿症(日本先天代謝異常学会・2025)古典型(I型、CBS欠損症)の新生児マススクリーニングは血中メチオニン高値(1.2 mg/dL・80µmol/L以上、基準値0.3〜0.6 mg/dL・20〜40µmol/L)を指標に行われること、II型(コバラミン代謝異常症cblC等)・III型(MTHFR欠損症)は再メチル化経路の異常でホモシステインは上昇するが血中メチオニンは低値〜正常のため、メチオニン高値を指標とする現行の新生児マススクリーニングでは検出できないことを確認した。閲覧 2026-08-11
  2. 2.Methionine Adenosyltransferase I/III Deficiency Detected by Newborn Screening(Genes (MDPI)(Hübner V, et al.)・2022)メチオニンアデノシルトランスフェラーゼ(MAT I/III)欠損症(MAT1A遺伝子異常)はメチオニンからSAMを産生する酵素の活性が部分的に低下した場合は多くが良性の経過をとる一方、活性がほぼ完全に失われると発達遅滞・反射亢進・ジストニアなど重度の神経症状を呈しうること、低メチオニン食の開始基準としてメチオニン500〜600µmol/L以上が目安とされることを確認した。閲覧 2026-08-11
  3. 3.Tyrosinemia Type I(GeneReviews(University of Washington, Seattle)・2025)血漿メチオニン高値は肝機能障害・メチオニン代謝異常・古典的ホモシスチン尿症のいずれかを示唆しうること、チロシン血症I型では肝細胞障害により血漿アミノ酸検査でチロシン・メチオニン・フェニルアラニンがいずれも高値になることを確認した。閲覧 2026-08-11