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PREVENT式

PREVENT equations

別名
PREVENT
臓器系
循環器
科目
Cardiology
トピック
循環器内科 A-03:心血管リスク因子と一次・二次予防
構成:検査値
脂質検査クレアチニンHbA1cアルブミン尿
適用疾患
高血圧症

🧠 全体像は、既知の心血管疾患がない成人を対象に、だけでなく心不全も含めた「総心血管疾患」の発症リスクを、10年・30年の両方の時間軸で推計するAHAのである。従来のと最も違う点は、人種を予測として使わない設計へ転換したことと、を組み込んだことにある。

目的と適用場面

内容
目的 総心血管疾患(+心不全)の10年・30年リスクを推計し、を支援する
対象 既知の心血管疾患がない30〜79歳の成人
使う場面 ・スタチンなど薬物治療を開始するかどうかの判断、患者との
評価しないもの 既にがある患者の再発リスク(

(総心血管疾患)・単独)・(心不全単独)という3つの転帰別式が独立に計算されるため、ASCVDとHFそれぞれのリスクを足し合わせた値は、総心血管疾患リスクの推計値より大きくなりうる1

構成要素と配点

は単純な加算スコアではなく、各作用項を含むへ投入して算出する。手計算はせず、計算ツールを使う。

⭐ 必須は次の11項目。いずれかが欠けている、または検証範囲外(BMI 39.9 kg/m²超、年齢30歳未満・79歳超など)だと、リスクは算出されない1

反映する内容
年齢 30〜79歳の範囲で有効
性別 男女別の式を使う
現在の血圧値
使用の有無 既に治療中かどうか
脂質検査の一項目
脂質検査の一項目
(スタチンなど)使用の有無 既に治療中かどうか
糖尿病の有無 診断の有無
喫煙状況 現喫煙かどうか
BMI 心不全リスクの推計に特に寄与する
eGFR クレアチニンなどから算出する腎機能の指標

任意で追加できるは次の3項目で、入力がなくても必須だけで推計は行える。

反映する内容
UACR( 早期腎障害の指標
HbA1c 状態
郵便番号ベースの決定要因指標。米国内居住者にのみ適用可能

これら3を加えた式は総心血管疾患の判別能をわずかだが統計的有意に改善し、UACR追加は高度(300 mg/g超)例のを特に改善する1

💡 PCEは人種(黒人/それ以外)で係数を分けていたが、はBMI・血圧・糖尿病・SDIなど測定可能な健康因子を組み込むことで、人種を予測に使わなくても人種・民族群を横断して予測リスクと実測リスクが一致する精度を達成したとされる1

解釈とカットオフ

2025年ACC/AHA高血圧ガイドラインは、病期1高血圧(収縮期130〜139または拡張期80〜89 mmHg)で心血管疾患・脳卒中既往・糖尿病・のいずれもない成人に対し、式による10年総心血管リスク7.5%以上開始の閾値に採用した2

診療の文脈では、式による10年リスクでスタチン開始が判断される。10年リスク5%以上(中間〜高リスク)で開始が推奨され、3〜5%未満(境界域)は患者との相談の上で開始が妥当とされる。10年リスクが低い30〜59歳でも、LDL-Cが160〜189 mg/dLまたは30年リスクが10%以上なら開始が妥当とされる1とスタチンでガイドラインが異なるため、どちらの薬物治療の判断かで参照するPREVENTの転帰別式と閾値を混同しない。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 既にがある患者()には使えない。開発・検証は既知の心血管疾患がない集団に限られる1

⚠️ はPCEより低いリスク推計を返す傾向がある。ある検証コホートでは10年リスクの中央値がPCEの10.1%からでは5.7%に下がり、患者の58%が低リスク層へ再分類され、リスク閾値7.5%でのスタチン適格率はPCEの61.1%からでは36.7%へ低下した。PCEからへ切り替えると、同じ患者でも・スタチンの適応が変わりうることを踏まえて運用する3

⚠️ 米国内の複数コホート(合計650万人超)で開発・されているため、米国外の集団への外挿には注意が要る。危険因子の分布、診療パターン、が国によって異なりうる1

⚠️ の30年リスクには、確立したがまだ置かれていない1。一方での30年リスクには閾値があり、10年リスクが低い30〜59歳でも30年リスク10%以上ならスタチン開始が妥当とされる(上記)。両者を混同しない。

⚠️ 既に心血管疾患・脳卒中の既往、糖尿病、がある患者は、を経ずに高リスクとして扱う集団であり、の対象ではない1

まとめ

  • は、既知の心血管疾患がない30〜79歳成人を対象に、総心血管疾患(+心不全)・単独・心不全単独の10年・30年リスクをで算出する。
  • 人種を予測に含めず、eGFR・BMIを必須に、UACR・HbA1c・(SDI)を任意に組み込む。
  • 2025年ACC/AHA高血圧ガイドラインは、病期1高血圧での開始閾値として式による10年リスク7.5%以上を採用した。
  • 従来のより低いリスク推計を返す傾向があり、切り替えると・スタチンの適応が変わりうる。
  • 米国コホートで開発・されており、米国外への外挿や患者への適用は避ける。

出典

  1. 1.American Heart Association PREVENT Equations Frequently Asked Questions(American Heart Association・2026)PREVENT式は2023年に開発されCirculation誌の科学的声明として発表されたこと、既知の心血管疾患がない30〜79歳成人を対象に総心血管疾患(アテローム性心血管疾患+心不全)・アテローム性心血管疾患単独・心不全単独それぞれの10年・30年リスクを別個の式で算出すること、人種・民族を予測変数に含めないこと、必須変数が年齢・性別・総コレステロール・HDLコレステロール・収縮期血圧・BMI・eGFR・糖尿病・喫煙状況・降圧薬使用・脂質低下薬使用であること、UACR・HbA1c・社会的剥奪指数(SDI)を任意の追加変数とし米国内650万人超のコホートで開発・較正されたこと、SDIが郵便番号ベースで米国内居住者にのみ適用可能なこと、2026年脂質異常症ガイドラインがPREVENT-ASCVD式の10年リスクでスタチン開始(3%未満は低リスク、3〜5%未満は境界域、5%以上は開始推奨)を判断すること閲覧 2026-08-04
  2. 2.2025 AHA/ACC Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in Adults(American College of Cardiology / American Heart Association・2025)2025年ACC/AHA高血圧ガイドラインが、病期1高血圧(収縮期130〜139または拡張期80〜89 mmHg)で心血管疾患・脳卒中既往・糖尿病・慢性腎臓病のいずれもない成人に対し、PREVENT-CVD式による10年総心血管リスク7.5%以上を薬物治療開始の閾値として採用したこと閲覧 2026-08-04
  3. 3.External validation and comparison of the AHA-PREVENT and pooled cohort equations for 10-year ASCVD risk prediction in a contemporary US EHR population(American Heart Journal Plus・2025)同一集団で比較すると、PREVENT式の10年アテローム性心血管疾患リスク中央値が統合コホート方程式より低く出て(5.7% 対 10.1%)、患者の58%が低リスク層へ再分類され、リスク閾値7.5%でのスタチン適格率が統合コホート方程式の61.1%からPREVENT式では36.7%へ低下したこと閲覧 2026-08-04