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Scores · Published

Krenningスコア

Krenning score

臓器系
内分泌・代謝腫瘍
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 E-07:神経内分泌腫瘍内科学 S-66:神経内分泌腫瘍

🧠 全体像は、)で得られた腫瘍への集積強度を、肝臓・脾臓という生理的に集積する臓器を「ものさし」にして0〜4のグレードへ視覚的に層別化する評価法である。CTのように腫瘍の形態を測るのではなく、「この腫瘍がどれだけ)を発現しているか」を格付けする。この一点のグレードがによる)を受けられるかどうかというの判断に直結するため、単なる所見の記載を超えた「治療の入り口を決める点数」として扱われる。

目的と適用場面

内容
目的 SSTR画像上の腫瘍集積強度を、背景臓器(肝臓・脾臓)を基準に5段階へ視覚的にグレーディングする
対象 高分化型など、SSTR画像で病変が検出された患者
使う場面 後に適応を判断する場面、複数病変の中での標的になりうる病変を選ぶ場面
評価しないもの 腫瘍の大きさ・数・分布などの解剖学的な広がり(これは画像診断の別の記載事項)

もとは)の時代に、肝臓・脾臓という常に強く集積する臓器と見比べる簡便な視覚評価法として使われ始めた。撮像機器がSPECTからへ世代交代した後も、同じ0〜4グレードの枠組みがそのまま踏襲されている1

構成要素と配点

グレード 判定基準
0 集積なし
1 きわめて弱い集積
2 集積が肝臓の以下
3 集積が肝臓のを上回る
4 集積が脾臓のを上回る

は他の多くのスコアと異なり、複数項目を加算するのではなく単一の軸(集積強度)だけを判定する1

⭐ 判定は病変ごとに行うが、患者を代表する値としては最も集積が強い病変(H-lesion)のグレードを患者全体のスコアとして採用するのが一般的な運用である1

💡 「同じ患者でも撮像法が変われば判定が変わりうる」点はこのスコアの弱点であると同時に注意点でもある。SSTR陽性(2〜4)と判定される割合は、平面画像23%・SPECT38%・68Ga- PET72%と撮像法によって大きく異なる1。これはでも述べたPET世代への置き換えが進む理由の一つでもある——同じ腫瘍でもPETの方が高いグレードを付けやすく、より多くの患者を適応と判定できる。

解釈とカットオフ

意味 使われる場面
グレード2以上(肝臓と同程度以上) 適応の下限として広く使われる基準 NETTER-1試験の組み入れ基準(の集積が正常肝臓集積以上)2
グレード3以上(肝臓を上回る) より厳格な基準。高い治療反応が期待される NETTER-2試験(G2〜G3の進行GEP-NETが対象)の組み入れ基準(の集積が正常肝臓集積を上回る)3
グレード0〜1 SSTR発現が乏しく、の効果が見込みにくい など代替検査を検討する

⭐ グレード2が「を検討できる下限」、グレード3以上が「より確実な適応」という二段構えで理解するとよい。同じ「適応判断に使う」スコアでも、対象とする集団や求める治療反応の大きさによって採用するが変わる——NETTER-2はより悪性度の高いG2〜G3腫瘍を対象とするため、NETTER-1よりも厳しい「肝臓を上回る」基準を採用している3

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 撮像法(プラナー・SPECT・PET)によって同じ病変でもグレードが変わりうる。 検出感度がPETの方が高いため、同じ腫瘍でもPETの方が高いグレードを付けやすい1。経時比較や複数施設間の比較では、同じ撮像法・プロトコルで揃えないと判定が食い違う。

⚠️ 111In-ペンテトレオチド時代のを、2cm未満のにそのまま外挿すべきではない。 は平面画像・SPECTでは陰性でもPETでは陽性になりやすく、PETのみで陽性となった患者にがどれだけ効くかは別に検証が必要というのが原著者の立場である1

⚠️ 背景臓器(肝臓・脾臓)そのものの集積が変化する場面では、「ものさし」側が動く。 投与例では腫瘍への集積自体は有意に低下しないが、比較対象である肝臓・脾臓のが下がる4。同じ腫瘍でも投与のタイミングによって判定基準となる背景臓器の状態が変わりうるため、直近の投与歴を確認せずに複数回のグレードを単純比較しない。

⚠️ 低分化型()神経内分泌癌にはそもそも使えない。 SSTR発現自体が乏しく集積しないため、で低グレードと判定されても「が効かない」ではなく「そもそも評価の前提が成立しない」場面であり、など別の検査で評価する。

まとめ

  • は、SSTR画像上の腫瘍集積強度を肝臓・脾臓を基準に0〜4の5段階で視覚評価する単一軸のスコアであり、複数項目を加算する形式ではない。
  • 判定は病変ごとに行い、患者を代表する値としては最も集積が強い病変(H-lesion)のグレードを採用するのが一般的である。
  • グレード2以上(NETTER-1基準)またはグレード3以上(NETTER-2基準)が適応の目安となるが、によって採用するが異なる。
  • 撮像法(プラナー・SPECT・PET)によって同じ病変でもグレードが変わりうるため、経時比較・施設間比較では撮像法を揃える必要がある。
  • 投与は背景臓器の集積を下げ、判定基準そのものを動かしうる。
  • ではSSTR発現が乏しく、そもそもこのスコアの評価対象にならない。

出典

  1. 1.111In-Pentetreotide Scintigraphy Versus 68Ga-DOTATATE PET: Impact on Krenning Scores and Effect of Tumor Burden(Journal of Nuclear Medicine(Hope TA, Calais J, Zhang L, Dieckmann W, Millo C)・2019)Krenningスコアはグレード0(集積なし)・1(きわめて弱い集積)・2(肝臓の生理的集積以下)・3(肝臓の生理的集積を上回る)・4(脾臓の生理的集積を上回る)の5段階で、患者内で最も集積が強い病変(H-lesion)の所見を代表値として1つのスコアに集約すること、SSTR陽性(Krenningスコア2〜4)の検出率が撮像法によって平面画像23%・SPECT38%・68Ga-DOTATATE PET72%と大きく異なること、2cm未満の小病変ではNETTER-1試験の適格基準をそのまま外挿すべきではないと著者らが注意喚起していることを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.A Multicentre, Stratified, Open, Randomized, Comparator-controlled, Parallel-group Phase III Study Comparing Treatment With 177Lu-DOTA0-Tyr3-Octreotate to Octreotide LAR in Patients With Inoperable, Progressive, Somatostatin Receptor Positive Midgut Carcinoid Tumours(NETTER-1、NCT01578239)(ClinicalTrials.gov(スポンサー:Advanced Accelerator Applications)・2012)NETTER-1試験(177Lu-DOTATATEの第III相ランダム化比較試験)の組み入れ基準は、標的病変ごとの腫瘍集積がプラナー画像上の正常肝臓集積以上であること(Krenningスコアでグレード2以上に相当)と定められていたことを確認した。閲覧 2026-08-10
  3. 3.A Phase III Multi-center, Randomized, Open-label Study to Evaluate the Efficacy and Safety of Lutathera in Patients With Grade 2 and Grade 3 Advanced GEP-NET(NETTER-2、NCT03972488)(ClinicalTrials.gov(スポンサー:Advanced Accelerator Applications)・2020)NETTER-2試験(高悪性度G2〜G3の進行GEP-NETを対象とした177Lu-DOTATATEの第III相試験)の組み入れ基準は、標的病変の腫瘍集積が正常肝臓集積を上回ること(Krenningスコアでグレード3以上に相当)であり、NETTER-1試験の「肝臓以上」より厳しい基準を採用していたことを確認した。閲覧 2026-08-10
  4. 4.Normal Variants, Pitfalls and Artifacts in Ga-68 DOTATATE PET/CT Imaging(Frontiers in Nuclear Medicine(Malan N, Vangu MD)・2022)長時間作用型オクトレオチド投与例では腫瘍への集積そのものは有意に低下しないが肝・脾・甲状腺など背景臓器の生理的集積が下がりコントラストが改善することを確認した。閲覧 2026-08-10