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Charlson併存疾患指数

Charlson Comorbidity Index

別名
Charlson indexCCI
臓器系
全身
科目
Intensive Therapy and AnesthesiologySurgery
トピック
麻酔科学 B-14:周術期管理とリスク評価外科学 G-08:術後管理と術後合併症

🧠 全体像:(CCI)は、患者が抱えるなの種類と重症度を数値化し、長期死亡リスクや周術期リスクをに評価するための指標である。心筋梗塞、糖尿病、、悪性腫瘍など19項目の基礎疾患に、死亡リスクの大きさに応じた1点から6点の重み付け(配点)を割り振り、その合計点で患者のを総合判定する。略称が同じ「(CCI)」は術後に生じた合併症の重なりを事後評価する指標であり、術前の基礎疾患を評価する本指標とは目的もタイミングも全く異なる。

目的と適用場面

項目 内容
目的 複数の慢性疾患を抱える患者の長期、1年〜10年死亡リスク、および周術期の・合併症発生リスクを推算する1
対象 手術やを検討している成人患者、臨床研究においての偏りを調整すべき
使う場面 術前リスク評価、の適応判定(ガイドライン上の評価)、がん患者の選択、疫学・臨床研究での調整
評価しないもの 急性期の臓器不全の重症度(などの役割)、術後に発生した個々の合併症(やの役割)

やにおいて、単一の疾患だけでなく全身の併存状況が予後を大きく左右する。東京ガイドライン2018(TG18)の治療フローチャートでは、早期のを安全に施行できるかの判断基準として、と並び本指標が採用されている2。

構成要素と配点

原著(1987年)では、各疾患の1年死亡に基づいて以下の配点が定められている1。

配点 該当する
1点 心筋梗塞、、、(を含む)、認知症、(COPDやなど)、、消化性潰瘍疾患、軽度肝疾患(肝硬変なし、など)、糖尿病(末端臓器障害なし)
2点 、中等度〜重度腎疾患(3mg/dL超やなど)、糖尿病に伴う末端臓器障害(・腎症・神経障害)、固形悪性腫瘍(転移なし、初発後5年以内)、白血病、リンパ腫
3点 中等度〜重度肝疾患(腹水・黄疸・破裂を伴うなど)
6点 転移性固形悪性腫瘍、(AIDS)
flowchart TD
    A["患者の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='comorbidity'>併存疾患</span>の確認"] --> B{"同一系統の疾患が重複するか?"}
    B -- "はい" --> C["重症度の高い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='upper'>上位</span>の配点のみを採用<br>(例: 軽度肝疾患1点と重度肝疾患3点なら3点のみ)"]
    B -- "いいえ" --> D["該当する全疾患の配点を加算"]
    C --> E["疾患スコアの小計"]
    D --> E
    E --> F{"年齢調整(aCCI)を行うか?"}
    F -- "はい" --> G["50歳以降、10歳ごとに1点を加算<br>(50代: +1、60代: +2、70代: +3、80歳以上: +4)"]
    F -- "いいえ" --> H["疾患配点のみの合計(CCI)"]
    G --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='age-adjusted Charlson Comorbidity Index'>年齢調整Charlson指数</span>(aCCI)の確定"]
    H --> J["Charlson指数(CCI)の確定"]

採点上の注意ルール

  1. 排他ルールの適用:同一系統の疾患において、軽症と重症の両方に該当する場合は、の配点のみをカウントし、重複して加算しない。
    • 糖尿病(1点)と臓器障害を伴う糖尿病(2点)がある場合 → 2点のみ
    • 軽度肝疾患(1点)と中等度〜重度肝疾患(3点)がある場合 → 3点のみ
    • 固形腫瘍(2点)と転移性固形腫瘍(6点)がある場合 → 6点のみ
  2. 年齢調整(aCCI):1994年の研究により、50歳以上の患者では10歳ごとに1点を加算する年齢調整モデルが確立された3。高齢者における能が大幅に向上するため、やがん決定の現場では年齢調整版が広く併用される。

解釈とカットオフ

原著の縦断的コホートにおいて、合計スコアの上昇に伴い10年死亡率は段階的に跳ね上がる1。

合計スコア(CCI) 推定10年死亡率 臨床的位置づけ
0点 約8% 基礎疾患による死亡リスクは極めて低い(低リスク群)
1〜2点 約15〜26% 軽度〜中等度のリスク蓄積
3〜4点 約30〜52% 高度なリスク蓄積。周術期合併症の警戒が必要
5点以上 約85%以上 著しい死亡リスク。の適応を慎重に吟味する

臨床現場における判断基準

  • の適応(TG18)2:
    • Grade I(軽症)およびGrade II(中等症):CCI ≤5 かつ ASA-PS ≤2 を満たせば、早期のが強く推奨される。CCI >5 の場合はの悪化リスクが高いため、慎重な全身管理や初期の内科的治療・が優先されることがある。
    • Grade III(重症):原則としてが先行するが、臓器障害が可逆的で CCI ≤3 かつ ASA-PS ≤2 を満たし、経験豊富な外科チームが存在する場合に限りが選択肢となる。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 急性期の・臓器不全は評価できない:本指標は「慢性疾患の」を測るものであり、、感染性ショック、などの急性変化を捉える指標ではない。ICU入室時や敗血症のには、やAPACHE IIなど急性病態専用のスコアリングシステムを用いる。

⚠️ 開発当時の治療成績と現代の乖離:原著が発表された1987年当時、AIDSは致死的な病態であり6点の高配点が与えられた。しかし、抗HIV療法の長足の進歩により予後は劇的に改善しており、現代の医療実態と当時の重み付けには一部不一致が存在する。同様に、分子標的薬やの登場により、転移性悪性腫瘍の予後も開発当時とは異なっている。

⚠️ データベース用改訂版(Deyo版・Quan版)との混同:レセプトやDPCデータなどの電子的ICDコードに合わせて、Deyoら(1992年)やQuanら(2011年)がアルゴリズムを再定義している。原著と電子データ解析版では採用されている疾患定義や重み付けがわずかに異なる場合があるため、研究論文や施設基準を読む際はどの版に準拠しているかを確認する。

⚠️ 手術のを単独で決めるものではない:CCIが高得点であっても、手術を行わないことによる不利益(や腹膜炎の進行など)が上回る場合は介入が必要となる。スコアはあくまで多職種カンファレンスや患者・家族との意思決定共有における指標の1つとして活用する。

まとめ

  • (CCI)は、19の慢性疾患に1〜6点の配点を与え、患者の長期死亡リスクおよびを評価する代表的なスコアである。
  • 50歳以上で10歳ごとに1点を加算する年齢調整版(aCCI)を用いることで、高齢者における能がさらに高まる。
  • の国際ガイドライン(TG18)では、を安全に実施できる全身状態の指標(CCI ≤5 または ≤3)として位置づけられている。
  • (事後指標)や急性期臓器障害スコア(SOFA等)との違いを理解し、慢性の評価ツールとして適切に運用する。

出典

  1. 1.A new method of classifying prognostic comorbidity in longitudinal studies: development and validation(Journal of Chronic Diseases(Charlson ME, Pompei P, Ales KL, MacKenzie CR)・1987)併存疾患が縦断研究における死亡率リスクに与える影響を分類・評価するため、疾患の数と重症度を考慮した加重併存疾患指数(CCI)を開発・検証した。ニューヨーク病院の内科病棟に入院した604例の患者コホートで、各併存疾患の1年死亡相対リスクに基づき1・2・3・6点の重み付けを設定した。続いて乳癌患者683例のコホートで検証し、点数の上昇に伴い10年死亡率が段階的に増加することを実証した。閲覧 2026-10-29
  2. 2.Tokyo Guidelines 2018: flowchart for the management of acute cholecystitis(Tokyo Guidelines 2018(Journal of Hepato-Biliary-Pancreatic Sciences)・2018)TG18の急性胆嚢炎フローチャートにおいて、早期腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応判断にCharlson併存疾患指数(CCI)とASA身体状態分類(ASA-PS)が採用されている。Grade I(軽症)およびGrade II(中等症)ではCCI 5以下かつASA-PS 2以下が早期手術の推奨基準であり、Grade III(重症)でも可逆的な臓器障害かつCCI 3以下・ASA-PS 2以下を満たし高度医療機関で経験豊富な術者が行う場合に限り早期手術が考慮される。閲覧 2026-10-29
  3. 3.Validation of a combined comorbidity index(Journal of Clinical Epidemiology(Charlson M, Szatrowski TP, Peterson J, Gold J)・1994)周術期合併症の危険因子を前向きに追跡した226例の患者コホートで、年齢と併存疾患を組み合わせた複合指数(年齢調整Charlson指数、aCCI)を評価した。50歳以降、10歳ごとに1点をCCIに加算する方式(50〜59歳で1点、60〜69歳で2点、70〜79歳で3点、80歳以上で4点)により、長期死亡リスクの予測能が有意に向上することを示した。閲覧 2026-10-29