画像所見ノート一覧へ

Imaging findings · Published

ソマトスタチン受容体イメージング

Somatostatin receptor imaging

別名
68Ga-DOTATATE PETソマトスタチン受容体シンチグラフィオクトレオスキャンSSTR PET
臓器系
内分泌・代謝腫瘍消化器
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 E-07:神経内分泌腫瘍内科学 S-66:神経内分泌腫瘍内科学 S-14:褐色細胞腫・傍神経節腫
関連疾患
カルチノイド症候群・神経内分泌腫瘍(ゾリンジャー・エリソン症候群、インスリノーマを含む)褐色細胞腫多発性内分泌腫瘍症

🧠 全体像:CT・MRIが答えるのは「腫瘤がどこにあるか」だが、が答えるのは「その腫瘤が(特に)を発現しているか」である。を高密度に発現するため、)を投与すると腫瘍に選択的に集積し、全身の受容体発現部位を一度に画像化できる。この一枚の画像は例の検索にとどまらず、による)を受けられるかどうかというの判断に直結する。世代としては、旧来の)から・感度で明確に優れるへの置き換えが進んでおり、現行のガイドラインではPETが推奨される。

何を見ているか

高分化型の細胞膜には、正常のよりはるかに高密度の(うちが優位)が発現する。で標識したを静注すると、この受容体に選択的に結合して腫瘍に集積する。

💡 CT/MRIは腫瘍の形態(大きさ・位置・周囲組織との関係)を映すが受容体の発現量は分からない。は受容体発現の有無を映すが正確な形態は苦手とする。両者は補い合う関係であり、どちらか一方で完結しない。

世代 検出法
旧世代( 111In-ペンテトレオチド SPECT(±SPECT/CT)
現行世代 68Ga- PET/CT

オクトレオスキャンから68Ga-DOTATATE PET/CTへ

本ノートの軸はこの世代交代である。

項目
検出法・所要時間 SPECT、投与から撮像まで数日を要する PET、数時間で完結する
検出感度 PETに劣る 検出感度が向上している1
SPECTの分解能にされる PETの物理特性により優れる
現行ガイドラインの位置づけ すべての適応でPETに置き換えるべきとされる旧世代1 推奨される現行標準
実際の・追加検出 前向き比較で41例中87.8%が一致、不一致例はすべてPETのみ陽性。両検査陽性33例中11例でPETが肝・腸管・リンパ節・骨・膵に追加病変を検出した2

⭐ 集積の強さは、肝臓・脾臓への集積を基準にした視覚的グレーディング()で評価する。111In世代から使われてきた評価法で、68Ga- PETでも踏襲され、後述の適応判断の土台になる。

いつ行うか

有用な場面:

不要な場面:

  • 造影CT/MRIで病期・が既に決まっており、SSTR)を検討していないの小さな
  • 断で既に低分化型と判明している場合(下記「できないこと」を参照)

できないこと:

  • 低分化型()神経内分泌癌ではSSTR発現が乏しく集積しない。 この場面ではの方が検出力に優れ、SSTR PETと相補的に使われる1が低下するほどSSTR発現が失われ、代わりにが亢進してFDG集積が高まる——この逆転現象がSSTR PETとFDG-PETの使い分けを決める
  • との単純な優劣付け。・非転移性の副腎ではまたはが基本選択でSSTR PETは二次選択にとどまるが、転移性・例・ではSSTR PETが第一選択になる。病型によって優劣が入れ替わり、一方が常に優れるわけではない3

セラノスティクス:画像が治療適応を決める

⭐ この検査に固有の位置づけは、診断そのものがを決める点である。SSTR PETで陽性と判定されて初めてによるの適応が検討される1。SSTR発現が乏しい・不均一な腫瘍にを行っても標的に核種が届かず治療効果は見込めないため、この画像は「を受けられるかどうか」の入り口そのものになる。

解釈を乱す要因

  • :脾臓・腎臓・副腎・下垂体で強く、肝臓・甲状腺・唾液腺で中程度に集積する4
  • ⚠️ は定番の落とし穴。 検査のおよそ3割強でみられ、平均は冷たい非使用時で8.81に達しと重なりうるため、と紛らわしい5
  • )による LAR投与例では腫瘍そのものへの集積は有意に低下しないが、肝・脾・甲状腺など背景臓器の集積が下がりむしろが改善する4。一方、はLAR投与例で有意に低下する5。直近のLAR投与時期を必ずで確認し、施設のプロトコルに沿って撮像時期を調整する。
  • 以外のSSTR発現病変。 ・結核などのなどもSSTRを発現し集積しうる4

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neuroendocrine tumor, NET'>神経内分泌腫瘍</span>を疑う<br>(機能性症候群・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='incidentaloma'>偶発腫</span>瘤・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unknown primary (occult primary tumor)'>原発不明</span>転移)"] --> B["造影CT/MRIで腫瘤の局在を確認"]
    B --> C["病理で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='differentiation'>分化度</span>・Ki-67を評価"]
    C --> D{"高分化型NETか"}
    D -->|"高分化型"| E["SSTR PET/CT<br>(68Ga-DOTATATEなど)"]
    D -->|"低分化型NEC"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluorine-18 FDG PET'>18F-FDG PET</span>を検討"]
    E --> G{"SSTR陽性か"}
    G -->|"陽性"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='staging'>病期診断</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unknown primary (occult primary tumor)'>原発不明</span>例の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='primary tumor'>原発巣</span>検索<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='lutetium-177 DOTATATE'>177Lu-DOTATATE</span> <span class='jp-term jp-term-diagram' title='peptide receptor radionuclide therapy'>PRRT</span>の適応を判断"]
    G -->|"陰性・集積不良"| F
    F --> I["代謝的悪性度・病期を評価"]

まとめ

  • は、腫瘤の位置ではなくSSTR発現の有無を映す検査であり、CT/MRIとは答える問いが異なる。
  • )からへの世代交代が進み、現行ガイドラインはPETへの置き換えを支持する。
  • 主な適応は高分化型NETの例の検索・の局在診断・(転移性・・頭頸部)の局在診断。
  • ではSSTR発現が乏しく集積せず、が相補的になる。との優劣もの病型で入れ替わる。
  • SSTR陽性という所見そのものが の適応判断に直結する、の起点となる検査である。
  • (脾臓・腎臓・副腎・下垂体・)、による背景臓器の集積低下、などの非腫瘍性SSTR発現病変が解釈を乱す。

出典

  1. 1.Appropriate Use Criteria for Somatostatin Receptor PET Imaging in Neuroendocrine Tumors(Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging(Journal of Nuclear Medicine、Hope TA, et al.)・2018)68Ga-DOTATATEなどのSSTR PETは111In-ペンテトレオチドシンチグラフィをすべての適応で置き換えるべきとされ、高分化型神経内分泌腫瘍の初期病期診断・原発不明例の原発巣検索・術前病期診断・PRRT適応患者の選別が適切な適応に位置づけられる一方、高悪性度神経内分泌癌ではSSTR発現が乏しく18F-FDG PETの方が優れる場面が多いとされていることを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.68Ga-DOTATATE PET/CT versus 111In-octreotide scintigraphy in patients with neuroendocrine tumors: a prospective study(Radiologia Brasileira(Cavicchioli M, Bitencourt AGV, Lima ENP, et al.)・2022)68Ga-DOTATATE PET/CTと111In-オクトレオチドシンチグラフィの判定は41例中87.8%で一致し不一致例はすべてPET/CTのみ陽性であったこと、両検査陽性33例中11例でPET/CTが肝・腸管・リンパ節・骨・膵を中心に追加病変を検出したことを確認した。閲覧 2026-08-04
  3. 3.Normal Variants, Pitfalls and Artifacts in Ga-68 DOTATATE PET/CT Imaging(Frontiers in Nuclear Medicine(Malan N, Vangu MD)・2022)68Ga-DOTATATEの生理的集積は脾臓・副腎・腎臓・下垂体で強く肝臓・甲状腺・唾液腺で中程度であること、長時間作用型オクトレオチド投与例では腫瘍への集積そのものは有意に低下しないが肝・脾・甲状腺など背景臓器の集積が下がりコントラストが改善すること、サルコイドーシス・結核などの肉芽腫性疾患や副脾・脾症などSSTR発現を伴う非腫瘍病変も集積しうることを確認した。閲覧 2026-08-04
  4. 4.European Association of Nuclear Medicine Practice Guideline/Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging Procedure Standard 2019 for Radionuclide Imaging of Phaeochromocytoma and Paraganglioma(European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging(EANM・SNMMI、Taïeb D, et al.)・2019)転移性PPGLとSDHB関連PPGL・頭頸部パラガングリオーマでは遺伝背景によらず68Ga-DOTA-SSA PET/CTが最も高感度で第一選択の画像検査とされる一方、孤発性・非転移性の副腎褐色細胞腫では18F-FDOPAまたは123I-MIBGシンチグラフィが基本選択でSSTR PETは二次選択に位置づけられることを確認した。閲覧 2026-08-04
  5. 5.Determinants of the Uptake of the Uncinate Process of Pancreas in 68Ga-DOTATOC PET/CT: A Retrospective Study(Endocrine(Springer Nature、Jallet L, Othmani W, Perrier M, Morland D)・2023)膵鉤部の生理的集積は68Ga-DOTATOC PET/CTのおよそ3割強でみられ平均SUVmaxは冷たいソマトスタチンアナログ非使用例で8.81に達し悪性病変のSUVmaxと重なりうるため膵神経内分泌腫瘍との鑑別が紛らわしいこと、長時間作用型ソマトスタチンアナログ投与例ではこの生理的集積が有意に低下することを確認した。閲覧 2026-08-04