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PUQEスコア

PUQE score

別名
Pregnancy-Unique Quantification of EmesisPUQE-24
臓器系
生殖・産婦人科
科目
Obstetrics
トピック
産科学 10:妊娠と消化器疾患
構成:症状
悪心嘔吐空嘔吐
適用疾患
妊娠悪阻

🧠 全体像は、直近の悪心・嘔吐・を患者自身に申告させて数値化する症状重症度の物差しである。⚠️ ではない——の診断は体重減少・脱水・電解質異常・という所見で下すものであり1、PUQEは「症状がどれだけ重いか」「治療でどれだけ改善したか」を追跡するにすぎない。PUQEが高い=ではなく、逆にPUQEが低くても脱水・があればでありうる。

目的と適用場面

内容
目的 )の症状の重さを数値化し、の段階的選択と治療反応の追跡に使う
対象 を訴える妊婦全般
使う場面 外来での初期評価、入院適応を判断する材料の1つ、・入院後の効果判定
評価しないもの 脱水・電解質異常・の有無そのもの、の診断そのもの

は直近12時間の症状を尋ねる尺度だったが、その後直近24時間を対象とするへ改訂された1。さらにQOL(心理・身体面の健康感)の自己評価項目を1つ加えたもあり、現在の研究・臨床では(24時間版)が標準として用いられる2。⚠️ どの版の点数かを明示しないと、点数の意味が変わる(12時間版と24時間版では同じ症状でも点数が異なりうる)。

構成要素と配点

は悪心の・嘔吐回数・回数の3項目をそれぞれ5段階で評定する自己記入式尺度で、合計得点は3〜15点の範囲をとる3。以下は各項目の区切りである4

悪心の(直近24時間で何時間)

1点 2点 3点 4点 5点
なし 1時間以下 2〜3時間 4〜6時間 6時間超

嘔吐の回数(直近24時間で何回)

1点 2点 3点 4点 5点
なし 1〜2回 3〜4回 5〜6回 7回以上

の回数(直近24時間で何回)

1点 2点 3点 4点 5点
なし 1〜2回 3〜4回 5〜6回 7回以上

⭐ 合計は3〜15点である。各項目の最低点が1点なので、合計の最低点は0点ではなく3点になる——症状が全く無い状態でも3点が付くという点は読み違えやすい5。PUQEはを含まず、悪心嘔吐という3つの症状の量だけで構成される。

解釈とカットオフ

合計点 重症度 対応の目安
3点 症状なし 経過観察
4〜6点 軽症 外来で・経口
7〜12点 中等症 経口治療の増強、補液の検討
13〜15点 重症 入院と静注療法を検討

💡 この4段階の区分は原版PUQEの基準として提唱されたものを24時間版にも当てて用いている5。資料によっては3〜6点をまとめて「軽症」とする3段階の書き方もあり、区分の刻みは文献で揺れる。

上記の重症度区分は5による。⚠️ 「この点数だから入院」と機械的に断定しない。 実際の入院判断は、PUQEの点数だけでなく脱水・・電解質異常・体重減少・経口摂取の可否を含めて総合的に行う1。逆に、で入院した患者の全員がPUQEの重症域(13〜15点)に達するわけではない——は点数以外の身体的苦痛でも入院に至りうる5

限界と使ってはいけない場面

⚠️ ではない。 の診断は体重減少・脱水・電解質異常・という所見で行い、PUQEはあくまで症状の重さを追う物差しである1

⚠️ 患者の記憶に依存する尺度であり、直近24時間の悪心の時間や嘔吐・の回数を正確に思い出せているとは限らない()。

💡 単回の点数より推移(治療前後の差)に意味がある。 カテゴリ(軽症・中等症・重症)が変わったかどうかだけでなく、点数そのものの変化を追う方が治療反応の評価に有用とされる5

⚠️ 重篤な合併症を検出しない。 PUQEの点数は次のような危険な合併症を反映しない2

  • :遷延する嘔吐によるビタミンB1()欠乏。ブドウ糖輸液の前にを投与する
  • )・
  • (hCGによるもので、多くは自然軽快しを要さない)

⚠️ 以外の嘔吐の原因を除外していない。 虫垂炎、胆嚢炎、、尿路感染症、腸閉塞、などが鑑別に挙がる。妊娠9週以降に初めて悪心・嘔吐が出現した場合はらしくなく、・糖尿病性など他の原因を積極的に疑う2

まとめ

  • は悪心の・嘔吐回数・回数の3項目(各1〜5点、合計3〜15点)での症状の重さを数値化する患者報告尺度であり、ではない。
  • 原版は直近12時間、改訂版のは直近24時間を対象とし、現在はが標準的に用いられる。QOL評価を加えたもある。
  • は3点=症状なし、4〜6点=軽症、7〜12点=中等症、13〜15点=重症の目安だが、入院の可否はPUQEだけでなく脱水・・電解質異常・体重減少・経口摂取の可否を含めて判断する。
  • を受ける尺度であり、単回値より治療前後の推移を見ることに意味がある。
  • PUQEは・一過性甲状腺機能亢進などの重篤な合併症を検出せず、妊娠9週以降に初発した嘔吐は他の原因を積極的に疑う。

出典

  1. 1.Clinical Treatment Algorithms: Nausea and Vomiting of Pregnancy — PUQE Score(Association of Ontario Midwives・2025)PUQE-24の3項目(悪心の持続時間・嘔吐回数・空嘔吐回数)それぞれの1〜5点の区切り(時間・回数の具体的な範囲)を確認した。Ebrahimi et al. 2009(J Obstet Gynaecol Can 2009;31(9):803-7)のPUQE-24尺度を再掲した表であること、文書自体が「Clinical Treatment Algorithms Updated June 2025」と表示していることも確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.The Pregnancy-Unique Quantification of Emesis and Nausea (PUQE-24): Configural, Measurement, and Structural Invariance between Nulliparas and Multiparas and across Two Measurement Time Points(Behavioral Sciences (Basel)・2021)PUQE-24が悪心の持続時間(直近24時間の時間数)・嘔吐回数・空嘔吐回数の3項目をそれぞれ5段階で評定する自己記入式尺度であり、合計得点の範囲が3〜15点であること、尺度の出典としてEbrahimi et al. 2009(J Obstet Gynaecol Can)を挙げていることを確認した閲覧 2026-08-04
  3. 3.Norwegian PUQE (Pregnancy-Unique Quantification of Emesis and Nausea) Identifies Patients with Hyperemesis Gravidarum and Poor Nutritional Intake: A Prospective Cohort Validation Study(PLoS One・2015)PUQE合計点の範囲が3〜15点であること、原版が直近12時間を対象としていたのちに直近24時間を対象とする版へ改訂されたこと、妊娠悪阻の診断がFairweather基準(脱水・体重減少・電解質異常/ケトン尿のうち2項目以上という客観的所見)でなされること、PUQEが入院加療を要する重症NVP/HGを同定する重症度評価ツールとして位置づけられていることを確認した。閲覧 2026-08-04
  4. 4.Usability of Pregnancy-Unique Quantification of Emesis questionnaire in women hospitalised for hyperemesis gravidarum: a prospective cohort study(BMJ Open・2022)PUQE合計点(3〜15点)の重症度区分が「症状なし(3点)」「軽症(4〜6点)」「中等症(7〜12点)」「重症(13〜15点)」であること、妊娠悪阻で入院した患者の一部はPUQEの重症区分(最高点帯)を満たさないこと、カテゴリの変化だけでなく個々の点数の推移を見ることの意義を確認した。閲覧 2026-08-04
  5. 5.Hyperemesis Gravidarum(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)妊娠9週以降に初めて悪心・嘔吐が出現した場合は胆石症・糖尿病性胃不全麻痺などの他の原因を疑うべきとされていること、妊娠悪阻の診断で目安とされる体重減少(妊娠前体重の5%以上)、Wernicke脳症(チアミン欠乏、輸液前のチアミン200〜500mgを8時間ごとに静注)、Mallory-Weiss症候群・食道破裂(Boerhaave症候群)、一過性妊娠性甲状腺機能亢進症(遊離T4上昇・TSH低下、多くは自然軽快)という合併症の内容、およびQOLの自己評価項目を加えた修正PUQEの存在を確認した。閲覧 2026-08-04