スコア体系ノート一覧へ

Scores · Published

CDR-SB(臨床認知症尺度Sum of Boxes)

CDR-SB

別名
Clinical Dementia Rating-Sum of BoxesCDR-SOB
臓器系
神経精神
科目
Neurology
トピック
神経内科 G1-26:主要神経認知障害(認知症)の診断神経内科 G1-39:アルツハイマー病
適用疾患
アルツハイマー病

🧠 全体像:CDR-SB(Clinical Dementia Rating-Sum of Boxes)は、記憶を含む生活機能の6領域を面接で採点し合計する認知症の重症度尺度である。MMSE・MoCAが本人への課題(計算・など)でそのものを直接測るのに対し、CDR-SBは本人と家族へのから生活のなかでの機能低下を数値化する。0〜18点の連続尺度であるため、などので進行抑制効果を検出するとしてよく使われる。

目的と適用場面

内容
目的 認知症()の重症度を6領域にわたって数値化し、・経過観察・治療効果判定に用いる
対象 をはじめとする認知症・が疑われる、または診断された患者
使う場面 初診時の重症度評価、経過観察での機能低下の追跡、における
評価しないもの 単発の検査の代わり(・のような課題遂行能力そのものではなく、生活機能への影響を評価する)

構成要素と配点

本人および信頼できる(家族など)へのに基づき、6領域それぞれを機能障害の程度で採点する1。

領域 採点段階
記憶 0(障害なし)/0.5/1/2/3(各段階刻みの5段階)
0/0.5/1/2/3
判断力と 0/0.5/1/2/3
地域社会活動 0/0.5/1/2/3
家庭生活と趣味 0/0.5/1/2/3
介護状況 0/1/2/3(0.5を含まない4段階のみ)

⭐ 介護状況の1領域だけ0.5点の刻みが無い4段階評価である。 残り5領域は0.5点を含む5段階のため、6領域を単純合計するとCDR-SBの合計は0〜18点の範囲を取る2。

💡 CDR-SBは6領域の単純合計だが、全般CDRは単純合計ではない。 全般CDRは「記憶」領域の評価を軸に、他の5領域の評価パターンを踏まえたアルゴリズムで0・0.5・1・2・3のいずれか1つの病期に統合する。CDR-SBは全般CDRより段階が細かく、経過中の微小な変化を検出しやすいという利点がある1。

解釈とカットオフ

CDR-SB合計点 対応する全般CDR 目安
0.5〜4.0 0.5 認知症の疑い〜非常に軽度の認知症
4.5〜9.0 1 軽度の認知症
9.5〜15.5 2 中等度の認知症
16.0〜18.0 3 高度の認知症

Texas Alzheimer’s Research Consortiumの1,577例を用いた検証では、この病期区分と全般CDR判定のはκ 0.86〜0.94(全体κ 0.90)、93.0%が新区分に合致した2。

⭐ ではCDR-SBの群間差そのもの(点数の絶対値ではなく変化量)がになることが多い。 例えばのEMERGE試験では高用量群のCDR-SB悪化が比-0.39(P=.012)で有意に抑制された一方、同じ薬・同じ用量設計のENGAGE試験では0.03(P=.833)と非有意だった。同一の薬剤・尺度でも試験間で結果が割れうる点は、の項を参照3。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ (家族など)の証言に依存するため、独居で信頼できるが得られない患者では評価しにくい。 の観察の質や本人との接触頻度によって評価がばらつきうる。

⚠️ そのものの詳細なプロファイル(記憶の種類、注意、機能など)は分からない。 の内訳を調べたい場合は・・を併用する。

⚠️ CDR-SBは連続尺度として統計的検出力に優れる一方、1点未満の小さな変化が臨床的に意味のある変化かどうかは文脈次第である。の群間差が有意でも、個々の患者にとっての体感的な変化とは限らない。

まとめ

  • CDR-SBは記憶・・判断力と・地域社会活動・家庭生活と趣味・介護状況の6領域を面接で採点し合計する、0〜18点の認知症である。
  • 5領域は0.5点刻みの5段階、介護状況のみ4段階で、6領域の単純合計がCDR-SBになる(全般CDRは単純合計ではなくアルゴリズムで統合する点が異なる)。
  • 合計点の目安は0.5〜4.0が全般CDR 0.5相当、4.5〜9.0が1相当、9.5〜15.5が2相当、16.0〜18.0が3相当である。
  • 連続尺度としての検出力の高さから、などのでに採用されることが多いが、の証言に依存する点と、の内訳までは分からない点が限界である。

出典

  1. 1.The Clinical Dementia Rating (CDR): current version and scoring rules(Neurology・1993)CDR(臨床認知症尺度)が、本人と信頼できる情報提供者(家族など)への半構造化面接に基づき、記憶・見当識・判断力と問題解決・地域社会活動・家庭生活と趣味・介護状況の6領域それぞれを機能障害の程度で評価する尺度として考案されたこと、各領域の評価が臨床医の判定(clinical judgment)に基づき記述的な指標(descriptive anchor)で導かれることを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Staging dementia using Clinical Dementia Rating Scale Sum of Boxes scores: a Texas Alzheimer's research consortium study(Archives of Neurology・2008)Texas Alzheimer's Research Consortiumの1,577例(対照110例・軽度認知障害202例・アルツハイマー病1,265例)を導出群788例・検証群789例に分けた研究で、記憶・見当識・判断力と問題解決・地域社会活動・家庭生活と趣味の5領域が0・0.5・1・2・3の5段階、介護状況の1領域のみ0.5を含まない0・1・2・3の4段階で採点され、6領域の合計(Sum of Boxes)が0〜18点となること、CDR-SOB合計点の最適範囲が全般CDR 0.5相当で0.5〜4.0点、全般CDR 1相当で4.5〜9.0点、全般CDR 2相当で9.5〜15.5点、全般CDR 3相当で16.0〜18.0点であったこと、この新しい病期区分と全般CDR判定の一致率がκ 0.86〜0.94(全体κ 0.90)、対象者の93.0%が新区分に合致したことを確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.Two Randomized Phase 3 Studies of Aducanumab in Early Alzheimer's Disease(The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease・2022)EMERGE試験(高用量群)の主要評価項目CDR-SBがプラセボ比-0.39(95%CI -0.69〜-0.09、P=.012、22%の悪化抑制)で有意だった一方、ENGAGE試験(高用量群)は0.03(95%CI -0.26〜0.33、P=.833、2%の悪化)で非有意だったことを確認した閲覧 2026-08-11