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MRC息切れスケール(古典版)

MRC dyspnoea scale (classic)

臓器系
呼吸器
科目
Pulmonology
トピック
呼吸器内科 21:慢性閉塞性肺疾患と肺気腫
構成:症状
呼吸困難

🧠 全体像(古典版)は、1952年にFletcherらがMRC肺塵埃症ユニットの研究で考案し、1959年に改訂された、グレード1(無症状)〜5(最重度)の5段階で労作時呼吸困難を評価する尺度である。⚠️ 同じ「」という名称でも、COPDので使われるは0〜4の5段階に採番し直した別の尺度で、両者は刻み方も点数も異なる。 各グレードの記述内容そのものはほぼ同じで、古典版のグレードNはのグレードN−1にほぼ対応するが、点数を1つずらして流用すると誤る。古典版は現在ではのような複合スコアの構成項目として使われる場面が中心である。

目的と適用場面

内容
目的 によるの程度を1〜5の5段階で評価する
対象 もとは炭鉱労働者などの呼吸器疾患の疫学調査対象者。現在はのような複合スコアの構成項目として患者などにも使われる
使う場面 などの複合スコアの構成項目、古い文献・スコアが「MRC dyspnoea scale」を引用している箇所の読み替え
評価しないもの の程度そのもの、咳・喀痰などMRC以外の症状

Fletcherらが1940年代にウェールズの炭鉱労働者を対象とした研究の中で考案し、について尋ねる短い質問紙として1952年に最初に発表した1。⚠️ 1952年版も1959年版もグレード1〜5の5段階で、段階数は改訂で変わっていない。 変わったのは質問文の立て方で、1952年版が「同年代・同体格の男性についていけるか」という他者との比較を尋ねたのに対し、1959年版は「平地を約100ヤード歩くと立ち止まるか」のように到達距離・所要時間を基準にした文へ改められた。現在「」として引用されるのは1959年版である23

構成要素と配点

⭐ 患者自身のを基準に、グレード1(無症状)からグレード5(最重度)までの1項目5段階で評価する。・画像所見は使わない。各グレードの定義文は次のとおり3

グレード 状態
1 激しい労作のとき以外はを感じない
2 平地を急いで歩く、または緩い坂を歩くときにがある
3 平地で多くの人より歩くのが遅い、または自分のペースで歩いていても約1マイル(または15分)ほどで息継ぎのため立ち止まる
4 平地を約100ヤード(約90 m)、または数分歩くと息継ぎのため立ち止まる
5 がひどく外出できない、または脱衣をしただけでもがある

💡 各グレードの記述内容は、の対応するグレード(古典版のグレードNに対してのグレードN−1)とほぼ同じ文言である。採番の起点が1と0でずれているだけで、記述しているのレベルは同じという関係にある。細かな言い回しは異なり、古典版のグレード3は「多くの人より遅い」、グレード4は「約100ヤード」、グレード5は「脱衣後の」と書くのに対し、はそれぞれ「同年代の人より遅い」「約100 m」「着替えでの」と表現する3。判定の閾値としての意味は変わらない。

古典的MRC(本ノート) 1 2 3 4 5
<a href=“/scores/mmrc-dyspnea-scale” class=“wikilink” data-goes-to=“息切れスケール”> の対応グレード 0 1 2 3 4

解釈とカットオフ

単独では点数帯ごとの外来/入院/ICUのような対応表を持たず、グレードが上がるほどが大きいと解釈する。現在の主な使われ方は、の構成項目としての加点である。ではグレード1〜3を0点、グレード4を2点、グレード5を3点として合計点に加算する4

限界と使ってはいけない場面

⚠️ (0〜4の5段階)と混同しない。 名称が似ているため、「」と書かれた資料が古典版(1〜5)と(0〜4)のどちらを指しているか、文脈で必ず確認する。グレードの数字をそのまま点数として複合スコアに投入すると、1点分ずれた誤ったスコアになる。

⚠️ 現在の呼吸器診療、とくにCOPDの評価ではの症状評価軸を含め、(0〜4)が主流である。古典版(1〜5)を単独で使う場面は限られ、主にのように古典版を採用したまま固定されている複合スコアの中でのみ残っている。

⚠️ 同じ疾患の重症度スコアどうしでも採用している尺度が違う。 同じを対象としながら、の呼吸困難項目は0〜4の(グレード3〜4で1点)を採用している。EDを並べて読むときは、どちらの尺度のグレードを見ているかを毎回確認する。

⚠️ 1項目の自己申告に基づく尺度であり、患者ごとの活動量の基準(もともと活動的か、坐りがちか)で実際の障害程度が異なりうる。咳・喀痰・などに含まれない症状は評価されない。

まとめ

  • (古典版)は、1952年にFletcherらが考案し1959年に現行の文へ改められた、をグレード1(無症状)〜5(最重度)の5段階で評価する尺度である。1952年版も5段階で、改訂で段階数は変わっていない。
  • 各グレードの記述は(0〜4)の対応するグレードとほぼ同じ文言で、採番が1つずれているだけの関係にある。
  • 現在は単独で使われるより、のような複合スコアの構成項目(グレード1〜3=0点、4=2点、5=3点)として残っている。
  • COPDのなど現在の主流は(0〜4)であり、古典版(1〜5)と混同すると点数がずれる。

出典

  1. 1.MRC Dyspnoea Scale (1959)(Medical Research Council(UK Research and Innovation)・1959)1959年版MRC息切れスケールのグレード1〜5の質問文原文(英語)を確認した。グレード3が「平地で多くの人より歩くのが遅いか」「自分のペースで約1マイル(または15分)歩くと立ち止まるか」、グレード4が「平地を約100ヤード(または数分)歩くと息継ぎのため立ち止まるか」、グレード5が「息切れで外出できないか、脱衣後に息切れするか」という問診形式で書かれていることを確認した。段階数は1〜5の5段階である。閲覧 2026-08-10
  2. 2.MRC Breathlessness Scale (1952)(Medical Research Council(UK Research and Innovation)・1952)1952年版MRC息切れスケールもグレード1〜5の5段階であり、1959年版で段階数が変わっていないことを確認した。1952年版の質問文は「同年代・同体格の男性についていけるか」という他者との比較形式で書かれており、1959年版で到達距離・所要時間を基準にした形式へ改められている。閲覧 2026-08-10
  3. 3.The MRC breathlessness scale(Occupational Medicine(Stenton C)・2008)FletcherらがMRC肺塵埃症ユニットでウェールズの炭鉱労働者を対象とした研究の中で考案し、1952年に最初に発表したこと、日常動作を尋ねる短い質問紙で数十秒〜数分で評価できることを確認した(抄録のみ確認)。閲覧 2026-08-10
  4. 4.The Bronchiectasis Severity Index. An International Derivation and Validation Study(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine(Chalmers JD, et al.)・2014)[[scores/bronchiectasis-severity-index|BSI]]が古典的MRC息切れスケール(1〜5の5段階)を構成項目として採用し、グレード1〜3を0点、グレード4を2点、グレード5を3点として加算することを確認した。閲覧 2026-08-10