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Lauge-Hansen分類

Lauge-Hansen classification

別名
ローゲ・ハンセン分類
臓器系
運動器
科目
Traumatology and Orthopedics
トピック
外傷学 33:足関節骨折の種類と治療
適用疾患
Maisonneuve骨折足関節骨折

🧠 全体像:は、受傷したときに足部がどのにあったか(かか)と、にどの向きの外力が加わったか(内転・外転・)の組合せでを4型に分け、さらに各型の中を損傷がどこまで進んだかという段階で細分する分類である。⭐ が骨折という「結果」で分けるのに対し、本分類は「どう壊れたか」という過程で分ける。だから読み取れるのはの位置ではなく、どのとどの骨が、どの順序で壊れたかであり、X線に写らない靱帯損傷を推測するになる。⚠️ ただしその推測は当たらないことがある——実際の靱帯損傷と一致しない例が半数を占め、観察者間の一致もより有意に低い。順序を考えるための枠組みであって、治療を単独で決めるではない。

目的と適用場面

内容
目的 骨折像からをし、まだ確かめていない靱帯損傷の存在と順序を推測する
対象 (回旋外力による)
使う材料 単純X線(正面・側面・)のの向きと高さ、内側・後方の所見
判定するもの 受傷時の足部と外力の向き(4型)、損傷が進んだ段階
判定しないもの 安定性そのもの、手術適応、転位・の程度、軟部組織の状態
当てはまらないもの による、後脛骨縁の孤立骨折1

⚠️ 採点式のスコアではない。 配点も合計点ももなく、「Lauge-Hansen何点」という表現は存在しない。表に落とすときも配点欄を作らない。段階は点数ではなく、損傷が進んだ深さを表す順番である。

分類の成り立ち — 屍体実験から作られた

Lauge-Hansenはデンマークので、1940年代から1950年代にかけてこの分類を作った。方法は、万力と釘で固定したの脛骨に、用手で回旋変形力を加えるというものだった1。この実験から4つのカテゴリーと13の亜群が設けられたが、各カテゴリーの根拠となった実験は4回から8回にすぎない——・型は7回、・内転型は8回、・型は4回、・外転型は3回である1。

💡 この成り立ちが、そのままと短所を決めている。 力を加える向きを実験者が決めて骨折を作ったのだから、得られた型は「力の向き」で整理されている——これが、骨折像から機転をできるというになる。一方で根拠となったは各型で数体しかなく、同じ手技で再現できなかったという追試も報告されている(Michelsonらが32体で・型を再現できなかったことを、この総説が引用している)1。

⭐ 型名の読み方には規則がある。 前半(・)は受傷時の足部の、後半(内転・外転・)はに加わった外力の向きを指す。「・」は「足が位にあるところへの力が加わった」と読む。この読み方さえ押さえれば、4型は暗記ではなく組合せとして再構成できる。

4型と段階

回外・外旋型 — 最も多い型

足部が位にあるところへが加わる。⭐ の中で最も多い型であり、破綻は外側から始まって内側へ回る1。

段階 壊れるもの
1 の損傷
2 遠位のまたはらせん骨折
3 の損傷、またはの
4 、または三角靱帯の損傷

(段階の内容は1による。)

⭐ 段階4に達したかどうかが安定性の分かれ目である。 段階3までは内側が生きているのではの中央にとどまるが、段階4でまたはが加わるとは外側へ逃げられるようになる。X線にがしか写っていなくても、内側が段階4に達していればである。ではB型に対応する。

回外・内転型

足部が位にあるところへ内転()が加わる。破綻は外側の牽引から内側の圧迫へ進む1。

段階 壊れるもの
1 遠位の、または外側の
2 の垂直骨折、または三角靱帯の損傷

(段階の内容は1による。)

💡 の向きが力の向きをそのまま語っている。 外側はが内側へ返る動きに引き裂かれるので(牽引のは力に直交する)、内側はに下から突き上げられるので垂直骨折(圧迫とのは力に沿う)になる。「が横に折れていてが縦に割れている」という組合せを見たら、この型を疑う。ではA型に対応する。

回内・外旋型

足部がにあるところへが加わる。⭐ 型では破綻が内側から始まる1。

段階 壊れるもの
1 、または三角靱帯の損傷
2 の損傷
3 より近位ののまたはらせん骨折
4 の損傷、またはの

(段階の内容は1による。)

⚠️ 段階3のは「どこまでも高くなりうる」。 力がを裂きながら上行するため、の高さは靱帯結合のすぐ上から部まで幅がある。近位まで上がりきったものがである。ではC型に対応する。

回内・外転型

足部がにあるところへ外転が加わる。内側から始まる点は・型と同じだが、外側の壊れ方が違う1。

段階 壊れるもの
1 、または三角靱帯の損傷
2 の損傷
3 より近位ののまたは

(段階の内容は1による。)

💡 型と外転型は、線の形で見分ける。 は骨をねじるので斜め・らせんのを作り、外転はを外側へ押し付けるのでまたはのを作る。段階1・2が同じでも、段階3のの形が機転を語り分けている。ではC型に対応する。

4型の対比

型 破綻の起点 の形 内側の損傷 Danis-Weber
・ 外側() 斜め・らせん、靱帯結合の高さ 段階4で加わる B
・内転 外側(の) 横、靱帯結合より遠位 段階2で加わる(垂直骨折) A
・ 内側 斜め・らせん、天蓋より近位 段階1で必ず加わる C
・外転 内側 横・、天蓋より近位 段階1で必ず加わる C
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='malleolar fracture'>果部骨折</span>のX線を見る"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='medial malleolar fracture'>内果骨折</span>または内側の破綻があるか"}
    B -->|"最初から内側が壊れている"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pronation'>回内</span>型"]
    B -->|"外側が主で内側は無いか最終段階"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='supination'>回外</span>型"]
    C --> E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibular fracture'>腓骨骨折</span>線の形は"}
    E -->|"斜め・らせん"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pronation'>回内</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lateral rotation'>外旋</span>型"]
    E -->|"横・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='comminution (comminuted)'>粉砕</span>"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pronation'>回内</span>・外転型"]
    D --> H{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibular fracture'>腓骨骨折</span>線の形と高さは"}
    H -->|"斜め・らせんで靱帯結合の高さ"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='supination'>回外</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lateral rotation'>外旋</span>型"]
    H -->|"横で靱帯結合より遠位"| J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='supination'>回外</span>・内転型"]
    F --> K["推定した段階どおりに<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ligament'>靱帯</span>が壊れているとは限らない"]
    G --> K
    I --> K
    J --> K
    K --> L["安定性は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='talus'>距骨</span>の位置と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='weight-bearing radiograph'>荷重位X線</span>で別に判定する"]

解釈 — 何が読めて、何が読めないか

読めるのは損傷の順序である。 型が決まれば、その型で先に壊れる構造が分かる。型なら内側は段階1で必ず壊れているはずで、・型なら段階4に達していなければ内側は生きているはずである。X線に写っていないについて、どこを確かめるべきかを教える——これがこの分類の実用的な価値である。

⭐ 線の向きは力学の記録である。 は牽引()、斜め・らせんは回旋、は圧迫を意味する。の形を「何型に見えるか」ではなく「どの力がこれを作ったか」と読む習慣が、この分類の本体にあたる。

⚠️ 読めないのは安定性そのものである。 段階が進むほど不安定になりやすいが、段階の推定は骨折像からのであって直接の観察ではない。が中央にとどまるかどうかは、の対称性・medial clear space・で別に判定する。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 観察者間の一致がより有意に低い。 30例のX線を経験段階の異なる11名(研修医5名・整形外科医6名)が1か月あけて2回評価した研究では、全評価者55対における重みづけκの平均は、が0.81と0.79であったのに対し、は0.43と0.52、AO分類は0.43と0.48だった2。は全標本でも標本でも他の2分類より有意に高い一致度を示し、とAO分類の間には有意差が無かった2。同研究では、より複雑な分類ほど再現性が低く、では11名中2名が2時点間の再現性を示さなかった2。

💡 再現性が落ちる理由は分類の性質そのものにある。 Danis-Weberは「が靱帯結合より上か下か同じか」という見えるものの3択だが、Lauge-Hansenは「見えないがどの順に壊れたか」という推測を含む4型13亜群の選択である。推測の余地が大きいほど、人によって答えが割れる。⭐ どうしが骨折像を短い言葉で伝えるときにが使われ、機転を考えるときにが使われるのは、この違いによる。両者は競合せず、見ている軸が違う。

⚠️ 推定した損傷順序が実際と一致しないことがある。 手術を要した59例をX線との両方で評価した研究では、X線から割り当てた型は・型37例(63%)・・型11例(19%)・・内転型1例(2%)で、10例(17%)はそもそも本分類に当てはまらなかった。さらに分類できた49例のうち26例(53%)は、靱帯損傷の分布と骨折形態がLauge-Hansenの予測と一致しなかった3。同研究の著者らは、本分類を診断と治療の指針にとどめ、治療判断の単独の根拠にしないよう勧めている3。

⚠️ すべての骨折型を記述できない。 後脛骨縁の孤立骨折のように、この分類に当てはまらない骨折がわずかながら存在する1。分類できなかった10例中8例には共通の像があり、のらせん骨折・の骨折・骨折・とのという組合せだった3。「当てはまらない」ことを「軽い」と読まない。

⚠️ 回旋以外の機転には使えない。 でが潰れるは、そもそもの種類が違うため本分類の対象外である。

⚠️ 患者の証言と一致するとは限らない。 受傷の瞬間の足部を患者が正確に述べられることはまれで、機転は実際には骨折像から推測されている。「・型だったから足はしていた」は循環した説明であり、機転そのものの証拠にはならない。

まとめ

  • は、受傷時の足部(・)とに加わった外力の向き(内転・外転・)の組合せでを4型に分け、各型を損傷の進んだ段階で細分する。過程の分類であり、結果(骨折)の分類であるとは見ている軸が違う。
  • ・型が最多で、外側()→の→・→内側の順に進む。段階4で内側が壊れるとになる。
  • ・内転型はのとの垂直骨折という組合せを作る。型(・外転)は内側が段階1で必ず壊れ、は天蓋より近位に生じる。なら斜め・らせん、外転なら横・。
  • 対応はおおむね・内転がWeber A、・がB、・と・外転がCである。・型でが近位まで上がりきったものが。
  • 実験に基づく分類だが、各型の根拠となった実験は4〜8回にすぎない。観察者間一致はより有意に低く、AO分類との差は無い。
  • との照合では、分類できた49例の53%で予測と実際の靱帯損傷が一致せず、17%はそもそも分類できなかった。治療判断の単独の根拠にしない。
  • 採点式ではないので配点も閾値もない。段階は点数ではなく損傷が進んだ順番である。

出典

  1. 1.Classifications in Brief: Lauge-Hansen Classification of Ankle Fractures(Clinical Orthopaedics and Related Research・2015)Lauge-Hansenが1940年代から1950年代にかけて、万力と釘で固定した屍体脛骨に用手で回旋変形力を加える実験から本分類を作ったこと、各カテゴリーが4回から8回の実験に基づき4カテゴリー13亜群が設けられたこと(回外・外旋7回、回外・内転8回、回内・外旋4回、回内・外転3回)、回外・外旋型が最も多く段階1が前脛腓靱帯の損傷・段階2が遠位腓骨の斜骨折またはらせん骨折・段階3が後脛腓靱帯の損傷または後果の裂離・段階4が内果骨折または三角靱帯の損傷であること、回外・内転型が段階1で遠位腓骨の横骨折または外側靱帯の裂離・段階2で内果の垂直骨折または三角靱帯損傷を生じること、回内・外旋型が段階1で内果骨折または三角靱帯損傷・段階2で前脛腓靱帯の損傷・段階3で脛骨天蓋より近位の腓骨の斜骨折またはらせん骨折・段階4で後脛腓靱帯の損傷または後果の裂離を生じること、回内・外転型が段階1で内果骨折または三角靱帯損傷・段階2で前脛腓靱帯の損傷・段階3で脛骨天蓋より近位の腓骨の横骨折または粉砕骨折を生じること、後脛骨縁の孤立骨折のようにこの分類に当てはまらない骨折がわずかながら存在すること、Michelsonらが屍体足関節32体でLauge-Hansenの方法によって回外・外旋型の骨折像を再現できなかったこと(この最後の点は本総説自身の実験ではなく他文献の引用である)閲覧 2026-09-02
  2. 2.Evaluation of the Reproducibility of Lauge-Hansen, Danis-Weber, and AO Classifications for Ankle Fractures(Revista Brasileira de Ortopedia・2021)PMC8249061として公開されている全文を閲覧した。足関節骨折30例の正面・側面・true AP像を経験段階の異なる11名(研修医5名・整形外科医6名)が1か月あけて2回評価した研究で、全評価者55対における重みづけκの平均が第1回と第2回でDanis-Weber分類0.81と0.79、Lauge-Hansen分類0.43と0.52、AO分類0.43と0.48であったこと、Danis-Weber分類が全標本でも下位標本でも他の2分類より有意に高い一致度を示した一方でLauge-Hansen分類とAO分類の間には有意差が無かったこと、Lauge-Hansen分類では第1回で7対・第2回で3対が統計学的に有意な一致を示さなかったこと、評価者内一致ではLauge-Hansen分類で11名中2名(専門医1名・研修医1名)が2時点間の再現性を示さなかったこと、より複雑な分類ほど再現性が低かったこと、評価者の経験が浅いことは分類の再現性に悪影響を与えなかったこと閲覧 2026-09-02
  3. 3.The ability of the Lauge-Hansen classification to predict ligament injury and mechanism in ankle fractures: an MRI study(Journal of Orthopaedic Trauma・2006)手術を要した足関節骨折59例をX線とMRIの両方で評価した後ろ向きコホートで、X線からLauge-Hansen分類を割り当てたところ回外・外旋型37例(63%)・回内・外旋型11例(19%)・回外・内転型1例(2%)で10例(17%)は本分類に当てはまらなかったこと、分類できた49例のうち26例(53%)は靱帯損傷の分布と骨折形態がLauge-Hansenの予測と一致しなかったこと、分類できなかった10例中8例が腓骨の高位らせん骨折・内果の垂直剪断骨折・後果骨折・前脛腓靱帯と骨間膜の完全断裂という共通の像を示したこと、本コホートの65%超で靱帯の完全断裂とその靱帯が付着する果の骨折が同時に存在したこと、著者らがLauge-Hansen分類を診断と治療の指針にとどめ治療判断の単独の根拠にしないよう勧めていること(抄録のみを閲覧しており全文は未取得)閲覧 2026-09-02