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Onerci分類

Onerci classification

別名
Önerci分類
臓器系
耳鼻咽喉科腫瘍
科目
Otorhinolaryngology
トピック
耳鼻咽喉科 38:上咽頭疾患とアデノイド増殖症の症状耳鼻咽喉科 43:口腔・咽頭の良性腫瘍と前癌病変

🧠 全体像:Onerci分類は、(JNA)をI〜IVの4期に分ける進展範囲によるで、やと同じく「どこまで広がっているか」を軸にする。ただし作られた動機が異なる——考案者らは自施設の36例を見直し、遺残・再発した症例がどの部位に浸潤していたかを調べたうえで分類を組み直した1。したがってOnerci分類の各期のは、恣意的な解剖学的区分ではなく「この先まで浸潤すると遺残しやすい」という転帰データに基づく境界として引かれている。

目的と適用場面

内容
目的 遺残・再発の危険度を予測し、術式選択と記載の統一に役立てる
評価の種類 進展範囲による(I〜IVの4段階)。点数を加算するスコアではない
対象 画像診断(/、必要に応じ)でJNAの進展範囲を評価した患者
判定に使う情報 腫瘍の解剖学的進展範囲(鼻腔・副鼻腔・・・眼窩・頭蓋内)
使う場面 術前の進展範囲の記載、遺残・再発リスクの見積もり、他のとの比較
評価しないもの 塞栓後にから残る血流(が明示的に評価軸に加えている点)、術式そのもの

💡 なぜ「基部」がに選ばれたのか。 考案者らの36例のうち遺残・再発があった12例では、が以外に基部(9例・75%)、(4例・33%)、(4例・33%)、(2例・17%)へ浸潤していた。基部への浸潤は、遺残・再発の無かった24例では3例にしか見られなかったのに対し、遺残・再発があった12例では10例に見られた1。この非対称性が、III期を「体・大翼のおよび基部への浸潤」という基準で切り出す根拠になっている。

構成要素と分類基準

進展範囲によりI〜IVの4期に分ける2。

病期 進展範囲
I 鼻腔・・/・(翼上顎窩)へのわずかな進展
II とへの広範な浸潤。への進展と、への限られた進展を伴う
III 体・大翼のおよび基部への浸潤。・翼状板・眼窩領域への広範な浸潤、の閉塞を伴う
IV 下垂体との間への、外側に位置する腫瘍、への進展

⭐ II期とIII期を分けるのは「浸潤の広さ」ではなく「骨髄まで達しているか」である。 どちらも・の浸潤を伴いうるが、III期はのとの閉塞という、単なる軟部組織の進展より一段深い所見で線が引かれている。

💡 IV期は「頭蓋内に入ったかどうか」ではなく「との位置関係」で決まる。 下垂体との間に入り込むか、の外側に位置するかという、術中の血管操作に直結する基準になっている点は、が血管支配そのものを病期に組み込んだ発想と地続きである。

解釈とカットオフ

原著の36例コホートでは、遺残・再発が全体の33%(12/36)に見られ、その大半に基部や・・への浸潤があった1。小規模な所見の報告例(6例)では病期分布がII期2例・III期1例・IV期3例であり、進行例ほど頭蓋底深部・頭蓋内に及ぶ病期に振り分けられることが確認できる2。

⚠️ 病期そのものに点数や合計は無い。 の範囲で原著が示しているのは病期と転帰の対応表ではなく、遺残・再発例に多かった浸潤部位の頻度である1。⚠️ 本ノートは原著の全文を確認できていない(DOIが無く、PMC・Europe PMCにも収載が無い)ため、病期別の遺残・再発率が原著に示されていないと断定はできない。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 単施設36例のスペクティブな検討が根拠である。 追跡期間も3〜7年(平均4.5年)と幅があり、外切開・の両方の術式が混在した時代の症例が対象になっている1。

⚠️ 血管塞栓後の残存血管分布を評価軸に含まない。 は塞栓後にも残るからの血流をIII期・IV期を分ける主軸に据えているが、Onerci分類のI〜IV期の基準に塞栓後の血管所見は登場しない。同じ「」でも、両分類が問うている情報が異なることを踏まえて使う。

⚠️ III期・IV期の境界には評価者の判断が入る余地がある。 「広範な浸潤」「限られた進展」といった程度を表す語で境界が引かれている箇所があり、のような明確な亜分類(IIA/IIB等)を持たない。者間のを検証した研究は今回確認できていない。

⚠️ 血管の位置関係(との関係)を確定するには/だけでは不十分なことがある。 IV期の判定基準はとの位置関係を含むため、など追加の血管評価を要する場合がある。

まとめ

  • Onerci分類はJNAをI〜IVの4期に分ける進展範囲によるで、2006年に遺残・再発の危険度予測を目的として提案された。
  • 考案者らの36例コホートでは遺残・再発が33%に見られ、とくに基部への浸潤が強く関連していた。この知見がIII期の基準(・基部浸潤・閉塞)に反映されている。
  • I〜II期は鼻腔・副鼻腔・・までの浸潤の広さで分け、III期はと閉塞、IV期はとの位置関係を含むで分ける。
  • 塞栓後の残存血管分布を評価軸に含まない点でと異なり、明確な亜分類が無い点でと異なる。
  • 根拠は単施設36例のスペクティブな検討で、の範囲では病期と遺残・再発率を対応づけた表は示されていない(原著の全文は未取得)。

出典

  1. 1.Juvenile nasopharyngeal angiofibroma: a revised staging system(Rhinology・2006)抄録で確認した内容。1983年から2002年に外切開または経鼻内視鏡的に切除された若年性鼻咽腔血管線維腫36例を後方視的に検討したこと(追跡期間3〜7年、平均4.5年)、遺残・再発が36例中12例(33%)に見られたこと、その12例では原発腫瘍が鼻咽腔以外に翼状突起基部(9例・75%)、側頭下窩(4例・33%)、翼口蓋窩(4例・33%)、蝶形骨洞(2例・17%)へ浸潤していたこと、翼状突起基部への浸潤は遺残・再発の無かった24例中3例にしか見られなかったのに対し遺残・再発があった12例中10例に見られたこと、画像診断・塞栓術・手術手技(とくに彎曲内視鏡による視野の改善)の進歩により遺残・再発の危険が高い部位が変化したため、遺残・再発の危険度の判定・術式選択・記載の統一を目的として新しい病期分類を提案したことを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得(DOIなし。PMC・Europe PMC RESTで検索したが全文入手不可を確認した)。閲覧 2026-08-31
  2. 2.Juvenile Nasopharyngeal Angiofibroma: Magnetic Resonance Imaging Findings(Journal of the Belgian Society of Radiology・2016)Europe PMC REST経由で全文(Table 3・Table 4)を確認した内容。Onerci分類のI〜IV期の基準として、I期は鼻腔・鼻咽腔・篩骨洞/蝶形骨洞・翼口蓋窩へのわずかな進展、II期は上顎洞と翼口蓋窩への広範な浸潤に加え前頭蓋窩への進展と側頭下窩への限られた進展、III期は蝶形骨体・大翼の骨髄浸潤および翼状突起基部への浸潤、側頭下窩・翼状板・眼窩領域への広範な浸潤、海綿静脈洞の閉塞、IV期は下垂体と内頸動脈の間への頭蓋内進展・内頸動脈外側に位置する腫瘍・中頭蓋窩への進展、と定義されていることを確認した(この論文の表がOnerci原著の分類を転載したものである)。同論文の6症例のOnerci病期分布(II期2例、III期1例、IV期3例)も確認した。閲覧 2026-08-31