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Bergバランススケール

Berg Balance Scale

臓器系
運動器神経
科目
Rehabilitation
トピック
リハビリテーション 02:リハビリテーションにおける機能評価:移動能力・筋力・標準化スケール

🧠 全体像:Bergバランススケール(BBS)は、座位からの・立位保持・前方リーチ・など14種類の動作課題を、臨床家がその場で見て0〜4点の5段階(合計0〜56点)で採点するなパフォーマンス評価である。同じバランス評価として並べて語られるABC scaleが「その動作を行える自信」を患者本人に自己申告させる尺度であるのに対し、BBSは検者が実際の動作を観察して採点する点が対照的であり、両者は転倒予測研究でしばしば組み合わせて使われる1

目的と適用場面

内容
目的 静的・準動的なバランス能力を14種類の動作課題でに採点し、機能レベルとを評価する
対象 地域在住高齢者、脳卒中など、バランス障害を伴う患者2
使う場面 の一部、リハビリテーション経過の追跡、施設入所・在宅支援の要否判断の材料
評価しないもの 歩行速度・そのもの(など別のスケールが担う)、バランスへの自信という側面(ABC scaleが担う)、

もとは地域在住高齢者113名(9か月間の追跡+1年間の転倒記録)、急性期脳卒中患者70名(3か月以上の追跡)、臨床的・機器的指標で評価した高齢者31名という3系列の研究でが検討され、バランス得点は地域在住高齢者における複数回転倒の発生を予測し、脳卒中患者では機能的・運動的な回復指標と強く相関した2

構成要素と配点

14項目それぞれを、検者が実際に動作をさせて観察し、該当する最も低い段階を採点する3

1. 座位から立位へ

4点 3点 2点 1点 0点
手を使わず、自力で安定できる 手を使って自力で立ち上がる 数回の試行の末、手を使って立ち上がる ・安定に軽度の介助を要する に中等度〜最大の介助を要する

2. 立位保持(支持なし)

4点 3点 2点 1点 0点
2分間安全に立位を保持できる 見守り下で2分間立位を保持できる 支持なしで30秒間立位を保持できる 支持なしで30秒間保持するのに数回の試行を要する 支持なしで30秒間立位を保持できない

3. 座位保持(背もたれなし、足底

4点 3点 2点 1点 0点
2分間安全・安定して座位を保持できる 見守り下で2分間座位を保持できる 30秒間座位を保持できる 10秒間座位を保持できる 支持なしで10秒間座位を保持できない

4. 立位から座位へ

4点 3点 2点 1点 0点
手をほとんど使わず安全に着座できる 手を使って着座の速度を制御する 下腿後面を椅子に当てて着座の速度を制御する 自力で着座できるが制御されない着座になる 着座に介助を要する

5.

4点 3点 2点 1点 0点
手を軽く使うだけで安全にできる 手を確実に使って安全にできる 口頭指示や見守りがあればできる 1名の介助者を要する 安全のため2名の介助または見守りを要する

6. 立位保持

4点 3点 2点 1点 0点
のまま10秒間安全に立位を保持できる 見守り下で10秒間保持できる 3秒間保持できる 3秒間を保持できないが、転倒せず安全を保てる 転倒しないよう介助を要する

7. 保持

4点 3点 2点 1点 0点
自力で両足をそろえ、1分間安全に保持できる 自力で両足をそろえ、見守り下で1分間保持できる 自力で両足をそろえられるが、30秒間保持できない 両足をそろえるのに介助を要するが、15秒間は保持できる 両足をそろえるのに介助を要し、15秒間も保持できない

8. 立位での前方リーチ(上肢を伸展したまま)

4点 3点 2点 1点 0点
自信を持って前方25 cm以上リーチできる 前方12 cmリーチできる 前方5 cmリーチできる リーチできるが見守りを要する リーチ中にバランスを崩す、または外的支持を要する

9. 立位から床の物を拾う(スリッパ)

4点 3点 2点 1点 0点
安全かつ容易にスリッパを拾える スリッパを拾えるが見守りを要する 拾えないが、スリッパの2〜5 cm手前まで到達し自力でバランスを保てる 拾えず、試行中に見守りを要する 試行できない、または転倒を防ぐための介助を要する

10. 立位での振り返り(左右肩越し)

4点 3点 2点 1点 0点
両側とも振り返ることができ、体重移動も良好 片側のみ良好に振り返れる。反対側は体重移動が少ない 体幹を横に向けるのみだがバランスは保てる 振り返りに見守りを要する 転倒を防ぐための介助を要する

11. 360度回転

4点 3点 2点 1点 0点
4秒以内に両方向へ安全に360度回転できる 4秒以内に安全に回転できるが片方向のみ 安全に360度回転できるが動作が遅い 近接した見守りや口頭指示を要する 回転中に介助を要する

12. 踏み台・へののステップ(左右の足がに4回ずつ、計8回)

4点 3点 2点 1点 0点
自力・安全に20秒以内で8回のステップを完了できる 自力で完了できるが20秒を超える 見守り下で4回のステップを介助なく完了できる 2回を超えるステップができるが、軽度の介助を要する 転倒を防ぐための介助を要する、または試行できない

13. 継ぎ足立位(タンデム立位)

4点 3点 2点 1点 0点
自力でつま先とかかとを接触させて置き、30秒間保持できる 自力で一方の足を前に出して置き、30秒間保持できる 自力で小さくステップして置き、30秒間保持できる 足を出すのに介助を要するが、15秒間は保持できる ステップ中または立位保持中にバランスを崩す

14.

4点 3点 2点 1点 0点
自力で下肢を挙上し、10秒を超えて保持できる 自力で下肢を挙上し、5〜10秒間保持できる 自力で下肢を挙上し、3秒以上保持できる 挙上を試みるが3秒間保持できない。ただし自力で立位は保てる 試行できない、または介助を要する

合計0〜56点。必要物品はものさし、肘掛け付きの椅子と肘掛けなしの椅子各1脚、踏み台または1つ、ストップウォッチ、15フィート(約4.6 m)の歩行スペースで、特別な機器は不要である3

解釈とカットオフ

得点帯 分類 意味
41〜56点 自立 補助具の有無を問わず自立した移動が可能な水準
21〜40点 介助歩行 移動に部分的な介助・補助具を要する水準
0〜20点 レベル 移動にまたはを要する水準

⚠️ 上記の得点帯区分は原著論文本文そのものでは確認できず、二次資料(University of Missouri Geriatric Toolkit、原典はRehab Measures Database)でのみ裏づけられた数値である3

転倒予測の観点では、転倒歴の有無で分けた地域在住高齢者44名を対象にした研究で、Bergバランススケール得点と自己申告の歴を組み合わせたロジスティックが転倒者・非転倒者の判別に感度91%・特異度82%を示した1。💡 この結果はBBSが自己申告の情報と組み合わせたときに強い判別力を持つことを示すが、個々の点数の内訳(例えば「45点未満」のような単一の閾値)は原著のには記載が無く未確認である。同様に、地域在住高齢者125名(転倒歴あり45名・なし80名)を対象にした別の研究では、反応時間・BBS合計点・ABC scale合計点を組み合わせたロジスティックが感度89%・特異度96%で転倒者・非転倒者を判別している4

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 単一のを断定しない。 転倒予測に関する研究は、BBS単独ではなく自己申告の歴や他の指標と組み合わせたモデルで高い感度・特異度を報告しており、BBSの得点だけを見て「何点未満だから転倒する/しない」と機械的に判定すべきではない1

⚠️ 検者間で得点の解釈にばらつきが生じうる項目(例:振り返りでの体重移動の程度、360度回転の速さ)が含まれるため、経過を追う際は同一検者による評価が望ましい。得点のわずかな変化はの範囲内であることがあり、によって)は地域在住高齢者で4.6〜6.3点、施設入所高齢者で8点、脳卒中患者で2.5〜6.9点と報告されている3

⚠️ 検討の対象は地域在住高齢者と急性期脳卒中患者が中心であり2、他の(前庭疾患、パーキンソン病など)への外挿は慎重に行う。

⚠️ 14項目はいずれも座位・立位での保持・・リーチ・回転といった準静的な課題であり、実際に歩く速さやは含まれない。歩行そのものの評価にはなど別のスケールを併用する。

⚠️ (バランスへの自信)は測定できない。動作は行えるのに自信を失っている患者、あるいは逆に動作能力が低いのに自信過剰な患者を見分けるには、ABC scaleなど尺度と併用し、機能と自信の乖離を評価する。施設入所高齢者向けには、動作時の慎重さを問うAFC scaleが別に用意されている。

まとめ

  • BBSは座位からの・立位保持・前方リーチ・など14項目の動作課題を、検者がその場で0〜4点の5段階(合計0〜56点)で採点するなパフォーマンス評価である。
  • 得点帯の目安として41〜56点=自立、21〜40点=介助歩行、0〜20点=レベルという区分があるが、この区分は二次資料でのみ裏づけられている。
  • 転倒予測には、BBS単独ではなく自己申告の歴やABC scaleなど他の指標と組み合わせたモデルが用いられ、単一のでハイリスク/ローリスクを断定すべきではない。
  • 検討の中心は地域在住高齢者と急性期脳卒中患者であり、他のへの外挿は慎重に行う。
  • 歩行速度・そのものは評価しないため、など別のスケールと組み合わせて使う。
  • な動作能力を測る尺度であり、な自信を測るABC scaleとは評価する対象が異なる。

出典

  1. 1.Measuring balance in the elderly: validation of an instrument(Berg KO, Wood-Dauphinee SL, Williams JI, Maki B (Canadian Journal of Public Health)・1992)抄録で、Balance Scale(Bergバランススケール)の妥当性検討として、地域在住高齢者113名を9か月間追跡し1年間の転倒を記録した系列、急性期脳卒中患者70名を3か月以上追跡した系列、臨床的・機器的指標で評価した高齢者31名の系列という3つの研究を実施したこと、バランス得点が地域在住高齢者における複数回転倒の発生を予測したこと、脳卒中患者では機能的・運動的な回復指標と強い相関を示したことを確認した(全文は購読制で未取得)閲覧 2026-08-10
  2. 2.Berg Balance Scale(University of Missouri (Geriatric Toolkit) — Rehab Measures Database(Shirley Ryan AbilityLab)からの転載)Bergバランススケール14項目の実施用紙を項目ごとに逐語的に再掲した資料。各項目の0〜4点の採点基準文言、必要物品(メジャー・肘掛け付きと無しの椅子各1脚・踏み台・ストップウォッチ・15フィートの歩行スペース)、合計得点0〜56点、得点帯の解釈区分(41〜56点=自立、21〜40点=介助歩行、0〜20点=車椅子レベル)、転倒リスクの目安(45点未満で転倒リスク増加、40点未満でほぼ全例が転倒ハイリスクとされる)、対象集団別の最小可検変化量(MDC;地域在住高齢者で得点帯により4.6〜6.3点、施設入所高齢者で8点、脳卒中患者で2.5〜6.9点)を確認した。得点帯の解釈区分・転倒リスクの目安・MDCの数値は原著論文本文そのものでは確認できず、この二次資料でのみ裏づけた数値である閲覧 2026-08-10
  3. 3.Predicting the probability for falls in community-dwelling older adults(Shumway-Cook A, Baldwin M, Polissar NL, Gruber W (Physical Therapy)・1997)抄録で、転倒歴の有無で分けた地域在住高齢者44名を対象に、Bergバランススケール得点と自己申告のふらつき歴を組み合わせたロジスティック回帰モデルが転倒者・非転倒者の判別に感度91%・特異度82%を示したことを確認した(全文は購読制で未取得。個々のカットオフ点数の内訳は抄録に記載が無く未確認)閲覧 2026-08-10
  4. 4.Predicting falls within the elderly community: comparison of postural sway, reaction time, the Berg balance scale and the Activities-specific Balance Confidence (ABC) scale for comparing fallers and non-fallers(Lajoie Y, Gallagher SP (Archives of Gerontology and Geriatrics 2004;38(1):11-26)・2004)抄録で、地域在住高齢者125名(転倒歴あり45名・なし80名)を対象に、非転倒者は転倒者より反応時間が速くBergバランススケール・ABCスコアがいずれも高かったこと、反応時間・Bergバランススケール合計点・ABC合計点を組み合わせたロジスティック回帰モデルが感度89%・特異度96%で転倒者・非転倒者を判別したことを確認した(全文は購読制で未取得)閲覧 2026-08-10