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Disease Atlas · 消化器 · 腫瘍

胃神経内分泌腫瘍

Gastric neuroendocrine tumor

別名
Gastric NET胃カルチノイド
臓器系
消化器腫瘍
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 E-07:神経内分泌腫瘍
上位概念
カルチノイド症候群・神経内分泌腫瘍(ゾリンジャー・エリソン症候群、インスリノーマを含む)
鑑別疾患
胃癌
合併症
肝転移
関連疾患
G細胞過形成
治療薬
オクトレオチド
検査値
ガストリンクロモグラニンA
画像所見
超音波内視鏡ソマトスタチン受容体イメージング
元疾患
胃炎

🧠 全体像:は、の()から発生する腫瘍で、1型・2型・3型の3分類こそが本体である。1型(によるが背景)と2型(・に伴う)は依存性で多発・小型・低悪性度、3型は非依存性の・である。この分類を取り違えるとが正反対になる——1型は内視鏡切除や経過観察でよい病気を、3型のつもりで胃切除してしまう、あるいはその逆が最悪の失敗である。

カルチノイド症候群・神経内分泌腫瘍との役割分担

()そのものの病態生理・診断(空腹時、胃内pH、)や、・を含む機能性全般の枠組みは・に譲る。本ノートは、胃という原発臓器に特有の1型・2型・3型分類と、それぞれで大きく異なるに絞って扱う。

病態:3つの型を分ける軸

胃NETは由来の腫瘍で、大部分は「による持続刺激があるか」で1型・2型と3型に大別され、1型・2型はさらに背景疾患で分かれる。

型 頻度 機序 大きさ・多発性
1型 70〜80%(最多)1 による→→過形成 小型(多くは1〜2cm未満)・多発 1〜3%と低い12
2型 5〜6%1 ()・()に伴う 小型・多発のことが多い 1型よりやや高い(10〜30%)
3型 15〜25%1 散発性、非依存性 大型(多くは2cm超)・単発 約50%と高い2
flowchart TD
    A["胃NETを疑う病変"] --> B{"背景に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypergastrinemia'>高ガストリン血症</span>があるか"}
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='autoimmune gastritis'>自己免疫性胃炎</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='achlorhydria'>無酸症</span>"| C["1型:小型・多発・低悪性度"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Zollinger-Ellison syndrome'>ゾリンジャー・エリソン症候群</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multiple endocrine neoplasia type 1'>MEN1</span>"| D["2型:小型・多発だが1型よりやや悪性度高い"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypergastrinemia'>高ガストリン血症</span>なし(散発性)"| E["3型:大型・単発・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high-grade (aggressive)'>高悪性度</span>"]

⭐ 1型と2型は「に突き動かされて増える良性寄りの腫瘍」、3型は「とはに自律的に増える悪性寄りの腫瘍」と対比して覚えると、分類の意味との違いの両方が説明できる。

診断

内視鏡で偶発的に発見されることが多く、多発する小型のポリープ様病変として見つかる(1型・2型)か、単発の大型病変として見つかる(3型)。生検で由来であることと、指数によるグレード評価を行う。背景疾患の評価として、空腹時、、胃内pH、・(1型で陽性)、を疑う所見(2型)を確認する。は腫瘍の評価に、は・に用いる。

⚠️ 長期の()使用は抑制を介してを上昇させる。由来のそのものが臨床的にどの程度に寄与するかは議論があり、断定的なは出ていない1。値を評価する際は内服中でないことを確認し、や腎機能低下など他のの原因も併せて考慮する。

治療:型によって方針が正反対になる

⭐ 1型と3型ではが正反対である。 これが本ノートで最も重要な点であり、型の見極めを誤ると過剰治療(1型を3型のように大きく切除する)または過小治療(3型を1型のように経過観察する)につながる。

型 大きさ・状況 標準的な方針
1型 1cm未満 定期的な内視鏡経過観察
1型 1〜2cm、までにとどまる (EMR)または(ESD)
1型 2cm超、以深への浸潤、リンパ節転移、多発(6個超)で内視鏡切除が困難 外科的切除。多発・難治例では源を除く目的でを選択的に検討することがある2
2型 背景疾患(/)の管理が前提 高用量でを抑制しつつ、1型に準じた内視鏡的方針。進行例ではを併用
3型 多くは2cm超、転移リスクが高い 胃切除(部分切除または全摘)+所属リンパ節郭清が標準治療2。ごく小型・低グレードの例外を除き、内視鏡切除だけで済ませない

1型・2型で腫瘍が多発・難治性の場合や進行例には、などので刺激と増殖を抑制する。3型を含む進行・転移例では、を評価したうえで全身治療(、、分子標的薬、化学療法)を組み合わせる。

予後

1型は多発・再発を繰り返しても長期生存が良好なことが多い。2型は1型よりやや悪性度が高いが、背景疾患(/)の管理と合わせて予後は比較的良好である。3型はが高く、5年生存率は30〜50%程度にとどまる1。

まとめ

  • 胃NETは由来の腫瘍で、1型(による→、最多・小型多発・低悪性度)、2型(/に伴う)、3型(散発性・非依存性・単発・)に分ける。
  • 1型・2型はに刺激された増殖、3型はとな自律増殖という機序の違いが、悪性度との違いに直結する。
  • 治療は1型・2型では内視鏡切除や経過観察が中心だが、3型では胃切除+リンパ節郭清が標準治療であり、この違いを取り違えない。
  • 長期使用はを上げるが、それ自体のへの臨床的意義は確立していない。

出典

  1. 1.Gastric Neuroendocrine Tumors(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)胃神経内分泌腫瘍の1型・2型・3型分類(機序、大きさ・多発性、転移率、治療方針の違い)、1型が全体の70〜80%・2型が5〜6%・3型が15〜25%を占めること、1型の転移率が5%未満であること、3型が孤発性で高悪性度・転移リスクが高く胃切除+リンパ節郭清が標準治療であること、長期PPI使用による高ガストリン血症の臨床的意義が議論されていることを確認した。閲覧 2026-08-19
  2. 2.Management of Gastric Neuroendocrine Tumors: A Review(Annals of Surgical Oncology・2024)1型胃神経内分泌腫瘍で1cm未満は経過観察、1cm以上は内視鏡切除、2cm超・粘膜下層を越える浸潤・リンパ節転移・多発(6個超)は外科切除の適応となること、1型の転移率が1〜3%にとどまる一方、3型は2cm超が多く転移率約50%で胃切除+リンパ節郭清が標準治療であることを確認した。閲覧 2026-08-19