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Lab values · Published

血中カルニチン分画

Plasma carnitine fractions

別名
遊離カルニチン総カルニチン
臓器系
内分泌・代謝
科目
Pediatrics
トピック
小児科 2-30:低血糖の症状と治療
関連疾患
CPT1A欠損症CPT2欠損症原発性カルニチン欠損症

🧠 全体像:血中分画は、⭐ 「(C0)」「(遊離+アシル)」「/の比(比)」という3つの数字だけを見る検査である。がタンデム型で個々のの種を一斉プロファイリングして全体をスクリーニングするのに対し、本検査は遊離・の絶対量そのものが少なすぎる、または多すぎるという、より基本的な異常を捉える——主眼は(低値)と(高値)という正反対の異常を示す2疾患の診断である。⚠️ 同じ「」でも向きが逆に出る——は運搬体そのものが無いためにが枯渇するが、は抱合が起こらないためにが余る1。

何を測っているか

血中のは、と結合していない(C0)と、と結合した()に分かれる。両者を足したものがである。

用語 内容
(C0) と結合していないそのもの
() 脂肪酸由来のと結合した。個々のを分けずに合算した値として報告される
遊離+の合計
比 ÷の比。運搬体が余っているか枯渇しているかの目安になる

💡 との違い。 あちらは「C8」「C14:1」のようにごとに分けて測定し、どの酵素で詰まっているかをのパターンから読む。本検査はを分けず、遊離・という合算値そのものの多い少ないだけを見る——見ている次元が異なる2。

基準値と単位

日本のガイドラインの参考は、45〜91 µmol/L、6〜23 µmol/Lである314。

低値の意味:原発性・二次性カルニチン欠乏

  • ⭐ では、血清20 µmol/L以下となり、C0以外のも全般に低値を示す。 GeneReviewsは、遊離・アシル・いずれもが対照の10%未満まで著明に低下することが本症を強く示唆するとする23。
  • ⚠️ C0低値は入口にすぎない。 低値は、・、などに伴う、、、母体の症、を含む抗菌薬の長期内服、バルプロ酸内服症例の一部でも起こる3。

原発性と二次性を分ける:尿中遊離カルニチン排泄率

⭐ 血清だけでは原発性と二次性を区別できない。 血清と尿を同時期に採取し、次の式で計算する3。

尿中遊離カルニチン排泄率(%) = 尿中遊離カルニチン × 血清クレアチニン ÷(血清遊離カルニチン × 尿中クレアチニン)× 100
  • では2〜10%を超える(腎再吸収そのものが破綻しているため、低い血中濃度にもかかわらず尿へ漏れ続ける)3。
  • ⚠️ 保因者の一部は罹患者の値とオーバーラップする。
  • ⚠️⚠️ この検査は内服下やなどがある病態では評価できない。 治療を始める前に採取する3。

高値の意味:CPT1A欠損症という逆パターン

⭐ 分画が「高く」出る代表がである。 CPT1が欠ければをへ抱合する反応そのものが起こらないため、使われなかったが余り、逆には作られない5。

指標 での変化
(C0) ⭐ 高値
血清 70〜170 µmol/L(正常25〜69 µmol/L)に上昇5
(C16・C18) 低値
C0/(C16+C18)比 上昇。の指標51

💡 ごとの読み方はの守備範囲。 と・の対比(が上がるか下がるか、検体の優先順位が逆になる理由など)は、そちらのノートのにまとめてある。

エステル化比という補助指標

⭐ 単独より、/の比(比)を併用すると解釈しやすい。 日本のガイドラインは、濃度20 µmol/L未満かつこの比が0.4を超えることを明らかな異常の目安としている4。運搬体が枯渇するではこの比が変化しにくい一方、のように抱合そのものが起こらない病態では比が著しく低くなる。

⚠️ 測定・判読上の注意

  • ⚠️⭐ 検体の優先順位が疾患によって正反対である。 は血清を優先し、の再検を繰り返さない——は採血条件が悪い場合(常温放置・乾燥不十分)にが偽って高く出るためである3。一方はのほうが高値を明確に検出でき、血清では正常域〜軽度上昇にとどまることがある1。⚠️ どちらの検体で測ったかを確認せずに数値だけを比較しない。
  • 新生児のでは長鎖のが生理的に高いため、を疑う場合でも判断には注意し、必要に応じて複数回再検する1。
  • 薬剤性の低下がある。 を含む抗菌薬の長期内服、バルプロ酸内服はを下げうる3。
  • は、内服中やがある病態では解釈できない(上述)。

まとめ

  • 血中分画は、(C0)・・比という合算値の多寡を見る検査で、ごとに分けて見るとは着眼点が異なる。
  • ⭐ 主眼は正反対の2疾患——(20 µmol/L以下に低下)と(高値・70〜170 µmol/Lに上昇)。
  • 原発性と二次性の鑑別は(本症で2〜10%超)で行うが、内服下やでは評価できない。
  • ⚠️ 検体の優先順位が逆である。 は血清、はが明確に異常を示す。
  • 比(/)は補助指標で、20 µmol/L未満かつ0.4超が明らかな異常の目安とされる。

出典

  1. 1.新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2025 カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅠ(CPT1)欠損症(日本先天代謝異常学会・2025)PDF全文をテキスト抽出して確認した。CPT1欠損症では遊離カルニチンからアシルカルニチンの生成が障害されるため血中遊離カルニチンが増加しアシルカルニチンは長鎖アシルカルニチンを中心に低下すること、CPT1欠損症での遊離カルニチン高値がろ紙血でより明確に確認され血清遊離カルニチンは正常域〜軽度の上昇にとどまることがあること(他の脂肪酸代謝異常症とは検体の優先順位が逆であること)、新生児のろ紙血では長鎖のカルニチンが生理的に高いこと、参考基準値が遊離カルニチン45〜91 µmol/L・アシルカルニチン6〜23 µmol/Lであることを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Primary Carnitine Deficiency(GeneReviews (University of Washington, Seattle)・2024)血漿の遊離・アシル・総カルニチン濃度の著明な低下(対照の10%未満)が原発性カルニチン欠損症を強く示唆する生化学的な手がかりであることを確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2025 全身性カルニチン欠乏症(OCTN2異常症)(日本先天代謝異常学会・2025)PDF全文をテキスト抽出して確認した。血清カルニチン分画の参考基準値が遊離カルニチン45〜91 µmol/L・アシルカルニチン6〜23 µmol/Lであること、原発性カルニチン欠損症では血清遊離カルニチン低値(20 µmol/L以下)を認めC0以外のアシルカルニチンも全般に低値を示すこと、二次性カルニチン欠乏症との鑑別に尿中遊離カルニチン排泄率(尿中遊離カルニチン×血清クレアチニン÷(血清遊離カルニチン×尿中クレアチニン)×100)が有用で本症では2〜10%を超えること、保因者の一部は罹患者の値とオーバーラップすること、この検査はカルニチン内服下やFanconi症候群に代表される尿細管障害を有する病態では評価ができないこと、本症では血清が優先でろ紙血の再検を繰り返さないこと、ろ紙血は採血条件が悪い場合(常温放置・乾燥不十分)に遊離カルニチン値が高く測定される場合があること、遊離カルニチン低値がCPT2欠損症・CACT欠損症・有機酸代謝異常症などに伴う二次性カルニチン欠乏症・低栄養・Fanconi症候群・母体のカルニチン欠乏症・ピボキシル基を含む抗菌薬の長期内服・バルプロ酸内服症例の一部でもみられることを確認した閲覧 2026-09-05
  4. 4.新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2025 カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼⅡ(CPT2)欠損症(日本先天代謝異常学会・2025)PDF全文をテキスト抽出して確認した。遊離カルニチン濃度20 µmol/L未満かつアシルカルニチン/遊離カルニチン比(エステル化比)0.4超が明らかに異常とされること、参考基準値が遊離カルニチン45〜91 µmol/L・アシルカルニチン6〜23 µmol/Lであることを確認した閲覧 2026-09-05
  5. 5.Carnitine Palmitoyltransferase 1A Deficiency(GeneReviews (University of Washington, Seattle / NCBI Bookshelf)・2025)NCBI Bookshelfのライブページで確認した。CPT1A欠損症の生化学的特徴が「すべてのアシルカルニチン種の合成の顕著な低下と遊離カルニチン(C0)の増加」であること、血清総カルニチンが70〜170 µmol/L(正常25〜69 µmol/L)に上昇しC0:(C16+C18)比が上昇することを確認した閲覧 2026-09-05