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CRPS重症度スコア

CRPS severity score

別名
複合性局所疼痛症候群重症度スコア
臓器系
神経運動器
科目
Traumatology and OrthopedicsMedical Rehabilitation
トピック
外傷学 19:橈骨遠位端骨折の原則と治療リハビリテーション 06:整形外科疾患・外傷のリハビリテーション:変形性関節症・多発外傷・人工股関節
構成:症状
浮腫発汗振戦
適用疾患
複合性局所疼痛症候群

🧠 全体像:CRPSの(Budapest基準)は「基準を満たすか満たさないか」の二値判定であり、経過中の微妙な悪化・改善を捉えられない。CRPS重症度スコアは、自己申告の症状8項目・診察で確認する徴候8項目の計16項目を有無だけで加点し、0〜16点の連続指標として重症度を数値化するである。二値のを置き換えるものではなく、それを補完して経過観察・研究の指標に使う。

目的と適用場面

内容
目的 CRPSの重症度を連続的な点数として数値化し、経過観察・治療効果判定・研究の指標に用いる
対象 診断済みのCRPS患者(Budapest基準など二値のを満たす患者)
使う場面 治療前後の重症度変化の追跡、臨床研究での効果判定(連続のほうが二値の診断より統計的検出力が高い)
評価しないもの 診断そのもの(診断はBudapest基準など別の二値基準で行う)

構成要素と配点

自己申告の症状8項目と、診察で確認する徴候8項目の計16項目を、それぞれ有無の二値(存在1点・非存在0点)で採点する1。

⭐ 2010年の原著は17項目・0〜17点で報告されたが、2017年の多施設国際検証研究でわずかに調整され、現在使われているのは16項目・0〜16点の版である。 以下の項目立てはこの2017年版に基づく1。

症状8項目と徴候8項目は、同じ形で1対1に対応しているわけではない。 徴候側はBudapest基準の4カテゴリー(感覚・・発汗と浮腫・運動と栄養)を均等に2項目ずつ(計8項目)へ分解したものだが、症状側は「誘因に不釣り合いな持続する疼痛」という4カテゴリーの外にある1項目に、感覚カテゴリーを1項目(/をまとめての有無で1項目とする)にしたうえでの残り7項目を加えた構成になっている。

症状(自己申告、8項目)

項目 内容
疼痛 誘因に不釣り合いな持続する疼痛(4カテゴリーに属さない独立項目)
感覚 /の(1項目にまとめる)
(温度) との温度差の
(皮膚色) 皮膚色の左右差の
発汗・浮腫(発汗) 発汗の左右差の
発汗・浮腫(浮腫) 浮腫の
運動・栄養() 皮膚・爪・毛髪などのの
運動・栄養(運動異常) 振戦・脱力などの運動異常の

徴候(診察所見、8項目)

項目 内容
感覚() (への反応)
感覚() (触診で誘発)
(温度) 触診で確認する温度左右差
(皮膚色) で確認する皮膚色左右差
発汗・浮腫(発汗) 発汗左右差の診察所見
発汗・浮腫(浮腫) 左右差のある浮腫の診察所見
運動・栄養() の診察所見
運動・栄養(運動異常) 運動異常の診察所見

合計は0点(症状・徴候ともに無し)から16点(16項目すべてが陽性)となる。

💡 「持続する不釣り合いな疼痛」には対応する徴候項目が存在しない。 一方で徴候側は感覚カテゴリーだけとの2項目に分かれており、症状側の「感覚1項目」より細かい。症状8項目・徴候8項目という同じ数字の裏に、Budapest基準4カテゴリーへの割り振り方が症状側と徴候側で異なるという非対称な構造がある。

解釈とカットオフ

CSS 目安
点数が高いほど 症状・徴候が多くのカテゴリーで陽性であり重症度が高い
4.9点以上の変化 95%の確信度で臨床的に意味のある真の重症度変化とみなせる1

CRPS群と非CRPS群の判別は統計的に有意(P<.001)であり、二値の(基準・改訂基準案)との関連も強い(Eta=0.69〜0.88)2。多施設国際検証では、新規治療を開始した群は治療内容を変更しなかった群よりCSSの変化量が有意に大きく、疼痛・疲労・機能・全般的健康感の改善ともよく相関した1。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 診断のための基準ではない。 CRPS重症度スコアは診断済みの患者の重症度を連続的に追跡するための指標であり、Budapest基準に代わって診断に用いるものではない。

⚠️ の重症度(軽症・中等症・重症の点数域)は確立していない。 現時点では「4.9点以上の変化が意味のある変化」という変化量の基準はあるが、絶対値としての重症度区分は定まっていない。

⚠️ 症状項目は自己申告、徴候項目は診察者の判定に依存するため、評価者間・評価時点間でのばらつきに注意する。

まとめ

  • CRPS重症度スコア(CSS)は、症状8項目・徴候8項目の計16項目を有無の二値で採点する0〜16点の連続指標である(2010年原著は17項目・0〜17点で、2017年の検証研究で現行の16項目・0〜16点版に調整された)。
  • 徴候8項目はBudapest基準の4カテゴリー(感覚・・発汗と浮腫・運動と栄養)を均等に2項目ずつへ分解した構造だが、症状8項目はカテゴリー外の「持続する不釣り合いな疼痛」1項目+カテゴリー由来の7項目という非対称な構造で、症状と徴候は1対1に対応しない。二値のを置き換えるのではなく補完する。
  • CRPS群と非CRPS群を有意に判別し、二値のとも強く関連する。多施設検証では4.9点以上の変化が臨床的に意味のある変化とみなせる。
  • 診断のための基準ではなく、の重症度も確立していないため、経過観察・研究の指標としての役割にとどめる。

出典

  1. 1.A prospective, multisite, international validation of the Complex Regional Pain Syndrome Severity Score(Pain・2017)CRPS患者156例を対象とした多施設国際前向き研究で、2010年原著のCSS(17項目・0〜17点)を一部修正し、自己申告の症状8項目(持続する不釣り合いな疼痛、アロディニア/痛覚過敏、温度左右差、皮膚色左右差、発汗左右差、浮腫、栄養性変化、運動異常)と診察で確認する徴候8項目(痛覚過敏、アロディニア、温度左右差、皮膚色左右差、発汗左右差、浮腫、栄養性変化、運動異常)の計16項目・0〜16点のCSSとしてあらためて妥当性を検証したこと、新規治療を開始した群は治療内容を変更しなかった群に比べCSSの変化量が有意に大きく級内相関も高かったこと、CSSが4.9点以上変化すれば95%の確信度で真の重症度変化とみなせること、CSSの変化が疼痛・疲労・社会的機能・全般的な健康感の改善と適切に相関したことを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Development of a severity score for CRPS(Pain・2010)CRPS患者114例と非CRPS神経障害性疼痛患者41例を対象とした心理測定・医学的評価により、17項目の臨床的な徴候・症状の有無に基づくCRPS重症度スコア(CSS、0〜17点)の原案を導出したこと、CSSがCRPS群と非CRPS群を有意に判別し(P<.001)、IASP基準(Eta=0.69)・改訂基準案(Eta=0.77〜0.88)という二値の診断基準と強く関連したことを確認した閲覧 2026-09-05